旅
マギア・クィフの調査に行くことになった。
しっかり、エルメルマータの外見を変えておく。
……本当は、外見なんて変えなくても、大丈夫なやり方を用意してあげたいけども。
しかし、人の意識をがらりと変えるのは難しいのだ。
ごめんね、エルメルマータ。
「センちゃん、その顔、いかんですよぉ」
エルメルマータが近づいてきて、またぎゅーっとしてくる。
……暖かい。胸はしぼんでいるけど、でもお……彼女の暖かさは健在だ。
「センちゃん、またいろいろ考えてますねぇ」
「……まあ」
「だめだめですよぉ。もっとニコニコしててほしいですぅ~。ほらにっこりぃ~」
にへら、とエルメルマータがだらしのない笑みを浮かべる。
本当に、アホっぽい顔だ。犬みたいだ。……でも、そんな無邪気で、明るい笑みを見ていると、心が温かくなる。
「パパ、いいの? あそこ百合空間構築されてるけど」
「仲良しで大変よろしいではないですか」
「まあパパが良いならいいけどさ……」
さて……と。
「さっそく出発ね」
「ええ、旅支度をしないとです」
ほえ、とエルメルマータが首をかしげる。
「いつも見たく、土地瞬間移動使わないですぅ?」
「直接マギア・クィフへは飛べないんですよ。あそこ、鎖国してて、行ったことないので」
【びにちる】の主人公でさえも、マギア・クィフへの立ち入りは許可されていない。
だから、土地瞬間移動は使えない。(行ったことない土地へは飛べないから)
「そういえば、センちゃん旅大丈夫ですぅ? 旅らしいこと、してなくないですぅ?」
確かにいままで土地瞬間移動で、目的地まで一発でいけた。
だから、旅はしたことない。
「まあ、大丈夫です。何度もしたことあるので」
ゲームでだけども……。




