表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

130/149

またかよ


 いざ、マギア・クィフへ向けて出発。


 馬車は、奈落の森を進んでいく。


 そして――出発から一時間が経過した。


「おかしいでしょ!?」


 正面に座るイオが、声を荒げる。

 ちなみにエルメルマータは御者台で、手綱を握っていた。


「そうですね」


 何がおかしいのか。わたしは聞かずとも、だいたい察していた。


「魔物が出ないことですよねぇ? だから言ったじゃないですかぁ~。魔除けの温泉に入ったって」


 エルメルマータがむふーっと鼻を鳴らし、胸を張る。


「いや、それもそうなんだけどさ。もっと他に、変な点あるって気づかない?」


「ほえ~? いへーん?」


 エルメルマータは、まるでピンと来ていない様子。

 イオは深いため息をついた。


「虫よ、虫!」

「えるを無視ってことぉ~?」

「ちっがう! 虫に全然刺されてないでしょって話!」


 ……そっちか。


「ふえ? どういうことぉ?」


「……あんた、一応冒険者やってたんでしょ? ならわかるでしょ。森の中って、虫だらけなのよ。ヤブ蚊とか、クモとかさ」


「あー……で?」


 エルメルマータののんびりした返しに、イオが盛大なため息をついた。


「こんな深い森の中に入ってるのに、まったく虫に刺されない。これ、おかしすぎると思わない?」


「そうそう! 普通じゃない!」


 わたしが補足すると、イオが大きくうなずく。

 一方のエルメルマータは「ほえ~」と、やっぱり理解していない。


「える、いつも奈落の森で狩りしてますけどぉ~? 虫に刺されたことなんて、一度もないですぅ? それが普通じゃ?」


「んなわけあるかい……! どうせ、セントリアがなんかやったんでしょ?」


 指摘され、わたしはあっさりと認める。


「はい。虫除けの温泉に浸かってますので」


「またか……! どんだけ温泉の効能、多岐にわたるのよ……!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