秋の終わりに
私は、一人。
彼氏もいなければ男の人との関係もない『喪女』だ。
男と一緒にいたい。
だからいろんな出会い系アプリ、サイトを漁った。
私が32歳になって『楓蔦黄』時期、私はとうとう諦めた。
もう無理だと思ってしまった。
たくさんの出会い系アプリに手をつけてきたがまったく進展はない。
恋愛だけに意識が向いていてしまい、仕事にもついていない。
こんな私に腹を立てたのか両親は私を家から追い出す始末だ。
だから、私にはもう、無理だった。
今となっては男を思うだけで気分すら悪くなって来る。
どうにもできないこの辛さは私を蝕んで行く。
毒が体を回るようにどんどん、どんどんと侵食していくのだ。
とうとう住む家もなくなったある日、腐れきっていた私に男の子が前に立った。
「お姉さん、なんでお姉さんはそんなにダメダメなの?」
まるで私を知っているかのようにその子は話しかけてくる。
「なによ、子供には関係ないわ」
その子を押しのけて進もうとする。
するとその子共は再び私の前に立ち塞がった。
「お姉さん、僕が助けてあげようか?」
その瞬間、その子がとてつもなく悪に見えた。
表情では光っているが中に入ると暗くなってしまう。
そんなオーラがその子から放たれていた。
「なによ、子供には心配されるほど私は落ちぶれてなんかいないわよ」
先ほどまでと同じような口調になったが、わかりやすく強く言った。
「お姉さんは今を逃すとこのあとどうすることもできない。そうでしょ?」
「もし君に助けを乞いたとして君になにができるの?…………君みたいな子供が、一体私になにをもたらしてくれるの?」
するとその子は不適に笑う。
今までの明るいオーラが消え去り中にあった邪悪なオーラが外側に出てきていた。
「僕はね、子供じゃないんだよ」
するとその子は手を伸ばす。
どんどん、どんどんと腕は伸びていき、ついに子供の手が地面に垂れていた。
「な、なによ」
怖くなり一歩下がる。
怖い、怖い。
そういう恐怖心が体を震わせていた。
「ねえお姉さん。僕と契約してよ」
すると何もない空間からペンと紙が出てくる。
「それにサインして。そしたら僕がなんでもお姉さんの願いを叶えてあげるよ」
非現実的な言葉が私の耳には届いた。
(これにサインすれば願いが叶う……?)
どうしようもない状況に置かれていた私を、地のどん底に落ちていた私を、この契約書にサインするだけで変わる。
そう、気づいた。
私はなにも考えず、ペンを手に取った。
そして契約書にサインする。
「これで願いを叶えてくれるの?」
「うん、もちろん!!
それじゃあ、願いをどうぞ?」
答えは、もう決まっている。
散々な人生を送ってきたんだ。
こんな人生なら、
「──私の人生をやり直させて」
そうお願いする。
すると子供は手を前に出す。
細長い腕が少し宙に浮き、垂れた腕が地面から離れる。
「ハハ、いいじゃない、僕がその願い叶えてあげるよ」
次の瞬間その手からブラックホールのような暗闇が写る。
その暗闇は私を包み込み、やがて視界は真っ暗となった。
さようなら私の人生。
──そしてはじめよう、私の人生。
「まあ、君は記憶を失うからこれからも同じ人生を歩むんだけどね。
だってお姉さんの願いは“人生をやり直したい”、そういうことだもんね?」
最期にその言葉と子供の笑い声が聞こえ、意識は途絶えていった。
Thank you for reading!
お題は「楓蔦黄」、「喪女」でしたあ。
実はイベント内で書ききれなかったんですよね、はい。(20分内)
ちなみに最初はこの物語だとハッピーエンドにするつもりだったんですけど、やっぱりバッドエンドにしました!




