第3話 温泉作ったら、領主が若返った
ゲームだと、セントリア・ドロは、【土地神の加護】を持っている。
このびにちる世界では、生まれたとき、女神さまから特別な力……加護をもらうのだ。
剣神の加護を得ると、剣の達人になる。
火の加護を得ると、自由に火を操れるようになる。
セントリアの加護、【土地神の加護】は、文字通り土や地に関する力。
たとえば、地面を隆起させて、土の壁をつくったり、地質を変化させたり。
とにかく、大地に関する力を持っているのだ。まあまあチートなキャラ……なんだけど。
彼女は、自分の加護については、あまり好ましく思っていなかった。
『地味すぎて高貴なわたしに釣り合いませんわ!』だってさ。
でも……わたしは知っている。
るびちるの攻略本、設定資料集を読んだことのあるわたしは、セントリアのもつ加護が、ひっじょーにチートかつレアな加護だってことがね。
で。
わたしがケミスト領に来て数日後。
領主の古城の裏庭に、ルシウムさまを連れてきた。
「これは……なんだろうか。お嬢さん」
「見ての通り、温泉ですわ、ルシウムさま」
立派な露天風呂が、目の前には広がっているのだ。
ちゃーんと、石造りの床に、湯船まで作っている。
「お、おんせん……? そんなもの、ケミスト領には無かったような……?」
「ええ。ですので、わたくしが作りました」
「作った!? 温泉を……? 君がかい……?」
「はい。加護の能力の1つ、【土地鑑定】を行ったところ、ケミスト領は温泉適性がSSSだということが判明したのです」
土地鑑定。
その土地の、秘めたる情報を見ることのできる力だ。
「どうやらこの領地には、非常に良質な温泉が眠っていることがわかりました。ので、わたしが作ったのです」
「ど、どうやってだい……?」
「まず、土地鑑定で温泉の湧き出るスポットを調べ、【採掘】で温泉を掘り当てたのです」
あとは、【建物作成】で、ぱぱっと露天風呂を完成させたのだ。
土地神の加護は、土を隆起させたり、ドロを作ったりする以外にも、建物や温泉といった、その【土地】に関するものを作ったり、その【土地】に住む人たちが住みやすくしたりできる力を、持っているのだ。
原作登場人物(セントリア含む)や、ライトユーザーからは、土いじりしかできない外れ加護だと馬鹿にされていたけど……。
でも、土地神の加護は、公式が認めるチート加護なのだ。
「さ、ルシウムさま。わたしの作った【痛みに効く温泉】を、ご堪能ください」
「…………お嬢さん。もしかして、私のために……?」
「ええ。リウマチも治りますよ! 元気になったら一緒にこの領地を、案内してしてくださいませ」
「………………ありがとう、お嬢さん」
わたしは彼の着替えを手伝ってあげる。
「ごめんね」と謝る彼に、私は「いえ、これも妻の役目ですので」といって、服を脱がせてあげる。
そして、ルシウムさまを湯船に入れる。
「はあ………………。生き返るようだよ…………こんな素敵な温泉を、ありがとう」
そのときだった。
ぱぁ……! とルシウムさまの体が、光り出したのだ。
「え? えええっ?」
なんと、彼の体が、徐々に……若返りだしたのである。
うっそ……え? ええ?
「こ、これは……信じられない」
そこにいたのは、どう見ても20歳くらいの、青い髪をした、イケメンだった。
「【土地鑑定】!」
~~~~~~
・温泉(S+)
→効能:『体の痛みがなくなる』※
※若返り効果あり
~~~~~~
いや。確かに、若返ったら、体の痛みはなくなるけどさっ。
「……すごい。これは、まさに神の力。お嬢さん……あなたは、本当に凄い人だ」
☆
後に、このケミスト領には、私の温泉を求めて、数多くのマダムたち、女性達がやってくることになる。
入ればぴちぴちの玉子肌になる温泉なんて、入りたいに決まってる。
……まあその中には、わたしが追放されるきっかけとなった、あのコビゥルもいたのだけど、もちろん追い返した。
さらに、この温泉に毎日入ったことで、わたしはさらに美人になり、その噂を聞いた元婚約者であるテンラクがやってくるなんてこともあるんだけど……。
それは、また別の話。
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