第23話〜脱出不可能だって、いただけないぜ〜
「渡嘉敷!(とかしき)お前ともあろう者がなんて失態だ!侵入者を取り逃すなんて!」
「いえ、坊ちゃま。侵入者ではなく明様一行のお友達では…?」
「勝手に門を開けたぐらいで警報機が鳴るか!センサーの発信元はもっと別の所から…って、なんだその地球儀は!?」
「いや…これは武器かと思い…。では、他にも侵入者がいると言う事に…」
「明、匠…無事でいてくれ」
ーーーーーーー。
俺達一同はユキちゃんに連れられて、匠が落ちたと言われる部屋まで来た。
やはり慣れた手つきで鍵を外したユキちゃん。今度はコンパクトパソコンを取り出してケーブルを繋ぎ凄いスピードでキーを叩いていく。画面に大きくOKの文字が出るとカチッとロックが外れた音がしてドアが開いた。ここまで来ると何からツッコんでいいのか分からない。
中に入ると部屋はさっきと違い明るかった。10畳くらいの狭い空間の中心に匠が倒れていた。
『ーーー匠!!』
みんなで匠の元に駆け寄るとガチャンとドアを閉められた。
『…え?ユキちゃん??』
…閉じ込められた?
『おい、冗談でしょ?早く開けてよ』
「残念だけど無理ね。色々助かったわよ、私が鳴らした警報機もあなた達のせいになったおかげで警備も薄かったし」
何言ってんだこいつ?
「あなたが気を失った時に閉じ込めても良かったけど…皆まとまってた方が都合が良いし、しかもこの部屋は外から暗証番号を入れられるの。じゃあ、私はさっさと財産を手に入れてくるわ。そろそろ私の存在にも気付く頃だろうし」
そう言い残してユキちゃんは行ってしまった。確かに、俺は馬鹿だ。あれだけ器用に鍵を外したら疑っても良いだろう。
それより匠だ。小さい頃から智則と遊んでいる匠なら脱出方法を知っているかもしれない。
『匠!起きろ!!』
「う…ん、ハッ、馬鹿な!俺は明と禁断の階段を上ってしまったのか!?…もういいさ、開き直ってやる。…さぁ、好きにしたまえ」
『同じ妄想してんじゃねぇ!』
俺は匠の腹に全身全霊の力を込めた正拳付きをぶっ放した。
「ぐはぁ、…ん?ココは…地下の部屋か」
『そうだ、どうやれば脱出できる?』
「任せなさいよ明君。前にもし落ちた時の脱出方法を教えてもらった事がある。この隅から2番目の床の板を外せばボタンが…」
うお、さすがだ匠。今の匠は輝いてるぜ。
「あったあった、ポチっとな」
〜シュウゥゥ〜
あれ〜、おかしいなぁ。なんか壁のから煙が出てきたよ?
しかもなんか苦しいよ?
もしやこいつ間違った?
「…あ、そういえば脱出方法をなくして変わりに毒ガスになったの忘れてた」
忘れるなよ、そんな事!
ヤベェぞ、何せこの部屋は真空状態の密室。たちまち煙が部屋中を覆ってしまった。
「苦し…ぃ」
「うぅ…」
マズイな、もう皆限界だ。ドアは開かないし息もできないし…。さすがにこの状況はコメディーのノリじゃ乗り切れないぞ。
俺も、もう…駄目か。
ーー脱出不可能。