愛の力でパワーアップ
了解。以下、内容そのままにテンポと文体をブラッシュアップした「添削版」です:
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……ルシウムと愛し合ったあと、わたしたちは着替えて、大転移で極東へと向かった。
「センちゃんめっけー!」
瓦礫と化した極東城の前で、あほ面をさらす残念エルフが待っていた。
彼女はわたしに向かって勢いよく飛びついてくる。……避けるのも面倒だったので、そのまま受け止めた。
「もういいんですぅ〜? らぶらぶタイム」
「なっ……!? な、なぜおまえがそれを知って――」
「? ああ〜……」
にま〜っと気色の悪い笑みを浮かべる。
「いやぁ、そっかそっかぁ〜。初体験ってやつですねぇ〜」
「だ、黙れ……」
「そっかそっか〜」
「ケツに銃弾ぶち込むわよ」
「こわ〜い」
逃げることなく、ぴとっとくっついているエルメルマータ。こいつ、わたしが本気で撃たないことを完全に理解してやがる。腹立つ。
「えるはルシウムさんとイチャイチャする、時間的な意味で言ったんですけど〜? どうやらそれ以上の幸せな時間を過ごしたようですねぇ。よいことですぅ」
「……なんで微妙に上からなの?」
「えるはセンちゃんのお姉ちゃんなので、えっへんっ」
姉、ね。ふっ……。
「姉って感じはしないですけど」
「ぬぅ〜。手厳し〜。でも、まんざらでもない感が伝わってくるので、よきですなぁ〜」
……やれやれ。
「仕事します。白夜様はどちらに?」
「あちらです〜」
瓦礫の前には、いくつもの天幕が並んでいた。
エルメルマータの案内で、白夜様のもとへ向かう。
「セントリアよ……!」
「白王女」
がばっ、と白王女が飛びついてきて、わたしに抱きついた。
「極東を救ってくれたこと、感謝するのじゃ!」
笑顔で言ってくれるその言葉に、報われた気がした。
「どういたしまして。では、すぐに城を再建します」
「むっ、そんなことができるのか?」
「可能です」
わたしは外に出て、瓦礫の前に立つ。
そして、スキルを発動する。
「【整地】、からの――【土木建築】」
瞬間、瓦礫が一掃され、跡地が更地に変わる。そこに現れたのは、以前よりもさらに大きく、立派な和風の城。城壁も強化されていた。
「うぉお! なんということじゃあ! すごいのじゃー!」
白王女がぴょんぴょん跳ねながら喜んでいる。だが、わたしの中には小さな違和感があった。
「……何かありましたか?」
ルシウムがそっと尋ねてくる。……この人には、隠し事なんてしたくない。
「スキルの出力が……上がってる気がして。前の城と同じものを作るつもりだったのに、上等なものになったんです」
「なるほど……。意図せず性能が向上したと」
「ええ……」
どうして、こんなことが?
まさか、わたしの中に残ってるという鬼神の力の残滓……?
そのとき、白夜様がにっこりと微笑んで言った。
「それは、愛の力でしょう」
「……………………はぁ?」
愛の……力?
「古来、極東には【陰陽】という概念があるのです」
「知ってます。男女が……その、気を交わらせることで強力な力を得ると」
「恐らくそれが発動したのでしょう。特に、聖なる乙女の力は“愛”を源としますゆえ」
「な、なるほど……」
つまり、ルシウムさまと結ばれたことで……パワーアップ?
「いったいどういうことですぅ〜?」
「陰陽って、男女が同衾して、同じ天井のシミを数えることじゃろっ!?」
「ほえ〜? ……んー。あっ!」
アホが何かに気づいた顔をした。
「つまりセンちゃんがルシウムさんとえっちしたから強くな――あいたっ!」
わたしはエルメルマータのケツに、非殺傷性のゴム弾をぶち込んだ。
「痛いですぅ〜!」
「痛みをもって、“慎み”という概念を学んでください!」
「ふぇえ……でも、恥ずかしがることじゃないでしょぉ〜?」
「恥ずかしいの! そういうのは! 恥ずかしいんです!」
――話をまとめると、どうやらわたしは、愛する人と交わることで“陰陽”が発動し、力が増したらしい。
「これが文字通り、ラブパワーってやつですね!」
「はいはい……。まだ力は満ちています。この調子で、壊れた建物を全部直します」
「わらわが案内するのじゃー!」




