8(3)「バード・ハンター(3)」鳥をぽくぽく食べる
ジョバンニとカムパネルラは、バードハンターから鳥をもらって、ぽくぽく食べます。
なんだ、これはお菓子?
8(3)「バード・ハンター(3)」
鳥捕りは、また別の方のパッケージを解くと、黄色や青い模様が入り混じった、まだら模様の雁が出てきました。まるでLEDのように輝いているその雁は、さっきの鷺と同じように、くちばしを揃え、少し平たくなって並んでいました。
「こっちはすぐ食べられますよ。どうぞ、少し上がって召し上がれ。」鳥捕りは、黄色い雁の足を軽く引っ張りました。するとそれは、チョコレートででもできているように、すっときれいに伸びました。
「どうぞ召し上がってみてください。」と鳥捕りは言いました。
鳥捕りは、1つの実際に存在する雁を手際よく分割して、複数の仮想的な雁に分けました。その分割によって、1つの実際の雁を複数のパーティションに分割し、それぞれに異なるシステムをジョバンニに割り当てたのです。
ジョバンニは、ちょっと喰べてみて、(なんだ、やっぱりこいつはお菓子だ。チョコレートよりも、もっとおいしいけれども、こんな雁が飛んでいるもんか。
「なんだ、この男は、ハンターじゃなくて、どこかそこらのネットのフリーランスのパティシエだ。」とジョバンニは思いました。
しかし、鳥捕りが差し出した雁の形をしたお菓子は、まるで天から舞い降りたように美味しそうに輝いていました。
「けれどもぼくは、このひとをばかにしながら、この人のお菓子をたべているのは、大へん気の毒だ。」と思いながら、ジョバンニは美味しそうな雁のお菓子をぽくぽくと食べました。
「もう少し召し上がれ。」
鳥捕りがまた新しい雁のパッケージを取り出しました。ジョバンニは、もっと食べたかったのですが、
「いいえ、ありがとうございます。」
と丁重に辞退しました。
鳥捕りは、こんどは向うのアドレスの、大きな秘密鍵を持つ人に雁を渡しました。
「商売ものをもらっちゃ悪いですな。」
その人は、黒いヘッダーの帽子の下から顔を出しました。
「よろしくお願いします。で、今年の渡り鳥の景気はどうですか?」
鳥捕りは尋ねました。
黒いヘッダーの帽子をかぶった男は、こう答えました。
「素晴らしいですね。
つい先日、第二象限あたりで、灯台のライトが不規則に点滅している理由について、多方面からクレームを受けました。
あの渡り鳥の大群だ。闇の群れを飛んで光の前を通り過ぎるんだから、どうしようもない。
派手なマントを着た極度にやせっぽちの将軍たちに文句を言え、こういってやりましたよ、ハハハ。」
バードハンター、鳥捕りの不思議は、まだまだ続きます。