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第54話 極東パンデミック


 主人公コビゥルたちがいるのは、西にある大きな大陸。

 そこから遙か東に行ったさきに、極東ヒノコクはある。


 ヒノコクは日本をモデルにしている。

 文明レベルは明治くらいだ。電気もガスもあるし、なんだったら自動車もある。


 ヒノコクは異能と呼ばれる、特別なスキルを持った人たちが存在する。

 彼らは異能を用いて、人外のバケモノたちと戦っている……。

 というのが、ヒノコクと、極東人の設定だ。

 わたしたちが転移してきたのは、横濱よこはまと呼ばれる場所。

 現代でいうところの、神奈川県横浜市のことだ。


 ヒノコクでの地名は、現実の地名と同じである。だから地理はほぼ一緒だ。

 横濱の港についたわたしたち……。


 一郎が周囲を見渡し、首をかしげる。


「ぼくらが出てきたときは、もっと活気があったのに……。船も動いてないみたいだし……」


 わたしは空を見上げる。


 空は分厚い雲で覆われていた。

 屋外だというのに、かなり、薄暗い。


 時刻的には、まだ昼前なのに。

 ……とても嫌な予感がした。


 このイベント……もしかして……。


「皆さん、人に出会ったら、不用意に近づかないでください」


 わたしは銃を装備し、いつでも動けるようにする。


「エルさんは弓矢の用意を。一郎さんたちは、決して彼女から離れないように」

「あ、あの……! セントリアさん。一体何が起きてるんですか……?」


 一郎が戸惑っている。

 まだ彼らは、事態を飲み込めていないのだ。

「恐らく、パンデミックが起きてます」

「ぱんで……? え、なんですかそれ?」

「鬼が、大量発生してます」


 パンデミック。ゾンビモノでよく見るあれだ。


「ど、どういうことですかっ? 鬼は、確かにぼくらがこっちに居る間、まあまあいました。けど……そんな大量発生なんてしてなかったのに……」


「鬼の王が、本格的に動き出したようです。感染者……つまり、鬼化した人たちを、増やし、ここ極東を支配しようとしてるのです」「どうしてそんなこと知ってるんですか……?」


 ゲームで、そのイベントがあったからだ。

 けれど、原作では、ヒノコクは既に完全に鬼に支配されていたけども。


 また、元に戻す方法も、ゲーム時代には存在しなかった。

 だから主人公コビゥルは、ヒノコクの鬼を全滅させる以外に、道はなかった。


 でも……今は、状況が異なる。

 一郎の話では、彼らが出たときはまだ、感染者が少なかったという。


 ということは、まだ今は、感染初期の段階だ。

 悲劇を、変えることができるかもしれない。

 

「エルさん。敵が来たら麻酔矢を使ってください」

「は、はひぃ~」


 エルメルマータも、戸惑っているようだ。

 無理もない。いきなりこんな異常事態に直面したら、誰だって戸惑って動けない。


「すごい……こんな状況でも、冷静なんて……」


 二葉が感じ入ったようにつぶやく。

 こんなの凄くもなんともない。


 ゲームで、一度イベントをこなしたことがあるから、動じていないだけだ。


「ど、どこにいくんですか……?」


 一郎の問いかけに、わたしは応える。


「日の国王……九頭竜くずりゅうりさとのもとへ」


 極東は王政を敷いている。

 その国のトップは、日の国王と呼ばれている。


「国のトップなら、状況を把握してるでしょう?」

「で、でもぉ~。いきなり王様にあえますかぁ? こっちは外からきたよそものですしぃ、一郎くんたちは庶民だし」


 エルメルマータは知らないようだ。


「一郎くんと二葉さんは、華族。わたしたちで言うところの貴族の子息ですよ」

「はぇ……!? そ、そうなですぅ?」


 こくん、と一郎がうなずく。


「あ、あれ……? でもどうして……知ってるんですか? ぼくらが華族だって……?」


 ……【びにちる】をやりこんでいるから、名前持ち(ネームド)の、キャラ設定も、当然把握してる。


 一郎たち、一条家の人間は、極東五華族といって、極東のトップに当たる人たちだ。

 特に、一条家は王家と深いつながりを持っている。


 この子らが居れば、日の国王に会えるだろう。


「説明は後です。進みますよ」


 一条兄妹からすれば、わたしは何故か色々知ってるオカシナやつだと思われてるだろう。

 だが、今は説明してる暇はないのだ。

 

「エルさん。常に周囲に気を配ってください。人の気配がしたらすぐに教えて」

「わかりましたですぅ~」


 しばらく横濱の中を移動する。

 自動車も、路肩にとめられて放置されてる。

 電車も動いていなかった。


「このちょっと先の、路地裏に、気配がするですぅ」


 建物群が並んでいる、メインストリートを歩いていると、エルメルマータが言う。

 わたしは麻酔銃を構える。


「むこうはこちらに気づいて襲ってくる可能性が高いです」


 こくん、と皆さんがうなずく。

 わたしたちは路地を通り過ぎようとする……。


「ガァアアアアアアアアアアアア!」


 路地裏から、こちらに飛び出してきたのは……。

 目が真っ赤に染まった人間だった。


 うえた獣のような顔つきのそれは、明らかに……鬼化した人間。


 エルメルマータは冷静に、麻酔矢を鬼に打ち込む。


「やった……!」

「まだですぅ! 後ろから、ガンガンでてきますぅ!」

 

 ぞろぞろと、鬼たちが押し寄せてきた。


 わたしはエルメルマータと協力して、鬼達を眠らせていく。

 ほどなくして、路地裏にいただろう鬼達を、全員眠らせることに成功した。


「二葉ちゃんのときより、楽に倒せますぅ~。どういうことですかぁ~?」


 眠っている鬼達を指さす。

 

「二葉さんと違って角が生えていないでしょう?」

「あ、ほんとだぁ~」


「鬼化が進めむと角が生えるようになります。そして、感染が進むほど、強くなるんです」

「はえー……そうなんだぁ~……」


 一方で、二葉が言う。


「すごい……セントリアさん、何でも知ってるんですね。まるで……神様みたい」

「そんなたいそうな存在ではありませんよ。さ、進みましょう」

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