手袋で温めよう。
オリジナル第二弾です。
今、俺は雪の中で歩いている。
足音がいつもより、大きく響いている。
「香苗~、寒くねぇか?」
俺の彼女、香苗は両手をすり合わせながら、吐息をかけていた。
「お前、なんで手袋を忘れるの?」
俺は呆れながら、香苗に近づいた。いつもそうだ。
デートに限らず、彼女が友人たちと出かけるときも何かしら、忘れ物をするのだ。
俺と香苗は高校の時の同級生で、いつも周りから冷やかされた。
「あなたたち、仲がいいんだし付き合っちゃえばいいんじゃない?」
「そうだそうだ!」
俺たちのクラスメイトは妙に、祭り好きの奴らが多かったんだよな…
まあ、俺は香苗が好きだったし、香苗も俺のことが好きだったんだ。
んで俺が告白して付き合いだして、今に至る。
香苗は慌てん坊だ。
彼氏の俺が呆れるほどだ。
「だって~、時間がなかったんだもん!しょうがないんでしょ!!」
香苗の言い訳に呆れながらも、香苗らしいなって心の中でほくそ笑んでいた。
「つたく、ほら!」
俺は香苗の手をつかみ、俺の手袋の中に香苗の手を入れたのだ。
「え?」
香苗はあっけにとらえていた。キョトンとしているその顔は、まだ幼さが残っている。
俺は赤くなり、香苗から顔を反らした。
|(可愛いな~)
「いいの…?手袋伸びちゃうよ?」
俺の手袋なんかに、心配する君が愛しい…
「構わねぇって!急がねぇと、電車に乗り遅れてしまうぞ?」
「うん!」
香苗は笑顔でうなずき、手をつないだまま、俺たちは走り出した。
子の後、2人は遊園地に行くらしいです。