2話 我が家
そして母親に抱き抱えられながら教会のような場所から外に出ると街並みはいかにも異世界、電気もガスもない洋風な感じだった。
にしても普通の人間しかいないな、エルフとか獣人だとかいないのか。
てか俺はいつからここが異世界だと錯覚していた?
厨二病のような人がいたせいで異世界だと思っていた...。
夢を見すぎていただけでもしかしたら普通に日本ではないだけで地球のどっかの国なんじゃないだろうか?
ま...まぁ、人生をやり直せるってだけで幸運か...。
そうして色々考えているのだが時々母親からなにかを言われる。
「かわいいね」とでも言っているんだろうか?
街を歩き続けて体感10分くらい経つと両親が歩みを止め、小さな家にたどり着いた。
小さなとは言っても周りの建物と同じぐらいなのでそんなに小さいわけではないのか...。
内装は日本と比べて...古いな。
電子レンジも冷蔵庫もない、暖炉とかはあるが、電気・ガスに全く頼ってない感じだ。
首が動かせないので周りが少ししか見えないが、状況を見る程度なら問題はない。
そうして俺はこの我が家で生活を送ることになった。
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〈父親視点〉
俺の名前は、イーサン・ベネット。
最近男の子が産まれた。
その子には英雄ノアに因んでノアと名付けた。
ノアは産まれた瞬間から全く泣かない。
正直俺は元気に育ってくれれば泣かなくてもいいんだが、泣かない子はなにか障害を持っていることがあるらしい。
心配だ...。
まあノアの問題はそこだけじゃない。
ノアの固有アビリティは異常なほどに強いのだ。
鑑定屋に鑑定してもらったら、"創作"という固有アビリティで、英雄レベルに強いらしい。
普通固有アビリティというのは一見強そうな名前でも内容が重要になってくるのだ。
例えば"暴食"という固有アビリティがあったとして、内容が二種類存在する。
・度をこえてむやみに食べてしまう。
・なんでも栄養に変え、食べたものを自分の力に変えることができる。
この二つである。
まあ要するに本人に害になるかならないかの違いだ。
後者なら英雄レベルに強くて別にいいんだがなぜか大体の場合は前者になる...。
ノアも後者のような害になるだけの固有アビリティかなと思ったのだが前者だった。
まあ生きるうえで損をするどころか得をするのでいいんだが悪事にだけは使ってほしくない...。
なので教育を間違ってはいけないと思っている。
まあノアにはいろいろと問題が多いんだが偉大でかっちょいい父親目指して頑張ろうと思う。