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第3話 2次試験 学力試験

―一次試験終了から一週間後―


一次試験で自分の中の気持にけじめをつけれた律は、以前よりも前向きな表情になっていた。


今日は五元解析試験の結果発表日。


律は五光学園からの手紙をまだ開けずにいた、ここで落ちている可能性だってゼロでは無い。


律は長い深呼吸をした後、覚悟を決めて手紙を開けた。


『久識 律様、先日は五元解析試験にご参加頂きありがとうございました。五元解析試験の結果 久識様が"古知探求科(こちたんきゅうか)"で二次試験にお進み頂ける運びとなりました。試験内容は、歴史の学力試験になります。詳しい内容は追ってご連絡致します』


律は手紙を読む間息をするのを忘れていた。


最後まで読み終えたあと、一次試験に受かった喜びが込み上げてきた。


「やった…良かった!」


律は嬉しさで何度も手紙を読み返した。


―二次試験当日―


一月中旬


年末年始の慌ただしさが少し落ち着いてきた頃、五光学園では二次試験が始まっていた。


二回目の五光学園だが、やはり門の前に立つと緊張と興奮で心が踊った。


今回の試験は前回とは違い、同じ学科に受ける人しか教室には居ない。


つまりライバルでもあるわけだ。


律は少し不安はあったが、大丈夫と自分に言い聞かせ門をくぐった。


今回の試験会場は本源塔では無く、その周りに建つ五つの塔だ。


五つの塔はそれぞれの学科に分かれていて律が受験する「古知探求科」の塔は緑色のキラキラ輝く石が屋根の上にある塔だ。


律が一本塔に歩き出した時、後ろから聞き覚えのある声がした。


「律くん?」

律が振り返ると、そこには寒さで鼻先を赤くしたブロンド色の髪の少年「乃碧」がいた。


「乃碧くん!久しぶり」

律はまた会えた喜びと、少しの安心感を感じ乃碧に駆け寄った。


「律くん、久しぶり!緊張するね〜、あ!ところで律くんはどの学科だった?」

乃碧は嬉しそうに話しながら律に質問した


「僕は古知探求科だったよ!」

乃碧は目を丸くして言った


「えぇ!すご!律くん頭いいんだねぇ〜羨ましいなぁ」


律は予想外の乃碧の驚きぶりに、不思議そうに聞いた

「そうかな?歴史の学科だよね?」


乃碧は驚きを隠せず開いた口を隠すように手で覆う

「え!律くん知らないの?古知探求科は五光学園の中で一番偏差値が高い学科なんだよ!本当に頭のいい人しか入れないからエリート科とも言われてるんだよ」


律は乃碧の説明に「なるほど」と理解するように頷く

「そうなんだ、知らなかったよ。ところで乃碧くんは何科なの?」


乃碧は少し恥ずかしそうに言った

「あ〜、僕は風詩想像科(ふうえいそうぞうか)なんだよね、えへへ」


律はきょとんとした顔をして聞く

「風詩想像科?そこは何する学科なの?」


乃碧は嬉しさを噛み締めるように話す

「デザインとか音楽とか芸術を学ぶ学科だよ!まさかここに割り当てて貰えるなんえ思ってなかった…」


律は嬉しそうに話す乃碧を見ながら優しく笑い、「お互い頑張ろう」と励まし塔へと進んだ。


塔の前で乃碧と別れ、古知探求科の塔へと足を踏み入れた。

中はとても広く中央に螺旋階段があり、壁には沢山の歴史の本が敷き詰められていた。


階段を登り、三階に上がると先程までとは違い木材を基調としたモダンな廊下が広がっており教室が二部屋あった。

この塔は五階建てで三階から五階までが教室になっている。


律の試験を受ける教室は四階だ。


教室に入ると暖かい日光が窓から入ってきており、木材の香りが律の心を落ち着かせた。


―試験開始―


試験は歴史の問題ばかりだが、歴史を深く知っていないと分からないような問題も多々ある。


問題数も多く、終了時間ギリギリに律はペンを置いた。


―試験終了―


チャイムの音と共に試験は終わり、皆足早に教室を出る。


律も皆の後を追うように教室を出た。


全ての学科が同じ時間で試験を終了しそれぞれの塔からぞろぞろと生徒達が出てくる。


疲れた顔の者もいれば、不安に飲み込まれそうな顔の者もいる。


そんな時、一つの塔の前で怒号が聞こえた。


大柄な受験生が胸ぐらを掴みながら叫ぶ

「はぁ?お前ふざけてんのか?もう一度言ってみろ!」


胸ぐらを掴まれた生徒は目にかかりそうな綺麗な黒髪を風になびかせながら、凛とした顔立ちで吸い込まれそうな程綺麗な赤い瞳で挑発的な発言をした。

