第15話〜おかえりなさい、智則君〜
短かった二年生の夏休みも明け、今日からまた学校に行くために玄関を開ける。
「…よ、明。覚えてるか?」
『と…智則!?』
信じられない。一年前から消えた智則が…俺の家の玄関の前に…しかもちゃんとしゃべれている。
『な、なんで?大丈夫なのか?』
「まぁな、海外の超一流の医者にかかれば後遺症もなく、これから普通の生活ができるみたいだ」
智則の父親は社長でこいつの家はムカつく程の金持ちだ。
きっとこの手術費用だって○億円はくだらないはずだ。
「じゃあ、明日からまた学校通うから、今日はあいさつだけだ」
『通う!?…あ、あぁ、お大事にな』
「おう」
そう言い残し智則は帰っていった。しかし、あの頃のままの智則だ。思い返せば前回の番外編で…
「あぁきぃらぁ〜」
回想シーンもなしですか?
『なんだよ匠、朝からヒドイ顔して…あ、そういえばさっき…』
「今智則が来なかったか?」
『あぁ、来てたよ』
「バカモン!それは変装したルパンだ!!追え、追えぇ〜!」
銭形っスか!?
『まあ無事でなによりじゃねぇか、それより早く学校行かないと遅刻するぜ?』
いつのまにかあと5分で電車が来てしまう時間になっていた。
「何?それは真か!」
今日の匠のキャラはつかめない…。ま、智則が帰ってきたからテンションが上がってるんだろうな。
「明、今日は始業式だけだから午前中で学校終わりだろ?帰ってきたら、《智則復活記念パーティー》やろうぜ!」
『お、いいねぇ☆』
たまにはまともな事を言う匠だった。
「よし、決まり!」
そんな感じの会話で盛り上がり、教室に入る。まぁ、直接関係ないとしても舞達も誘うかな。
始業式も無事終わり、放課後俺達は駅に集まった。
こうして、俺、匠、友美ちゃん、舞、リョータ、正美の全員強制参加が決まったわけだ。
やる場所は智則にパーティーの事を話したら快く自分の家を使ってくれと言ってくれた。
『んじゃ匠、俺達で酒を買ってこようぜ。舞とリョータは晩飯の材料を、友美ちゃんと正美で調理を頼んだぜ!』
「「「「」おぉー!」」」」
あれ、「」が一つ足りない?
「あ、明?酒…俺達で買うの?」
何やら匠は乗り気ではない。言い出しっぺのくせに…
『当然だろ?匠、酒飲めるよな?』
「好きだけどぉ〜…」
『じゃあ着替えてコンビニ行くぞ!二時間後にまたこの駅集合!では解散☆』
匠の奴、何か様子がおかしいな…。まぁ、それは次回であきらかになるか。