夜明け
どうしようもなく疲れてしまったんだ
何か成し遂げたわけでもないのに
どうしようも無くなってしまったんだ
見て見ぬふりをしていたかったから
惰性でその日を暮らしていたら
あまりの速さで流れていく時に
圧倒されて
一歩も動けなくなってしまったんだ
どうにかしたかったんだ
私でいられるうちに
どうにかしようとしたんだ
手に負えなくなる前に
まだまだ時間はあるよと言うけれど
時の流れは思ったより早くて
歳を重ねるごとに早くなっていってしまって
1日がどんどん軽くなっていく
どんどん薄くなっていく
そのうち感性が働かなくなって
死んだように同じことを繰り返していたら
生きてるんだか死んでるんだか
わかんなくなってしまったんだ
そんな様に過ごしていて
いく日経ったかも分からないけど
ふとした瞬間に見上げた空に
浮かんでいた 月の綺麗さに
思わず泪が溢れてしまったんだ
どうしようもなく救われたんだ
そこに月があることに
月が光っていたことに
月を綺麗だと思えたことに
働かなくなっていた感性は
死んでしまったわけではなかった
目を開けると世界は輪郭を失っていたけれど
はっきりしなくてもいいじゃないか
全てに白黒つける必要なんてない
時にはそこにあることを認めて
そっと布をかけたなら
まずは夜明けを見に行こう
この詩は疲れてしまった人に寄り添えるよう
そっと布をかけてあげられる様な、そんな詩を
書きたくて生まれた詩です。
どうしようもなく疲れてしまったのなら空を見
あげて見てください。
月が見えなくても、星が見えるかもしれません。
何も見えなくても、その空はそこにしかありません。
それは貴方だけの時間です。
そんな時間が貴方の心を癒すものになれば、
私にとってそれほど嬉しいことはございません。
どうか、ふとした瞬間に見上げた空が貴方を救ってくれますように。