「あぁ何度でも言ってやるよ、あの試験で負けたのはお前だ!」


その瞬間、大柄な男の拳が胸ぐらを掴まれた生徒の顔に振り下ろされた。

大柄な生徒は掴んでいた胸ぐらを荒々しく離すと吐き捨てるように言い残し去っていった。

「受かったからって調子に乗るなよ、そんなんじゃ敵ばっか作っていざという時助けて貰えねぇからな」


地面に投げ降ろされた生徒は赤い瞳で睨みつけていた

「落ちたヤツの言葉なんか、真に受けるかよ」


周りの生徒達は赤い瞳の生徒を避けるようにそそくさと帰って行く。


その時、乃碧が律に声をかけた

「律くん、お疲れ様〜。凄いねあれ」


「乃碧くん、おつかれ。うん、すごかった」


律は先程の喧嘩の会話の内容に少し疑問を覚えていた。

「ねぇ乃碧くん、落ちたヤツとか受かったからとかどういう事?」


乃碧は少し驚いたが優しく説明した

「律くん、頭いいのにあんまり学園の事知らないんだね!あれは『炎帝指導科(えんていしどうか)』の受験生だよ、色で言うと赤色の塔だね。リーダーシップと競争の学科で強い精神力を鍛える事を目標にしてるんだ」


「だから、試験内容がキツイって有名なんだよ!えっと確か「議論対決」みたいな感じだったかな?一対一でディベート形式で言い争うやつ」


「その場にいる他の受験生が審査員になってどっちがいいか投票して票が多かった方が勝ち、つまり受かったって言うこと。稀にディベートで負けても先生からの評価が良くて受かる人も居るけど、年に一人いるかいないからしいよ」


「さっきのあの会話だと、大柄の人とあの黒髪の人がディベートして大柄の人が負けちゃったんだね」


乃碧は少し悲しそうな顔をして話し終える


律はその驚きの試験内容に目を丸くした

「凄いな、そんな試験もあるのか」


乃碧は「うんうん」と頷くと、倒れ込んだままの黒髪の少年を心配そうに見つめる。

「あの子大丈夫かな?痛そうだったね」


「声をかけてみよう」

律はそう言って少年の元へ駆け寄る


「大丈夫?」

律はそう聞きながら手を差し出す


その手に驚きと困惑の表情をした少年が口を開く

「誰だお前?」


「僕は久識 律。君は?」


少年は少し黙ったあと、律の手を借りて立ち上がり制服に付いた土をはらいながら言った

「俺は荒谷 蓮(あらや れん)そっちの、チビは?」


連は乃碧の方を見つめ言った、乃碧は自分の事だときずくと顔を赤くして言う。

「え!僕?チビってなんだよ、失礼だろ〜」


連は少し口元を緩ませるとからかうように言った

「なんだ、名前も名乗れないのか?じゃあチビって呼ばせてもらうよ」


「違うよ!僕は虹原 乃碧!」


連はフッと優しく笑うと二人に目線を移し話し出した

「お二人さんは、同じ学校?」


「いいや、一次試験の時に会った」

律は答える


連は不思議そうに二人に問いかけた

「一次試験で会っただけなのにそんなに、仲良しこよしなのか。幸せなもんだね。」


「まぁ俺は合格決まってるから、もし君達も合格してたら、その時はまた話そう。じゃあまた会えるといいね」

そう言うと連は二人に背を向けて帰って行った。


律と乃碧は顔を見合わせ「帰ろうか」と言い二人で門へと歩き出した。


学科名や新しい登場人物の追加で漢字パーティーで色々ごちゃごちゃになってしまったかもしれませんので、今回から後書きでキャラの紹介や学園の細かい設定等を書いていこうと思います!


〈キャラ紹介〉

名前:久識(くしき) (りつ)

年齢:15歳

誕生日:5月15日

身長:173cm

学科:古知探求科(緑)

好きな事:本、散歩

苦手な事:恋バナ

性格:真面目で天然、友達思いで優しいけど感情的な会話が苦手で何でもシンプルに考える癖がある。

運動も勉強も出来る為モテるが、恋があんまりよくわかっておらず恋バナが始まるとお腹が痛くなるらしい。

真面目だけど時々、意味のわからない事を言って周りを困惑させるゾ!


《裏話》

このキャラは元々The主人公、みたいな情に厚い熱血系にしようと思ったんですが書いてて「うるさいなこいつ」と思ってしまったので真面目ド天然系にしました!

本文では紹介されていませんが、律の見た目は茶色っぽい髪色の七三分けで、目の色が緑色で肌は勉強ばっかしてるので色白です。


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