6話
「おはよ」
「ん、おはよー」
「おはよう」
「おは」
朝教室に入り、挨拶を交わす。
席に鞄や弁当などを置き、男子が固まる場所に行く。
「そういえば、来週修学旅行じゃね?」
「あ、確かに。でも県内かぁ」
「田舎だからなんもねえよな」
言われてみれば、コロナのせいで延期し続けていた修学旅行もあと一週間である。
「班とかいつ決めるんだろ」
「仲良くない人と一緒はまじめに辛い」
「何人班とかもまだ聞いてないし、なに持ってくかもわからんぞ」
「となりのクラスの伊藤は、任天堂数Ⅰ持ってくってよ」
「数Ⅰ? まじめかよ」
「いや、Switchな」
「不真面目じゃねぇか。どうなってもしらんぞ」
そんな話をしているとHRの時間が近づいてきたので、席に戻る。
鞄から筆箱を出したりしていると、不意に肩を叩かれる。
ビクッとして、叩かれた方を見ると、東雲さんが隣の席から身を乗り出してこっちに近づいていた。
「えっと、どうしたの?」
「さっきさ、修学旅行の話してたでしょ?」
「まぁ、うん」
「班員の話、先生がしてたよ。五人班だから、各自で決めて紙に名前書いて先生に提出だって。ちゃんと話は聞かないとダメだよ」
「は、はい、すみません」
急にお説教されて萎縮するも、こういうのを教えてくれるのは本当に助かる。
つーか男子誰も聞いてなかったのかよ。
♢♢♢
国語の時間。
今日はいつもと違うものを各自で解くようだ。
分からなかったら近くの人に聞いてもいいと言われはたが、周りが誰も聞かないのでとても教室が静かだ。
これでは分からない人も聞きにくい気がする。
俺は国語は得意で、配られたプリントなんかもすぐに終わった。
暇だったので、周りを見渡してみると左隣の東雲さんで目が止まる。
なんだかんだ、まだチラチラ見てしまうんだよな。
そんな東雲さんだが、鉛筆を持ったまま手は一向に動かない。
問題に悩んでいるようだった。
だが、俺から教えに行く勇気もない。
教室が静かすぎる。
運のいいことに、どこでつまづいているのかは目で見える距離なので、つまづいている問題の解説を付箋に書き込む。
わざと消しゴムを落として、それを取るついでに東雲さんの机に付箋を貼る。
それに気づいた彼女は、付箋の内容に目を通すと、俺の方を見て会釈をすると、問題を解き始めた。
その問題は無事解けているようで、なんだかとても嬉しかった。
というか、相手は元カノだぞ。
付箋を受け取ってもらえなかったら俺はとんだ恥晒しなんだが。
いまになって受け取ってもらえない可能性があったことに気づき、冷や汗をかく。
授業の終わり時、隣を見ると俺があげた付箋を丁寧にその問題のところに貼ってクリアファイルにしまっている彼女を見て心がギュッとなるとした。
なんか。捨てずにとっておいてくれるってだけで、すごい感動した。
授業が終わると、「本当にありがとう! めっちゃ分かりやすかったー! まじでゆうくん教えるセンスあるね」と話しかけてくる東雲さん。
なぜか顔が見れない俺は、俯いたまま、「いえいえ、わかったならよかった」と一言残してそそくさと男子の方へ向かう。
「おい裕二。俺は見てしまったぜ!」
「え、なにを?」
「お前が東雲さんに付箋で愛を囁いていたところをなぁ!」
「まじか、こいつ!」
「……は? ちゃうわ」
「おっとぉ裕二くん? 俺たち友達だよな?」
「ちゃうわってなんやちゃうわって。俺らを差し置いて彼女を作ろうだなんて思ってないよね? ね?」
「俺に彼女なんかできる訳ないだろ」
「それもそっか」
「そうだな」
俺と東雲さんが付き合っていたことを知っているのは一部数人だけだ。
ふっ俺はお前たちと既にステージが違うのだよ(((←すぐに振られた人間
もうちょっとで10000文字。
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