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結社の青い彗星


「……偽装ッ! - disguise - !

 レベル2 モードskateッ!」


 足元の黒泥塊を一瞬で形状変化させます。


 ねっとりとハイヒールに纏わり付かせて、そのまま底部にスピードスケートのような刃を生成いたします。


 こちら、以前にも使いましたわよね。

 それのブラッシュアップ版になりますの。


 このまま走り回るだけ体力の無駄でしょう?

 自力では移動スピードにだって限界がありますの。


 この際ですから地表を滑るようにして駆け巡って差し上げましょう。


 自由自在に動かせる泥を動力に、その場から動こうとせずとも移動が可能となったのでございますッ!


 見ての通り辺りの地面は光に穿たれてデコボコになってしまっておりますが、私の黒泥シューズの良いところは泥でできているってコトですの。


 実際に触れている部分はぬめぬめドロドロのままなのです。上手い具合に凹凸にマッチして、引っかかりのヒの字も感じることはありません。


 唯一の欠点としてジャンプしにくくなってしまいますが、どうせ宙に浮いてしまったら格好の餌食となってしまうのです。


 どのみち今は考えなくていいんですのっ!

 スイスイと滑るようにして舞って差し上げますっ!


 

「私の超絶スピード、着いてこれまして?」


「ふぅん。ばっかじゃないの? そんな靴履いたところで、光よりも早く動けるわけないじゃん。今すぐ貫いてあげ――うっ!?」


「うふふっ。それはどうかしら、ですのっ!


 まずは挨拶程度に、残像をお見せして差し上げます。


 彼女の(まばた)きの間に2メートルほど離れた位置に瞬間移動いたします。


 見ての通り、黒泥を操作すれば予備動作も無しに、文字通り滑るように場所移動できるんですのッ!


 ほらほらお見惚れくださいましっ。


 こうして腕組み仁王立ちしたまま、前後左右にギュルンギュルンと――





 …………うぇっぷ。



 た、確かに素早い移動はできますが、その分身体に掛かってくるGもキツめになってまいります。


 高適合率の加護に守られているとはいえ、無理な動きをすればするほど、内臓が悲鳴を上げ始めてしまうのですけれどもっ。


 今だけは背に腹は変えられませんのっ。

 会心の一撃を当てるまで辛抱いたしますのっ!



 グッと息を止めて歯を食いしばって、大きくS字を描くようにして彼女に急接近いたします。


 途中途中で危ない閃光が飛んできてはおりますが、ただ突っ走っていたとき先ほどに比べればだいぶ避けやすくなっているのですっ。


 余裕を持ってヒラリと身を捩ってかわして、そのままクルクルと高速回転しながら更に距離を詰めます。



 彼女まで、あとたったの4メートル……!


 3メートル……2メートル、1メートルッ!



 今ですのッ!



「捉えましてよッ! もう逃がしませんのッ!」


「んぐッ!? ぐぅぅう……ッ!」



 ゼロ距離接近しかけたそのタイミングで、勢いに身を任せて裏拳を放って差し上げますッ!


 ホントは真っ正面からグーで殴って差し上げたかったのですけれどもっ。


 さっき身を翻す方向を間違えましたのっ。

 きっと逆回転でかわしたせいでしょう。


 でも構いませんのっ。

 とりあえず一発当てられたらそれでおっけーなのですっ。


 さすがの彼女もほぼゼロ距離では光を放つことができなかったのか、腕を立てて私の攻撃をガードなさいました。咄嗟の判断としてはまぁまぁだと思いますの。


 よくもまぁそんな細腕で私の裏拳が止められましたわねぇ!


 けれどもたったの一発で終わらせて差し上げるほど、私の攻撃は軽くも少なくもないですのッ!


 すぐさま腕を引っ込めて肘鉄に切り替えます。


 お次に狙うは鳩尾一点ですの。

 ブチ当てて肺の中を空っぽにして差し上げますの。


 お胸に付けたその意志のない(・・・・・)仮初の宝石ブローチをッ!


 真正面から叩き割って差し上げましてよッ!!!



「ふっふん、どうでして!? 少しはご満足いただけまして!? 最強最高の魔法少女をブチ倒すのはっ! この私っ魔装娼女イービルブルーですのッ! 力比べなら負けませんのッ!」


「んぐっ……くぅぅぅぅ……ッ!」


 強引に彼女のガードを押し退けて、そのままぐらりと体勢を崩して差し上げます。


 強烈な一撃をクリーンヒットさせるには、もう少し細かな攻撃を当て続ける必要がありそうですわね。


 であれば、いつもの3倍のスピードで動いて翻弄して差し上げるだけですの。


 結社の青い彗星とは私のことなのです。

 あ、いえ、たった今思い付いただけですけれどもっ。


 ……仮面を被っていたらもっとそれっぽくなっておりましたでしょうか。不思議なオーラを醸す絶世の美女……響きと肩書きは悪くはありませんわね。


 ですが、この美顔を隠すだけもったいないですの。

 国宝級の輝きも半減してしまいますでしょう?


 私、すっぴんでも自信満々に外を歩けるくらいには己の美貌に自信があるのです。


 もちろん総統さんを始め、怪人の皆さまに可愛がっていただくときはバッチリお化粧もいたしますけれども……ッ!


 その辺はオトナの女性としての当然の嗜みですけれども……ッ!


 この数ヶ月、鍛練で培ってきたのは何も身体能力だけではないのです。


 精神力のほうもガッチガチのガチですの。

 伊達に女を磨いてきてないですの。



 私は、この前よりも強くなれたのでございますッ!!



 戦闘中に余計なコトを考えられる余裕があるくらいには、ただ今絶好調なのでございますッ!!!!



「おらッ! おらおらおらおらおらッ! ですの!」


 勝ち気な笑みはあえて隠さずに、至極堂々と怒涛のパンチラッシュを放って差し上げます。


 拳を突き出すのと戻すのがほぼ同時、シュバババという風切り音も聞こえてまいります。


 一般人の目から見たらそれこそ腕が何十本もあるような残像が見えてしまうことでしょう。


 これが正真正銘の美麗百烈拳ですの。


 黒泥メリケンサックも相成って、トンデモない破壊力と殲滅力を叩き出しますのッ!


 適合率100%の魔法少女でも、さすがにこの猛連撃には耐えきれないのではありませんでして!?

 

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