第2話 夢の異世界転生
「うっ…ここは」
目を覚ますと森の中にいた。
ややぼやける視界の中辺りを見渡す。
辺りは俺の住んでいた所ではないようだ。
たしか俺はあの時車に跳ねられて死んだはずじゃ?
俺は断片的な記憶を繋ぎ合わせ状況を整理する。
んでここどこだよ……
知らない風景だ。
死……。
こ…これっ……まさか?! 夢の?!
「異世界転生?!」
俺は思わず声を上げて叫んだ。
いやまさか? 本当に異世界転生するわけが無い。
どうせ天国だろ?
いや幻覚?
そのどちらかでなきゃ、あそこからこんな森の中に移動するはずがない。
俺に呆れた親戚が生きたまま森に捨てたとか?
それはさすがに酷すぎるな。
俺は再度辺りを見渡す。
やはり見慣れた光景などではない。
それに辺りには迷路のような模様の植物が生えている。
こんな気持ち悪い植物地球にないよな。
本当に異世界?
こうゆう時アニメとかでは何してたかな。
この世界はどんな感じなのだろう。
スキルとかあるのかな。
アニメとかだと『鑑定』とかそういうスキルでそこら辺のオブジェクトを解析するよな…。
「かっ…『鑑定』!あの気持ち悪い植物を解析」
…………………………。
場に静寂が走る。
恥ずかしすぎるっ!!!今の俺ただ叫んでるヤバいやつじゃないか。
静寂には慣れきっているはずなのだが俺は体温が少し上がったのをかんじた。
前世のやっていたこともだいぶ恥ずかしいがもう慣れたことだ。羞恥心なんて捨てよう。
本当にスキルとかないのか?
こういうのはだいたいあるもんだよな。
「『鑑定』!解析!……かーんーてーいー!!!」
やけくそになった俺は腹から声を出す。
腹に手を当て目を瞑りながら叫んだ。
スキルがあったとしてスキルの発動条件も何も知らないからとりあえず大声で叫ぶという安易な考えだった。
《もぅ…何ようるさいなぁ》
お?
まて今の声って誰だ?
耳から入ってきた声ではない。
脳に響くようだ。
誰々?
……いやまて、
俺の脳裏に嫌な思い出が蘇る。
ほんのさっきの思い出だが。
「お前死ぬ時の!」
嫌な予感がする。運が悪い体質の俺なんだきっと…
《あなたの大賢者だよ》
悪い予感が的中してしまった。
最悪な予感が。
て言うか大賢者?!
《あの植物はねー…うわ気持ち悪いっ》
大賢者(自称)は植物を解析する。気持ち悪いと言う感想に関しては共感する
だが別に感想要らないんだけど、
《わかんねぇや。あれなんなの?》
「無能じゃねぇかぁぁぁ!!!」
最後の最後までフラグを回収してしまった。
俺は完全に条件反射でつっこんでいた。
アニメとかでは大賢者は超有能でなんでも知ってるチートスキルじゃないの?
ほら、主人公が何を聞いても答えてくれる脳内グー〇ルみたいなスキルだ。
でもこんなのじゃうるさいだけじゃねぇか!
何が出来る?
俺はこいつに何が出来るか考えた。
BGM係? 応援係?
んー必要の無いものだけが思い浮かぶ。
俺はとりあえず大賢者(自称)に聞く。
「はぁ……っで、大賢者は何ができるんだ?」
《私の仕事はスキルの解析かな》
ほうほう。
どうやら完全な無能では無いらしい。
スキルの解析が出来るだけでも十分だ。
というかつまりスキルがあるのか!
魅力的な響だ。
魔法とかも使えるのだろうか。
俺は目の前で手を広げる。
「てか俺外出る時の服着たままじゃん」
視界に入ったのは前世の服だった。
俺は腕をのばし全身を見渡す。
黒いパーカーと黒いズボンと黒いスニーカー。
前の世界で着ていたものをそのまま転生したらしい。
そして俺はまた辺りを見渡す。
少し離れたところに水溜まりができている。
直径1メートル程の水溜まりだ。
深さは2センチほどだろう。
風のないここでは水面は凪いでいる。
俺はその水面を覗く。
「は? これ俺?」
水溜まりの表面には美少年が映っている。
髪の毛は赤黒い色だ。
目の色も赤く光っている。
顔を傾けたりして顔を確認する。
おでこの中心辺りに丸い傷跡がある。
いつ怪我なんてした?
