裏技
敵の仕掛けたトラップに、エルメルマータのおかげで気づけた。
「相手も、創造スキルを持ってます。わたしが、土木建築スキルを持っているように」
無から有を作る、それが創造スキルだ。
敵は、修復系スキルで穴を治しているのかと思っていたが、どうにも違うとわかった。
「それはどうしてですぅ? 修復してるのかも」
するとイオがしゃがみ込み、落ちている瓦礫を手にする。
「修復スキルには、壊れた破片が必要となるの。でも……」
「破片は転がったまま。つまり、壊れた箇所に新しい素材が作られて、埋められているってことです」
なるほど……とエルメルマータがうなずく。
「でもでも、それってとぉっても厄介ではぁ? だっていくら穴を開けても、すぐ塞がっちゃうってことでしょぉ?」
「そのとおり。でも、それならそれで、やりようがあるんですよ」
ぴっ、とわたしは壁を指さす。
「エルさん、もう一回、壁を攻撃して」
「OK!」
エルメルマータが竜の矢でまた攻撃する。
穴がまた塞がろうとする。
そこへ、わたしは駆け出し、壊れた箇所に手を置く。すると……ぴたっ。
「!? 壁の穴が塞がるのが……止まった……!? どうなってるの!?」
イオもこれを知らないようだ。当然だ。これは【びにちる】でも応用されていた仕様なのだから。
「創造スキルって、何もない場所に素材を生み出して、そこにぴったりはめ込む仕組みなんです。だから作業中に“対象物”に触れられると、位置ズレや形状エラーが起きて、スキルが強制中断されるんですよ」
わたしは穴の縁に手を置いてみせる。
「ほら、こうやって修復箇所に“別の物体”が触れていると、新しい素材をはめ込めなくなる。だから創造が途中で止まるんです」
要は、家を建ててる途中に誰かが壁の穴に腕を突っ込んだら、職人が作業を続けられないのと同じ理屈だ。
「はえー……しゅごーい」
「……よくこんなこと知ってたわね」
するとエルメルマータがニマーっと笑う。
「イオちゃんイオちゃん」
「なによ?」
「女は……秘密を持ってるもんですよぉ~?」
「なにそれむかつくわ……」
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