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第10話〜そりゃ俺だってやるときゃやるさ〜

海で一通り遊び終わった俺達は宿泊先の旅館に来ていた。


なんともボロな所だがこれがまたミソである。


…なぜならそう、隣の女子部屋の会話が丸聞こえなのだ☆


「う〜ん…ウチ的には旅館よりもホテルが良かったって感じだケロ〜」


「でも結構広いよ?なんか落ち着くし」


「あ、男共が入ってきたら私にまかせてね。火器付きショットガンで…」


うん、最後に変なのが聞こえたけどあえて無視しよ。

しかし、さすが舞だな。友美ちゃんと正美と会うのは今日が初めてなのにもう仲良くなってる。



「明…」


リョータが俺にかなり低いトーンで呼び掛ける。


『何かな?私に負けたリョータ君』


「話がある…表出ようぜ」


おいおい、なんのツッコミもないのかよ。こりゃまた真面目な話かぁ〜?


〜夜中の砂浜〜


夜中の海は月明かりが綺麗で昼の海とはまた違った魅力がある。


しかし、そんな事に感心すらできない空気だ。


『何…?話って』


決してラブコメではない。


「お前…なんで俺の前でも舞と仲良くしてやがるんだ?」


やっぱりね…。どうりで俺に対して冷たいわけだ。


「しかも第一話で舞とニケツしてるし…」


そこまで知ってんのかよ!


『いや…あれは、舞が勝手に乗ってきただけだし断ったら殴られたし…リョータもすぐ殴られて大変だろ?』


ハハハと笑う俺に対してリョータは眉一つ動かさずに睨み付けてくる。


「俺は舞に殴られた事など一度もない。それどころか舞が人を殴るなんて聞いた事もなかった。…なのにお前を殴っていた。舞にとってお前は特別な存在なのかもな…」


やっぱり妬いてたんだなこいつ。


『安心しろって!舞とはただの幼なじみ。俺は舞に恋愛感情を抱いた事なんかガキの頃だけだって』


「…フッ、舞と同じ事言うんだな」


…え?


あいつもガキの頃は俺の事を…?


「あぁ〜!駄目だ!!ムシャクシャする…おい!」


そう言ってリョータは構える。


『あぁ、ちょうど俺もムシャクシャしてたんだ。このままじゃ毎晩のように枕元にあの家族が立つかもしれない…ってな!』


「…フッ、いくぜ!」


多少強引な展開から始まったリョータとのタイマン。

リョータは勢いよく鋭い右ストレートを撃ってくる。


暗くて視界が利かないが、俺はリョータの右ストレートに左手をそえる形で受け流す。


隙だらけの顔面に視角から左フックを繰り出すがしゃがみ込まれて、かわされてしまった。


(こいつ…できるな)


気迫で押されては負けである。俺はしゃがんているリョータにローキックを繰り出す。


〜パァン〜


(下段払い…?こいつ、空手使いか!?)


よく見れば構えが組み手のようになっており決まっている。


俺には格闘技の心得がないため経験者に勝つのは厳しい。


ヤバイ…と思った瞬間、手刀が飛んでくる。


『…くっ』


かろうじてかすった。…が、洋服の腹部のあたりが切れていた。


(…マジかよ)


勝つには一撃で倒すしかない。あごを狙う!


俺は一気に距離を縮めに前に出る。


リョータが正拳づきを放つ。


威力が1番小さい場所…拳を引いた所まで身を寄せる。


『…ぐっ!』


くらいはしたものの勢いがない所まで身を寄せればたいしたダメージはない。


(…もらった!)


俺は身をかがめ、あご目掛けてアッパーを繰り出そうとしたが…


〜ズキュン〜


えぇーー…銃声!?


ピタリとあご寸前で拳が止まる。しかし、これで格付けは済んだ。


「急に二人共いなくなったからこんな事だろうと思ったわよ」


俺達の足元にかするかぐらいの絶妙なコントロールで撃ってきたのは舞だった。


…例の火器付きショットガンで。


「リョータ…説明して?」


「別に…ただ、なんでこいつは殴るくせに俺は殴ってくれないのか?…って」


いやいやいや、それじゃあ君、Mって誤解されちゃうよ?


「好きな男を…殴れるわけないじゃない」


つまり、俺の事は嫌いなのね。


「舞…」












〜チュ〜



おーーーーい!


人前だぞ!?


コメディーだぞ!!??


〜ザーン〜


…ん?


『おい、お前ら!イチャつくのはいいけど…この砂浜に波きてっぞ!』


「あ…!この海、真夜中になると満潮がくるんだわ!」


「あ〜あ…しょうがねぇ、戻っか!」


慌てて旅館に戻った俺達。


「明…悪かったな」


『気にすんなって!でもまぁ、俺の勝ちだったな』


「あ!?あんなアッパー、ギリギリでかわせてたね!」


『無理無理!あの攻撃はあそこから加速して時速200キロに達するんだもんね!』


「バカ野郎!俺の首の動きは210キロの速度で動くもんね!」



〜ズキュン〜


『さて…お風呂でも入ろうか、リョータ君』


「そうだね明君…僕が背中を流してあげるよ」


こうしてなんとかリョータの誤解も解けた。




…あれ?


この部屋って男二人だったっけ?


まぁいいや、どうにかなるだろう。

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