前世の体の傷を引き継いだとか?
でもなんでそこだけ?
だが、傷があっても前世のおっさんとは違う美少年ぶりだ。
イー
っと口を開いてみると八重歯が少し長い。
舌を噛んだら痛そうだ。
周囲の木と比べるに身長は170強くらいだろう。
前世と同じくらいだ。
体は違うのになぜ服は同じなのだろうか。
《君の体は魔法元素に変換されてこっちの世界で再構築されたっぽいよ》
なるほどその過程で俺はこっちの世界にやってきてしまったと。
いやなんでだよ!
ふうつは魔法元素(?)とやらには変換されねぇだろ。
ん? あれ? こいつ今ちょっと有能っぽくなかった?
《多分ね!》
そんなことなかった。
だがそこは問題じゃない。多分でも知れただけ良かったとしよう。
曖昧な情報でも今は情報が不足しすぎていた。
というかスキルがあるんだよな。
俺も持っているのだろうか。
まずは、
「スキルの解析が出来るんだったら俺の持ってるスキルを解析してくれよ」
自分がなんのスキルを持っているかは分からない。
『大賢者』が無能なんだなんかあってくれ。
頼む!
《『物理耐性』、『環境効果無効』、『身体能力強化』、 『炎属性耐性』、は言葉のままだね》
そんなにスキルを手に入れていたのか、
《『思考加速』は消費する魔力量に応じて体感時間を引き延
ばせるみたい》
「おぉーちょっと強そうなスキル!」
身体能力が低い俺でも『身体能力強化』使えばこの能力も使えそうだな。
《『時間の管理者』》は消費する魔力量に応じて時間を操作できるスキルだね》
そう無能大賢者はスキルをスラスラと解説する。
《『意識拡張』は魔法使用時のラグを無くせるらしい》
ほうなるほどこれはおまけ程度だがしっかりと使えそうなスキルだな。
《『生存能力強化』はねー…食事、呼吸、睡眠を必要としない体になるスキルだね》
非常に便利なスキルだ。もはや最強なのでは?
アハハハハ!おっといけない。
生前のクズな性格が蘇りそうだった。
「それで?」
そう大賢者に返すと、大賢者は続けた。
《『座標認識』は一定以上の魔力を持つものを自分を中心に第六感で感知できるらしいよ》
「便利なスキルだ。これは索敵に使える。それはどれくらいの効果範囲なんだ?」
俺はふと疑問に思ったことを大賢者に問う。
《わかんなーい》
くそがっ!こいつに聞いたのが間違いだった。
だがここまでの話を聞く限り魔力量に応じて変化するんだろう。
《最後だね『魂保存』は自分の魂と肉体を切り離すことができるって!》
使ったら恐らく死ぬな。他者には干渉できないわけか、このスキルはしばらく封印だな。
《スキルは以上よ》
「ありがとう」
意外とこの大賢者使えるじゃないか。
スキルに関しては……スキルに関してはな。
大事なことなので2回言っておこう。
ここまで理解が早いのはアニメやゲームの影響が大きいだろう。
俺はこれでもかなりの数のアニメを観てきた。
様々なジャンルを網羅していたと言っても過言ではない。
よし試しにスキルを使ってみるか。
………………
ってどう使うんだ?
《耐性とか強化系とかは魔力を使わずに常時使用可能よ》
なるほどつまり…
ん?待てよ……
俺は指を折りながら考える……
説明された順にスキルを思い出しつつ。
「って! 俺攻撃魔法持ってねぇじゃねぇかー!!!」
盲点だった。まさか攻撃魔法を獲得してないとは…。
《今魔獣に襲われたら終わりねー》
おい大賢者!それはフラgっ……。
ドンッ!
その時『座標認識』を使わなくても分かるほどの距離に魔獣が現れた。
「ウルオ゛ォ゛ォ゛ォ゛ォ゛ォ゛」
低い魔獣の鳴き声と共に体に入ってきたのは、前世死ぬ時とは格が違う【死】の気配だった。
初心者の小説は面白くないかもしれませんが、
これからも精進していくので、
長い目で応援してやってください。
《くださーい》
ここまで干渉してくんなっ
???スキル
○常用スキル
・『物理耐性』・『環境効果無効』
・『身体能力強化』・『炎属性耐性』
・『思考加速』・『意識拡張』
・『生存能力強化』・『座標認識』
○スキル
・『魂保存』・『時間の管理者』