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第49話 バカ聖女とカスクソ冒険者の邂逅


 あたしは壁際の椅子に座らされていた。

 テンラク王太子に、そこで反省してろと厳命されたからである。


 令嬢の一人が、レイネシア皇女に尋ねる。


「殿下おしえてくださいな。美しさの秘訣ってなんなんですの?」


 ……つい、そちらに意識を向けてしまう。

 そう、元モブのこいつが、こんなにも美人になった秘訣とやらが気になるのだ。


「わたくし、特別な温泉に入ってますの」


 風呂に入ってるからなんだっていうの……?


「そこの温泉に入れば、お肌すべすべになりますの」


 ……まあ、確かに日本でも、美肌効果の温泉あるけどさ。


「髪の毛は宝石のように輝きだし」

「は?」

「体重はみるみる落ちて」

「はぁ?」

「いくら食べても太らない体質を手に入れますのよ」

「ちょっと待てやぁあああああああ!」


 あたしは思わず声を荒らげてしまった。


「ありえないでしょ!? それ!」

「ありえないとは……?」

「髪の毛が輝くとか、入るだけで痩せるとか、体質が改善されるとか! そんなのありえねえっつったのよ!」


 もう温泉の領域を越えてるじゃあないのよ!?


「事実、わたくしも、お母様も、温泉効果でほらこのとおり」


 まあ、確かに?

 レイネシア皇女には無駄な肉が付いておらず、綺麗な髪の毛をしてるけども。


「そんな魔法のような温泉が実在するんですか……?」

「あら、気になるんですか?」


 あたしだって、綺麗になりたい。

 女子はいつだって、美への探究心を胸に秘めているのだ。

 

 あたしは、まあ元々美人だけども。

 より美人になりたいのである。


「申し訳ありませんが、秘湯の場所を貴女だけには教えられませんの」

「な!? なんでよっ!?」

「ご自分の無い頭を使って、よく考えてはいかが?」


 無い頭って、バカってこと!?

 きー! なんなのさこいつぅ……!


「さ、皆さんあちらで話しましょうか」


 レイネシア皇女は貴族令嬢たちをつれてあたしから離れていく。

 ああもぉお! なんなのよぉ! あたしを仲間はずれにするんじゃあないわよ!


「何をしてるんだ、コビゥル」

「テンラクさま! あ、あたしちゃんと座ってましたわよぉ~」


 テンラク王太子がため息をつく。


「ところで、巡礼の日程が決まったぞ」

「巡礼……」


 【びにちる】は大きく2つのパートに別れている。

 学園パートと、アドベンチャーパートだ。


 学園パートでは、イケメン達との楽しいスクールライフが描かれる。

 一方で、アドベンチャーパートは、主人公が各地の瘴気溜まりという場所を巡って、瘴気を浄化していくという……。


 ぶっちゃけ、一番面倒くさいパートだ。たのしくないし。イケメンとの出会いもないし……。


「わかるぞコビゥル。魔物との戦いが不安なのだろう? でも、安心しろ。戦闘のプロを雇うことにした」


 別に魔物との戦いが不安なのではなく、そもそもこの巡礼事態が面倒くさくてやりたくないだけなんだけど……。


「紹介しよう。ゲータ・ニィガが誇る、Sランク冒険者パーティ【黄昏の竜】、そのパーティーリーダーである、カスクソーだ」


 ……あたしの前に現れたのは、モブ顔の男だ。

 特段顔が整っているわけでも、身長が高い訳でもない。


 それに……冒険者って。

 現実で言うところの、派遣社員やバイトのようなものだ。


 ランクは高いようだけど、そんな社会的地位の低い男には、興味ないわね。


「初めまして、聖女コビゥルさま。ぼくはカスクソーと申します」

「はいはい、よろしくね」


「ぼくらが居れば安全に旅ができます! なにせ、ぼくらは超優秀な冒険者パーティですからね!」


 テンラク王太子が、カスクソーの連れてきたメンツを見て言う。


「聞いていた話では、6人パーティではなかったのか? ここには5人しかいないようだが……」

「ひ、一人やめてしまって……。ああ、大丈夫ですよ! 新しいメンバーをスカウトしましたので!」


「新入りをこのタイミングで……? おいおい、大丈夫なのか?」


 確かに急に新入りが入ってきて、仲間と連携できるものなのかしら。


「大丈夫です! 新しいメンバー【も】優秀なやつですので!」


 ってことは、前のやつも優秀だったってことか……。


「それに、このパーティにはこのぼくが! 超優秀なSランカー、カスクソーがいますので! ご安心ください」


 ま、大丈夫か。

 魔物に襲われて、ゲームオーバーになっても、コンティニューすりゃ良いだけの話だしね。


「ぼくが居れば超安心! 絶対、確実に、100%安全な旅を保証しますよ!」


  名前持ち(ネームド)でもないキャラに言われてもね……。


「せめてエルメルマータ様がいれば……」


 【びにちる】で有名冒険者といえば、エルメルマータさまだ。

 イケメンでエルフ、凄腕のスナイパーである。


「? エルメルマータをご存知なのですか? 聖女様」

「ええ。彼が居ればより安全に旅ができるなと思ったんですけどぉ」


 まあ居ないならしょうがないか。


「そうですか。それは残念。あいつは先日までうちのパーティに居たんですが……」


 今こいつ……なんつった?


「ちょっと待って、エルメルマータってあんたらのパーティに居たの?」

「ええ。もうクビにしましたけど」


「はぁあああああああああ!? く、クビぃいいいいいいいいい!?」


 エルメルマータって、超優秀なスナイパーじゃあないの!?


「どうしてクビになんてしたのよ!?」

「ま、まあ……色々ありまして」


 気まずそうに、カスクソーが目をそらす。

 いや、アリエナイでしょ……あんだけ優秀なスナイパーをクビにするとか……。


 やめた、ならわかるけど、くびにするって……。

 こいつ……もしかしてとんでもない間抜けか、目が節穴なんじゃ……?


「あいつが居なくても、このぼくが居れば問題ない! なにせぼくは、超凄い冒険者なのですからね……!」


 ……なんか、急に不安になってきたわ。

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― 新着の感想 ―
>魔物に襲われて、ゲームオーバーになっても、コンティニューすりゃ良いだけの話だしね。 槍、剣、弓、「「「そんな風に考えてた時期が私達にもありました」」ぞ!まったく我ながら愚かしいですな!そもそも(ry…
( ̄▽ ̄;)あ、生きとったんか、コイツら… ( ̄▽ ̄;)よー生きとったなー… (ー_ー;)それとも、時系列が、前後してる?
聖女はエルメルマータの性別すらわからないポンコツ
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