第45話 カスクソー視点
ぼくはカスクソー、Sランク冒険者パーティ【黄昏の竜】のリーダーだ。
世界で数えるほどしかない、Sランクパーティ。
そのリーダーとして、高い地位と実力を兼ね備えた、スペシャルな存在だ。
テンラク王太子からの大口の依頼も受け、人生は順風満帆……!
……って思っていたんだけど……。
「ぜえ……はあ……み、みずぅ~……」
……ぼくたちはいまだ、奈落の森の中にいた。
あの黒髪の女に出会ってから、3日も経っているのに、まったく、森の外に出れない……!
周りに木しかなく、目印となるものがないので、完全に迷子になってしまった……!
「な、なあリーダー……おれら、まずくね……?」
パーティメンバー達が皆、不安そうな顔をしてる。
「エルメルマータのやつを、追い出さない方がよかったんじゃあ……」
「グッ……!」
……ここまでくると、さすがに、ぼくも自分が間違いだったんじゃあないかって気づいてきた。
斥候を、追い出したことを。
……あいつが出て行くまでは、一度もダンジョンで迷子になったことはなかったのだ。
「それに、水も食糧も……エルメルマータは管理してくれてた。無くなっても、すぐにどこからか、調達してきてくれたし……」
ぼくらは現在、食べ物も飲み物も底を突いてる状況だ。
無計画に食べ、飲み過ぎた。あっという間に、食糧も水もなくなってしまったのだ。
見つけようと思っても、全然見当たらないのである。くそっ……!
ほんと、追い出さなきゃ良かった……!
「リーダー……おれもう駄目だ……腹減って動けねえよ……」
仲間達がその場にへたり込んでしまう。
かくいうぼくも、動く元気が無い……。
「こんなとき、エルメルマータがいれば……鳥とかぱぱっと捕まえてきてくれるのに……」
「なんでリーダー、エルメルマータ追い出しちゃうんだよぉ……」
仲間達がぼくをディスってくる。
が、腹が減りすぎて、怒る元気も無い……。
「彼女追い出したのはリーダーなんだから、なんとかしてくれよぉ」
「いや、そんなこと言われても……」
仲間達の、ぼくを見る目が冷たかった。
リーダーであるぼくへの、信頼度が下がっている気がする。
だ、駄目だ。なんとかしないと……。
「ん? あれは……」
そのとき、茂みの近くでキノコを発見した!
「しめた! キノコだ!」
ぼくは自生するキノコを見つける。
いくつも生えているそれを、ぼくは手に取る。
「すぅ~……はぁ~……良い香りだ……! きっと食べられるキノコだぞ!」
仲間達が歓声を上げる。
けれど、そのうち一人が手を上げる。
「あのぉ~……。エルメルマータが、言ってませんでした? 森のキノコを食べるの、あぶないって」
「これに毒が無いって保証、どこにあるんですか?」
「……はぁ。こんなとき、エルメルマータがいれば、毒キノコかそうでないか、一発で見分けが付いたのに……どうして追い出しちゃうんだよ……」
仲間達の目が、ぼくに向く。その目は、非難の色が見て取れた。
「な、なんだよ! ぼくのせいだっていうのかよ!」
「そりゃ、追い出したリーダーのせいだろ?」
仲間達が同調するようにうなずいてる……!
リーダーとしての威厳が、どんどん失われていってる……!
「じゃあ、ぼくがこれ食べて、証明してみせるよ!」
このとても良い香りのするキノコを、ぼくは手に取って言う。
「い、いややめておいた方が……」
「絶対やめといたほうがいいですって、他の食糧を……」
仲間達が止めようとする。
「斥候なんていなくても、食糧くらい、ぼくにだって見つけられるって事を! 証明してみせる……!」
ばくっ、とぼくはキノコを食べる。
口の中に広がる、芳ばしい香り。
噛めば噛むほど、うま味が、が、がが、がががが……。
「あががっ、あががががががっ!」
あが、あべあがあが、からら、しびれ、れれ、あれれれれれれれ……。
「リーダーがアワ吹いて痙攣しだした!?」
「リーダー! おい! しっかりしろ!」
「カスクソー! カスクソぉおおおおおおおおおおおおお!」
ああ、エルメルマータ……。
君の、言うとおり……だった……。
森のキノコは、不用意に口にしちゃ……だめ……だ…………………………。
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