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第12話〜前回でオチ言っちゃってるよね、まぁいいや〜

『スゲー!旅館はボロいくせにこの温泉にはこだわってんな』


俺とリョータは汗を流しに風呂に来ていた。


残念な事に女性陣は俺達がタイマンを張っている間に入ってしまったため秘密の花園を覗く事ができなかった。


『ほれ、背中流してくれんだろ?』


「…ちっ、しゃあねぇな」


うん、匠とはまた違った男の友情が良い……


あー!


そういや匠どうしてんだろ?


…まぁ、死んでは…いない…よな。


〜ガサガサ〜


『うおぉぉ!』


「なんだよ明、木が揺れただけだって」


『ハハハハ、僕はビビってなんかいないよ?』


「…あ、あの木に例の家族が首をつって…」


『それは見間違いだよリョータ君。いいかい?これは数字のトリックなんだ』


「何言ってんだよ、嘘に決まってんだろ?」


くっそぉ〜リョータの奴ビビらせやがって…。


この俺が世界で、舞とチーズの次に怖いのが、ゆ…幽霊なんだよね。


まさか…匠もあの家族も死んじゃって…本当に枕元に立つなんて…ないよな。


これはコメディーだ。ホラーではない。


『それそろ出ようか』


「は?さっき入ったばかりだろ?」


温泉→水→海へ身投げした家族…


駄目だ駄目だ、早く出なくちゃ。


「あの家族も…今頃は温泉じゃなくて海の底に浸かって…」


『何を言ってるんだリョータ君。いいかい?これは数字のトリックなんだよ!』


「出たいなら一人で出なよ。俺はもうちょっとゆっくりしてから…」


『バカ野郎!すぐ出ないと今にあの家族が…』


「だって俺パパさんに負けたもん。怨まれんなら明だろ?」


『薄情者ーー!』


俺は一人でトボトボと部屋に戻る事にした。


『ちくしょう…もし俺が死んだらリョータを怨んでや……た!匠!?』


部屋の前にずぶ濡れの匠が立っていた。そう、じっと立っているだけ。ドアの前に…決して部屋の中に入ろうとせず…。


『たく…み?』


呼び掛ける俺と目が合った。真っ赤に充血している。これは海の潮でか…それともミカンの果汁でかは分からなかった。


匠はニヤリと笑うとスーっと部屋に入っていった。


『ちょ、待てよ』


キ○タクに憧れている俺の呼びかけに反応すらしてくれない。


匠の後を追って俺も部屋に入るが…部屋に匠の姿はなかった。


窓は開いているがここは二階だし下はコンクリート。飛び降りればケガはするだろう。


『ハハァン…さては驚かそうと思ってどっかに隠れてるな』


俺は押し入れから隅々まで隠れられそうな場所をくまなく探したが…いない!


『ハハ、マジかよ…』


〜ガラガラ〜


『ヒイィィィ!!』


「なんでスパイダー〇ンのポーズ!?」


…なんだ、リョータか…。


『今…今、匠がこの部屋に!』


「何言ってんだってお前」


〜目を閉じれば億千の星〜


「お?携帯が鳴った。…ほら見ろ、匠からだよ」


『で…出ない方がいいって!』


「はい、こちら夜逃げ屋本舗。」


どんな出かたしてんだこいつ!


「ん…おーい?もしもーし?…切れちゃった」


『な…なんだって?』


「ん〜なんか、明ぁ!明ぁぁーって言ってた」


これヤバくない?


…うっ!


ヤバイ、ト…トイレに行きたくなってきた。


『メッチャイケメンのリョータさん、今ならなんと先着一名様まで水着ギャルに囲まれてハーレムになれるイベントがトイレでやってるらしいよ☆さぁ、競走だ!』


「マジ?行くしかねぇな!」


『だろ?さ、早く』


「でも俺、舞いるし。ここは君に譲るよ。いってらっしゃい、一人ぼっちでトイレへ」


『ドちくしょーー!』


分かっているさ、所詮リョータは口だけが達者なんだ。


道端とかに口が落ちてたら『お?リョータじゃん☆』って勘違いしちゃうぐらいあいつは口が達者なんだ。


「ふふふ」


ぬぉぉぉー!


何、今の声?


〜ペチョ〜


うわ、足で何か踏んじゃった…って口ーー!?


なんで廊下に口が落ちてんの?


『よよよよよぉ…リョータ……相変わらず達者な口だ…』


〜パクパク〜


『ひぃゃぁぁぁー!!』


「おい、どうした明!?」


『てめぇ口くらいちゃんと付けとけー!』


「何言ってんだよお前!?」


リョータにはちゃんと口が付いていた。…とすると、あの口は誰のなんだ?


「いや、普通口とれないから」


『本当にあったんだって!頼む、もう漏れそうだ。いっしょに来てくれ』


もうこの際プライドだろうがなんだろうが関係ない。


「何もないぞ…?」


バ、バカな!!


さっき確かにここに人の口が落ちていたのに。


「ビビりすぎて見間違えたんだろ?」


『…うっ!もう限界だ!』


俺はトイレまでダッシュした。


〜幸せと生きている意味を味わっています〜


『フゥ〜、間に合ったあ。ったく、なんで部屋にトイレがないんだよ!ボロいってのも考えものだな』


なんて愚痴を言っていると


〜ペタ…ペタ〜


足音!?


『リョ、リョータ?』


そう、俺はダッシュのあまりリョータを置いてきてしまった。


〜ペタ…ペタ〜


ああああ足音が…ぬぬぬぬぬ濡れてる!?


〜ピタ〜


いや止まるなよ!


「よ゛く゛も゛…あ゛の゛と゛ぎ…」


『いやあぁぁぁぁー!』


そこで俺は気を失った。


目が覚めると部屋にいた。


リョータ…舞…正美…友美ちゃん…匠…


匠!?


「ハッハッハッ、ドッキリだよ、明」


匠がカラカラと笑っていた。そして…例の家族も。


『あんた達…生きてたんか?』


「まぁ、この家族に助けられたって感じかな。だからほら、賞金はあげなよ」


『ちっ…分かったよ。本当に化けて出られたらたまんないからな』


俺は家族に賞金を全額渡した。しかしドッキリで良かった。


『手の込んだドッキリだな…本物かと思ったよ。』


「ハハハ、まず、ここは三階建てだろ?この部屋の真上がこの家族の部屋なんだ。明が来る前に上からロープを垂らしてもらってそれで上ったのさ」


だから消えたように見えたのか。


「まぁ、トイレに行った明を脅かすなんて簡単だな」


「私の足を濡らして歩けば良いだけだからね」


くそぉ〜なんかパパさんの口調がムカつくぞ。さっきまで死のうとしてたくせに…!!


『まいったよ…でもあの落ちてる口はどうやったんだ?妙にリアルだったぞ?』


「口…?何それ?」


『は?だから…廊下に落ちてた口だって!』


「いや…私と匠君が仕掛けたのは二つだけだが…?」


…まさか、本物の…?


みなさんも真夏の夜にはお気をつけて…

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