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第58話 結界を破壊しよう



 場所は、横濱の町外れ。

 エルメルマータが手を伸ばす。

 ぐっぐっぐ、と力を込めてるようだが、それ以上前には進めない。


「なにか見えない、壁みたいなものがあるみたいですぅ~」

「それが結界です」


「バリア魔法ですかぁ?」

「はい。ただ、バリア魔法と違って、領域結界は、閉じ込める方に特化してますね。バリアが壁なら、領域結界は檻のイメージです」


 二葉が鬼化して、結界の壁めがけて殴りつける。


 ドゴォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!


 ……鈍い音が、周囲に響き渡る。


「かったぁああああああああああいい!」


 二葉がしゃがみこんで、手を押さえる。


「ああ! ふたば! 手が! 手がぐちゃって!」


 あまりに強い力で殴ったからか、二葉の手は潰れていた。

 けれど、鬼の再生力のおかげで、すぐさま元に戻る。


「すっごい硬いね、この結界」

「もー! 二葉っ。危ないことしないでよっ!」

「大丈夫よ。鬼の再生力はすごいんだから。兄さんは心配しすぎ」


 呆れた感じでと言いつつも、二葉はちょっと嬉しそうだった。

 仲の良い兄妹だ。


「領域結界が、鬼の力を持ってしても、外に出れないことはわかりましたがぁ。これ、どうやって壊すんですぅ~?」


 エルメルマータが言うと、一郎も尋ねてくる。


「結界を壊すのはとっても苦労するって、お爺さまもおっしゃってました」

「はえ? お爺さまぁ?」


「はい。ぼくの祖父は、結界師……結界術を得意とする異能者なんです」


 彼の祖父である、一条家二代前当主は、凄まじい結界術の使い手だったようだ。(【びにちる】のフレーバーテキストに書いてあった)


「本職の結界師でも、壊すのを苦労する結界をぉ、いったいどうやって壊すんですかぁ?」

「ついてきてください」


 わたしは彼らを連れて、その場を離れる。

 歩きながら、説明する。


「結論を言いますと、領域結界自体を壊すことは不可能です。ですが、この結界を維持してる【結界石】を壊すことで、結界を解除できます」


 三人供が首をかしげる。


「え、なんで結界壊せないんですかぁ?」

「領域結界は、結界を構築してる術者を叩かないと、壊せないです」


「じゃあ術者を探せばいいのではぁ?」

「恐らく、この横濱に結界を張ってる術者はいません」


「ふぇ……? どういうことですぅ?」

「なぜならこの結界は、正確には領域結界ではなく、【簡易結界】だからです」


「かんい、けっかい……?」

「この結界は、術者が張ったものではなく、結界石とよばれる、結界を張るための呪具を用いた結界なんです。それを、簡易結界といいます」


 術者本人が構築するのが、領域結界。

 呪具を用いて発動させるのが、簡易結界。


「なんで領域ではなく、簡易だと思うんですかぁ?」

「単純です。領域結界は、維持するのに、とても霊力……我々で言うところの魔力が必要となるからです」


 構築・維持にはかなりの霊力が必要となる。

 けれど、結界はずっと維持されたままだ。


 それはつまり、術者がいないことを指す。


「じゃあ……これから結界を維持してる、呪具を壊すって事ですぅ?」

「そういうことです。ただ、一筋縄ではいきません。どうしてだと思いますか?」



 一郎が手を上げる。


「相手からすれば、結界は壊されたくないんですよね? なら……呪具自体が隠されてる」

「一郎くん、正解です」


 はー……とエルメルマータが感心したようにつぶやく。


「一郎くんよくわかったですぅ~」

「えへへ、お爺さまから色々、結界については聞いてたんで」


「お爺さんのこと好きなんですねぇ~♡」

「…………はい。好き、でした」

「でした?」


 わたしはエルメルマータの頭を軽く叩く。


「デリカシー」

「あ、はい……ごめんですぅ一郎くん」


 一方で二葉は普通に言う。


「でも、セントリア姉様。隠されてる呪具を、いったいどうやって見つけるんですか?」

「簡単ですよ。ほら、これです」


 わたしは立ち止まって、足下を指さす。

 彼らは皆、首をかしげている。


 わたしは地面に刺さっている【それ】を、引き抜く。


「!? セントリアさんの手にぃ、いきなり釘と、お札が現れたですぅ!?」


 大きめの釘に、お尻の部分に呪符が張られている。


「これが結界を維持していた呪具です」

「え、え、えー!? どうしてセントリアさんには見えてたんですかぁ? えるたち、全然見えなかったのに!」


 わたしは彼らに説明する。


「集中モードを使ったんですよ」

「たしかぁ、セントリアさんが、帝国で敵が襲撃してきたときに、使っていたっていう技術ですぅ?」


 相手(敵)に注目するすることで、プレイヤーの画面には、▼カーソルが映るのだ。


「カーソルの色で、敵かどうかがわかるんですよねぇ。えるも教えて貰って、狩りに活用してるですぅ」


 二葉が首をかしげる。


「でもその集中モード? ってやつ、敵に適用されるんですよね? どうして、それを使えば呪具が見えるんですか?」

「これは裏技なんですが……。呪具もまた、敵判定されるんです」


 呪具に集中すると、その上にも▼が現れる。

 敵を表す、赤いカーソルだ。


「ほんとだぁ! 魔物と同じで、赤いカーソルが出てるですぅう! なるほど……これを使えば、隠れてる呪具を見つけられるんですねぇ! 知らなかった-!」


 とまあ、【びにちる】やりこんでいるから知っていた、裏技を使い、呪具を発見したというわけである。


「セントリア姉様……すごい。何でも知ってる……全知全能の美香神様みたい……」

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― 新着の感想 ―
知らぬが仏もとい神様ってか。まぁ神様の実態なんて知った所で幻滅か失望かですしね。 大体は美化されて後世に語り継がれてるはずだし。所で二葉ちゃんやそのお姉様の従魔のフェル子にその神様について聞いてみな…
>「セントリア姉様……すごい。何でも知ってる……全知全能の美香神様みたい……」 だそうですよ只今長野付近で困った姉妹に悩まされてる美香さんw
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