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第48話 叱られるバカ聖女


 なんとか頑張ってドレスを着て、夜会会場へとやってきたわ。

 年頃の貴族の子息、令嬢たちがすでにたくさん集まっていた。 

 さ、モブども。

 主人公がきてやったわよ〜〜!


 女モブは、あたしの美貌に見惚れたり、嫉妬の視線を向けたりしなさい!

 って、あれ? あれ?


 なんか、みんな同じ方向を見てない?

 主人公さまを無視して、一体何見てるの?


「おきれいですわ〜」「お肌すべすべ!」「髪の毛なんて光り輝いてて宝石みたい〜」


 口々に、誰かを褒めてるんですけど。


 主人公であるこのあたしに向けるべき賛辞を!

 あたし以外に向けてんじゃあないわよ!

 腹たつ!



 ちょっと気になるから見にいってやるわ。

 ま、どーせね、大したことないから。


 だって主人公あたし以上に、この世界ものがたりで綺麗な存在いるわけないっしょ?


 このゲームは、非モテの可哀想なプレイヤーのためにつくられた、優しい優しい世界なんだから。

 その分身たるあたしが一番じゃあないなんて、ありえないんだから!


 で、あたしはみんなの視線が集まる先に、向かう。

 どーせたいした美人じゃあないんでしょ。

 

「って、ええええええ!?」


 テレビに出てくる人気アイドルも顔負けの、超絶美少女がいたのだ!


「レイネシア皇女さま、ほんとにお綺麗ですねぇ!」


 レイネシア皇女って、マデューカス帝国の?

 うそ〜!?

 パーティで会った時より、めちゃくちゃ美人になってるじゃあないのよー!


 なに、あのぷるぷるお肌?

 なにあのきらっきらに光ってる髪!

 しかもなんかすっごくいい匂いがする!



「皇女さま、どうしてそんなにお美しいですかぁ?」


 とモブがそう言う。

 

「ありがとう。この美しさには、実は秘訣がありましてよ」

「「「秘訣!? えー! なんですかそれぇ〜!」」」

「ふふふ? 知りたい? 気になります?」

「「「気になりますぅ〜! 教えてください!」」」


 ……むっかつく。

 ムカつくムカつく!


 なんなのよ!

 モブどもから、羨ましがられて!

 注目浴びられて!


【びにちる】のサブキャラでしかないあんたが、なーに主人公様より目立ってんのよ!


「うぉっほん! ちょっとよろしいかしら?」


 あたしは思わず、レイネシアに話しかけていた。


「あら、あなたは確か……」


 すっ、とレイネシアの目が細められる。


「レイネシアさん、ごきげんよう」

「……さん?」


 ぴくっ、とレイネシアが眉をひそめる。


「あたしが来たっていうのに、挨拶もないなんて、ちょっと失礼じゃあない?」


 聖女。

【びにちる】における、重要なポジションだ。


 この世界には魔のものたちがいる。

 そいつらは、障気という毒ガスから発生する。


 で、その障気を浄化できるのは、聖女だけ。

 つまり、聖女はこの世界において、最重要ぽじなのよ。

 魔物がいるせいで、人の命が軽いこの世界ではね!


 その聖女にまずは挨拶するべきでしょ? って言ってやったのよ、モブどもに。

 

 みんながあたしに注目する。

 そうそう、これよ。これを望んでいたのよ。

 さぁ、あたしの美しさをたたえなさい。


「なにあれ」「突然なんなの、偉そうに」「てゆーか、誰……?」


 は?

 はぁ!?

 はぁああああ!?


 だ、誰!? 誰ってなによ!?


「ちょっと今誰って言ったやつ誰よ!? このあたし、聖女コビゥルになんて口きいてるのよ!? 不敬よ!」


 聖女は世界を救う存在なのよ?

 しかも聖女コビゥルっていえば、王太子の婚約者!

 つまりちょー偉い存在なの!

 だっていうのに、このモブどもは、なんなの!? 誰とかさー!  失礼すぎるでしょ!


「コビゥル……さま?」

「え、うそでしょ笑」

「コビゥルさまって、もっと美人だったじゃん」

「別人じゃあない?」


 なに、それ……。だれも、あたしもコビゥルって認識してないの?


 まるで、滑稽なものを見るみたいな、そんな目向けてくんじゃあないわよ!


「聖女さまってこの世で一番美しい人って聞いたけど……」

「レイネシア様と比べると、ねえ?」


 な、な、なんですってぇえええええええ!?


「このモブ同然のサブキャラ皇女なんかより、あたしのほうが綺麗でしょうが! 無礼もの! ちょっと誰か、今あたしに無礼を働いたやつらを、しょっぴいてちょうだいな!!!!!」


 この会場にはたくさんの騎士たちが配備されている。

 あたしはそいつらに、この失礼なモブどもを捕まえるように命令する!


 あたしは王太子の婚約者なのだ。

 次期王妃なのだ。

 モブ騎士どもは命令に従う……。


「いや、さすがにそれはちょっと……」


 な!?

 モブ騎士どもが、あたしの言うことを聞かない!?

 

「ちょっと次期王妃の命令よ!? どうして聞かないのよ! ふざけんなよ! テンラクさまに言って死刑にしてもらうわよ!?」


 全員が、あたしに向かって、冷たい眼差しを向けてくる。

 な、な、なによその目……! 

 もう! なんでさっきから、あたしの思った通りに物語が進んでいかないのよ!


 おかしいでしょ!?

 あたし主人公なんですけど!?


「コビゥル!!!!!!」


 そこへ、テンラク王太子がやってきた。

 あたしにベタ惚れの、あたしの言いなりの王子。

 ちょっとこないだは、関係がギスギスしたけど、今も変わらず彼はあたしの全肯定マシーンなはず。


 ばしぃいん!


 なん、で。あたし、テンラク王太子に、叩かれたの……? 


 え、え、な、なんでぇ?

 なんであたし、ヒーローに怒られてるわけぇ?

 意味わからないんですけど……?


「謝れ! このバカ聖女!」


 テンラク王太子はあたしの頭を掴むと、思い切り、地面に叩きつけたのだ。

 そのまま無理やり、土下座させられる!

 な、なんでこんなことさせられてるのよぉ!


 あたし主人公なのにぃい〜……。

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(; ̄Д ̄)馬鹿王子がマトモな反応をしている? ( ̄▽ ̄;)天変地異の前触れか?
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