愛の力で新能力げっと
【☆★おしらせ★☆】
あとがきに、
とても大切なお知らせが書いてあります。
最後まで読んでくださると嬉しいです。
「お爺さま! お爺さまぁあ……! うわあぁああああああああああん!」
ケミスト領、領主の古城にて。
若返りの湯に浸かったことで、鬼から白夜様を取り出すことに成功した。
白王女は自分が濡れるのもいとわず、温泉へ飛び込み、湯の中で呆然とする白夜様に抱きつく。
「これは……いったい……? 私は鬼に喰われ、同化してしまったはずでは……」
「セントリアが! 西方の聖女さまが、お爺さまを助けてくださったのじゃぁ……!」
「西方の聖女……?」
白夜様がこちらを見て、目を細めた。
「それってぇ、あの馬鹿聖女のことじゃあないですぅ?」
エルメルマータが言う。
「そうですね。白夜様、以前“コビゥルが来る”と予知していたって話でしたよね」
「あ、そういえばぁ。だから白王女ちゃんに迎えに行かせた的なこと、言ってたですぅ~」
さらに、白夜様はゲータ・ニィガにも救難要請を出していた。
つまり、彼の見ていた未来には“西方から来る者”が現れるとあったはず――
でも、今この場にいるのは、コビゥルではなく、わたし。
「やはり、来てくださいましたか。真の聖女よ」
「ふぇ……? 白夜様はぁ~。センちゃんが来るって、わかってたんですぅ~?」
「ええ。西方より来たる真の聖女が、この極東を救ってくださる。そんな未来が見えておりました。そして、その聖女の髪の色は……黒」
コビゥルの髪は明るい色だった。
対して、わたしの髪は漆黒。
――つまり、白夜様が見ていた“未来の救い”は、わたしのことだったのだ。
「改めて……本当にありがとう、真の聖女セントリア」
「お礼を言うのはまだ早いです。真の意味で、極東はまだ救えていませんから」
東都の結界を破り、“鬼祭り”を止めるまで、戦いは終わらない。
予知された未来だからといって安心できるわけじゃない。未来は変わることだってある。
「んでぇ、これからどうするですぅ~?」
「無論、もう一度東都へ戻ります」
「でもでもぉ~」
エルメルマータが不安げな表情を見せる。
「無敵鬼、結構強かったですぅ。またあんなのが出てきたらぁ?」
……エルメルマータは、わたしが負傷したことを引きずっているのだ。
気持ちはありがたい。でも、引き返すわけにはいかない。
「敵が強いことと、わたしが諦めることは別です」
「別じゃあないですよぅ……またセンちゃんが傷ついたら……わたしぃ~」
そのときだった。
白夜様が右目を押さえ、「なるほど……」と意味深につぶやく。
「聖女セントリア。少し、いいかな?」
「なんでございましょう、白夜様?」
「君の力で……異能を“模倣”できるようだ」
「………………は?」
なんだ、それは……?
【びにちる】にそんな仕様、あったっけ?
「どういうことでしょうか?」
「私の見た新しい未来では、異能者である私を使い温泉を作ることで、異能を一時的に付与できるようになるらしい」
「なん……ですって……」
ゲームには存在しなかったシステムだ。
これは……現実だからこそ起きた、ゲーム外の現象。
「温泉で異能コピーぃ? なんか、なんでもかんでも温泉で解決できすぎじゃあないですぅ~?」
……正論。だけど便利なのは否定できない。
「未来視で未来は変わる。最初のビジョンでは、多くの犠牲を払いながらも、貴女が極東を救っていた。しかしその未来が、今……変わった」
「それは……わたしが何かをしたから、でしょうか?」
「ええ。恐らく――そこの可愛いエルフのお嬢さんのおかげかと」
「ふぇ……? えるですかぁ~? そんなぁ~♡ 可愛いだなんてぇ~……♡」
……一体どういうことだ?
「力を持つ聖なる乙女は、“愛の力”で強くなることができるんだ」
「は……?」
はあ? そんな設定あったっけ……?
「私の知り合いにも、力を持つ聖女がいた。彼女は“愛する者を守る”とき、最も強くなった」
「……愛する者を、守りたい……」
「ああ。君は、きっと“愛するもの”が増えたのだ。その結果、強くなり、新しい力を得たのだろう」
異能コピー温泉。
愛の力で生まれた新能力……なんなの、このラブコメ補正。
「ぬふん♡ ぬふふふふふふふ~♡」
……そして隣で、うざエルフがニヤニヤしながら頬をつついてきた。
「ねーえー、センちゃーん。愛の力でぇ、目覚めちゃいましたかぁ? 新能力♡」
「…………」
「えるのこと、愛してるってことですよぉね~~~♡ きゃっ♡」
「はぁ……うざエルフ」
「はいはい~。ツンツンしてもムダですよぉ~♡ センちゃん、ちょー喜んでるってぇこと、えるは知ってま~す♡」
……この残念エルフ、得意満面でベッタリくっついてきた。
「そっかぁ~♡ えるもねー、センちゃん大好きだけどぉ、センちゃんもえるのこと大好きってことか~♡」
……そうなんだけど。
本人に言うと、調子に乗るから言いたくない。
「うるさい」
とだけ言ってやると、うざエルフは満面の笑みで、わたしにぎゅーっとくっついてきたのだった。
【★☆読者の皆様へ 大切なお知らせです☆★】
新作の短編投稿しました!
タイトルは、
『勇者パーティを追放された【パフォーマンス・マスター】〜コスパもタイパも最大化してた裏方を「役立たず」呼ばわり? パーティ崩壊、お疲れ様です〜』
広告下↓にもリンクを用意してありますので、ぜひぜひ読んでみてください!
リンクから飛べない場合は、以下のアドレスをコピーしてください。
https://ncode.syosetu.com/n4924kr/




