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未来は私たちの手の中

 

「こうして美麗に協力すると決めた以上、今更ヒーロー連合に背を向けることなんて怖くも何ともないポヨ。

す、好きなだけ調べてみるがいいポヨ……ッ! っていうかきっと断っても無理矢理やるつもりポヨよね?」


「そりゃあウチは悪の秘密結社だからな。必要とあればもちろん。ま、内容についてはソッチの赤い変身装置にでも聞いてみてくれ。似たようなコトなら一度経験してるはずだから」


 そう言って総統さんが視線を移しなさいましたの。

 向ける先はもちろん茜の肩の上のプニのほうですの。



「うっ……プニ」


 彼はその身をビクップルンと震わせて半歩ほど後退りなさいます。そうして首の後ろ側にシュンと半身をお隠しなさいましたの。


 ぼそりと呟くようにして続きの言葉を発されます。



「……いや、正直に言えばあんまり思い出したくはないプニが、まぁ多分何とかなるものプニ。キツいのは最初の一瞬だけプニよ。それ以降はもうジッと耐え続ければいいだけのお話プニから……」


「ふぅむぅー? なーんか地味ぃに不穏げな空気を感じられますけれどもー?」


「美麗に同じくポヨ……」


「と、とにかくプニ。スペキュラーブルーの元になったのはプニではなくてお前らなのプニ。であれば精々徹底的に搾られてくるのがいいプニ。情報は多いに越したことはないプニよ」


 ふぅむ。確かにそれはその通りですわよね。

 闇雲に手探りしていては効率が悪いだけですの。


 ポヨを調べることによって複製さんの弱点が見つけられればそれだけで御の字でしょうし、そうでなくとも変身のアップデートに繋がるモノが得られればかなりの儲け物でしょうし。


 いずれにしても決戦の日は近そうなんですの。


 地下深くに逃げ隠れ続けるだけの日々はホントに終わりにいたしましてよ。そろそろ青空の下を意気揚々と闊歩してみたいものです。


 なぁにが最強最高の魔法少女ですか。

 今ならこうも思えております。


 たかが(・・・)最強最高の魔法少女ってだけですの。

 魔法少女を超えた存在になれば全部チャラですのッ!


 そんな相対的な評価でしか語れない存在なんて、近い未来の私が、イコール究極・真・最強の魔装娼女が返り討ちにしてやるのです。



「というわけで、ポヨ。改めてよろしくお願いいたしますわね。早速ながら名誉挽回のトキがやってきておりましてよ。肝心要の正念場ですの。徹底的に調べ上げられてくださいまし」


「うむポヨ。まぁ何とか頑張ってみるポヨ」


 返事の代わりか私の肩の上で跳ねなさいました。

 約束いたしましてよ。今度は逃げたらダメですの。


 それではどうぞ、総統さん。

 納得できるまで徹底的に調べ上げてくださいまし。

 元相棒の私が全面的に許可を出して差し上げますゆえに。


 具体的な結果が得られるまで、私は引き続き大人しく待ってるつもりですの。


 もちろんのこと鍛練も欠かさずやっておきますの。


 そのうちにツンデレさんのカメレオンさんに一泡吹かせちゃいますの。勇み足の勢いのまま四股を踏んで差し上げられるくらいになって差し上げますの。


 誓いを立てるようにグイとガッツポーズをいたします。


 総統さんの目を見て、そしてメイドさんと茜のお顔を見て、そして最後に肩に乗るポヨと見つめ合って頷き合って。


 正直、今が一番ノリに乗っていると思えるのです。

 だってこの場にいる全員が同じ方向を向いているのですから。


 一人孤独に闘うことしかできなかった過去の私と比べたら、今がどんなに心強くて、そして前向きな気持ちになれていることか、ですの。


 誰かの為になら私はいくらでも頑張れるのです。

 そうやって強くなってこれたのですから。


 強いて言うならこの方々を失ってしまうのが一番怖いことなのでしょうが……そんな最悪の未来を回避するために、今、身を粉にして頑張っているのですの。


 輝かしい未来は私たちの手の中にあるのです。

 ほんの一ミリでも取りこぼしてはなりません。



「ご主人様。そしてメイドさんも茜も、プニとポヨも。みぃんなこの私がまるっとするっと守って差し上げますの。既に弱い私とはオサラバしておりましてよ」


「おうよ。お前の限界を見せてくれ」


「鍛練、私も目一杯協力するからね」


「ですがお嬢様。お辛いときは、どうかお休みくださいませ」


「もちろん分かってますの。私はもう間違えませんの」



 さぁ、来るべき日のために備えましょう。


 よく寝てよく起きて運動してご飯も食べて、たまーに大好きな皆さまと愛を確認し合って。


 蒼井美麗は、近いうちに超絶大躍進いたしますのッ!


 







――――――


――――


――



 





 

 そうしてまた、ポヨとの和解の日から、まるまる一ヶ月ほどが経とうとした頃合いのことでございました。


 上層のプレイルームにて、もはや日課となっていたカメレオンさんとバトル修行に汗水垂らして励んでいたそのとき、でしたの。



「美麗ちゃん美麗ちゃん! 朗報だよ!」


「ふぅむ、茜? どうなさいまして? そんなハァハァと発情期のワンちゃんみたいに息をお切らしなさいまして。もしかして相当に溜まっていらっしゃるんですの? 私がお相手して差し上げたらよろしくて?」


 またもや茜が走ってきなさったのです。



 パァッとやたらに明るいご表情で、入り口のドアをブッ開きなさったのが嫌でも視界の隅に映り込んでしまいます。


 つい見つめてしまいましたの。


 カメレオンさんから放たれる怒涛の連撃をヒョイヒョイとかわしながら、何食わぬ顔で問いを向けて差し上げます。



「あのねあのね! えっとね! ついにね!」


 そのまま興奮を抑えきれないようなご様子でズイズイと近寄ってきなさいますの。


 ええとすみませんわね。正直両手を広げて迎えて差し上げたいところなのですが、ただ今は模擬戦の真っ最中でして、文字通り手が離せないところなのです。


 今もカメレオンさんから全てが致命傷となり得てしまいそうな、とにかく重い一撃一撃を向けられてしまっている最中でございまして。



「オイ青ガキ。お前よそ見とは随分とヨユ――」


「――ええ。さすがに余裕とまでは言いませんが、多少気を逸らしても攻撃をさばき切れるくらいには、私だって成長しているんでしてよ?」


 ふふっ。その不意打ち、正直私の予想の範疇でしたのっ。


 そう何度も食らって差し上げるほど、私はクリームたっぷりのショートケーキみたいな甘ちゃんではございませんのっ!


 たまにはワサビもカラシもビックリしてしまうくらいのいぶし銀な腕前をッ! ガッツリと見せつけて差し上げられるのでございますっ!


 軽く言い放ちながらも決して腕は止めません。


 シュパパパッと連撃を防いで差し上げます。

 

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