③作戦会議
ようやく、全ての情報が集まり、いよいよメインビルの大会議室で作戦会議が始まった。紀ノ松がホワイトボードの前に立ち、書記係を務める。横田は、その前にある席に座り、挙手係を務めた。
「救出作戦会議をしたいと思います」
横田が言った。
「はい」
会議室にいる長官の約半分が一斉に手をあげたので、エージェントが手分けして意見を聞いた。その後、紀ノ松がホワイトボードに出た意見を書く。
主に出た意見は、次のようなものだった。
「本部奪還組と救出組に別れたほうがいいと思います」
「手分けして行きましょう」
「NMSPは、AIIBSOのいくつかの支部に救出に行き、少しでも早く本部奪還に行った方がいいと思います」
意見の出し合いが数分続いた。
「もうこれ以上は、意見ありませんか?」
横田の問いかけに対し、誰も手をあげなくなったため、ここで締め切った。
「次に、多数決で決めたいと思います」
「はい」
紀ノ松は、ホワイトボードに書いた一つ一つの意見を指さしながら、手をあげてもらうように求める。また、横田が人数を数えた。
「この作戦がいい人」
「30人」
「この作戦がいい人」
「40人」
「この作戦がいい人」
「20人」
「この作戦がいい人」
「10人」
そういったやり取りが数分続いた。
そして、その結果。
「手分けして行くことになりました」
「この支部には150もの諜報機関があるので、4つの諜報機関ずつに分かれて、作戦を実行したいと思います」
「最初に経験豊富な諜報機関を3つ選んで、奪還組とします」
横田がそう言ったあと、すぐに手が挙がった。
「エージェントK、いやエージェント5。私の諜報機関でよろしければ、お願いします」
立候補したのは、もちろんSSBの岩村長官だった。
「わかりました。僕をNMSPに排出してくれたお礼として、一緒に行きましょう」
「ありがとうございます」
「他、あと2つ」
「お願いします」
「お願いします」
2人の長官から、同時に手が挙がった。手を挙げたのは、ブラックファイターズ(BF)の桜田 泉長官とハピネスレインボースターズ(HRS)の岩瀬 洋一郎長官だった。
「確か、BFとHRSは……」
「そうです。私の諜報機関は、AIIBSOに対抗するための最終候補まで上がっていました」
桜田長官が言った。
「私の諜報機関に属するエージェントは、NMSPで3番目くらいに優秀です」
「そうでしたね。一緒に行きましょう」
「ありがとうございます」
それ以外の諜報機関は救出組として、4つに分けた。