最終話〜チョメディー〜
…あ、どうも前回からサターンの明です。
なんかね、今エン・リューファって子から説明されたんだけどね、マジで俺サターンだったんだって。
俺が生まれてすぐに父も母も死んじゃって…なぜか尻尾も角もない俺は人間界に刺客として送られたんだって。
実際、天使も悪魔も、人間と体のしくみは変わらないんだってさ。
でね、俺が浮いてる所、一般の人に見られちゃったから、俺、魔界に帰るらしいよ。
『…で、でもさ何で天使が来るの?普通なら同じサターンが来るんじゃ…?』
「サターンとは悪魔の最上級のランクなので、こんな仕事はしません。あなたの両親は名高いサターンでしたので、子孫にあたるあなたもサターンになります」
俺、人間から見たら最悪の存在でした。
「それに、人間界が荒れるのを一番恐れているのが神様です。逆に閻魔様はそれを望んでいます。なので、あなたを魔界に連れ戻します。あなたの始末は、ミカエル様が付けるでしょう」
…と、言うわけらしいっすよ。なんか無理矢理な展開だね。
「それと、私が来た理由はもう一つ。…時間ジャスト、そろそろ変形が…」
ん…なんか尻と頭と背中が痛い…いたたた! 何だこれ!
「はい、鏡」
『何これ!?』
俺の頭からは角、尻からは尻尾。さらには背中からは羽が生えていた。
「未熟のまま生まれたサターンは18歳になると、その姿の本性を表します。今日はあなたの誕生日です」
あ、今日は俺の誕生日か。小悪魔明ちゃん誕生日♪
だから男じゃ萌えねぇっつうの!
女子高生の格好といい、この小説に、ちょいエロスの魅力もないんか!!
『なぁ…絶対戻らなくちゃ…駄目?』
「できるかぎり戻ってほしいです。と、言うのも、その姿になったあなたは、人間の心を失い、悪のサターンの心に戻ります。友達に悪影響です」
『分かったよ。じゃあ、匠。俺…帰らなくちゃいけないみたいだからさ』
匠を地上まで下ろそうとする。
「お…おい!待てよ!!」
『馬鹿…暴れんなよ!本気で落ちるぞ!?』
「確かに考えてみれば、今までのお前の行為はサターンだけどさ!」
悪かったな!
「明は俺の親友じゃねぇのかよ!」
……………匠…。
「おい!明!新キャラで俺出しといてもう終わりかよ!ふざけんな!!」
ちょうど絶頂に来た観覧車に乗っていた智喜が、窓から顔を出し叫んでいた。
「明は私がこっちに来て初めてできた友達なの!相談も乗ってくれたじゃん!私と智くんが仲直りできたのも明のおかげだよ?………だから…行かないでよ…」
ハハハ、ありがとう友美ちゃん。行かないでなんて…智喜さえいなければ最高のラブコメなんだけどな…。
「明ぁ〜!」
今度はまた地上100メートルの絶叫マシーンに乗ってる舞とリョータか。
「あんた何調子こいてんのよ!このまま行ったら撃つわよ!」
あんまリョータの事、尻にひくなよ。ガキの頃から楽しかったよ。
ハハ…舞が泣くなんて…珍しいじゃん。
「あ…明。俺様が…認めた…友達…なんだぞ…」
リョータったら、さっきは気絶する程ビビってた絶叫マシーンなのに。
……無理しやがって。
「さぁ、残念ですけどそろそろ…」
『…あぁ』
今度こそ匠を地上まで下ろす。
その間、匠は震えていた。
バッカ野郎。今空にいんだぞ?
…雨なんか降らすんじゃねぇよ。
「明は…いつもウチの事忘れてるケロ…。初登場の時だってクラスメイトなのに知らなかったケロ…だから…ウチの事…もう忘れないでケロ…」
ハハ、大丈夫。
語尾にケロなんて付ける奴を忘れるかよ…。
あぁ、なんか、今日は六つも光った雨が見えるや。
『待たせたな…』
俺達は空高く飛び立った。
皆、ありがとな。楽しかったぜ。
ーーーーーー。
『なぁ、あんた…さっき瞳赤かったよな?何で今は黒いんだ?』
「え?私、赤かった?」
『あぁ、メッチャ赤かった』
「い…色々あるのよ!じゃあ私は次の仕事があるから。あんまり天使とサターンが一緒にいるもんじゃないわよ」
…? なんでこんなに動揺してるんだろ?
「じゃあね!」
『あ!おい!何か落としたぞ!』
「え…?あ…」
リューファが落としたのは紙切れだった。
ん? 何か書かれている。
〈NEXT TARGET〜日本、809-16 木ノ下 譲〉
『何これ?』
「次の仕事!あなたには関係ないわ!」
『なぁ、俺もそうだったが…あなたってのは止めてくれ。明って名前がある』
「明って呼んでどうなんのよ?」
『人間は名前で呼ばれた方が親密度が上がるのさ』
「…フフ、でも、もう人間じゃないし、明って名前じゃないのよ?」
『マジか!?まいったなぁ〜じゃあ俺の名前って?』
「確か…チョ・メディーって名前よ」
『何その韓国人みたいな名前!』
「でも…これから人間と話す時は参考にするよ、明☆」
『おう…ハハハ』
「人間界にいたせいかしら…サターンとは思えない程心が優しい。明がこのまま成長すれば…魔界と天界も争わないですみそうな気がする…」
『何ブツブツ言ってんだ?』
「別に〜ただ…人間って楽しそうだなって…」
『おう!人間は楽しいぞ!でも、これから俺が魔界を楽しくするんだ』
ーーーEND。