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写本屋には変人が集う  作者: 春風由実
第一章 おくりもの
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0.序章


「彼に贈りものをしたいと考えております。手伝って頂けませぬか?」


 老人は言った。いつもの穏やかな笑みを浮かべて。


「直接お贈りしたら宜しいでしょう」


 断ろうとした私に、彼は首を振ったのだ。


「私からでは、とても受け取ってくれません。さりとて、彼もそろそろ一人では厳しい頃です」


 贈りものの意味をすっかり理解した。


「私とて同じことではないでしょうか?」

「いいえ、あなたが気に入った者ならば、彼も快く受け入れるはずです」


 私を使ってくれるな、と思ったけれど。

 確かにあの人が、この先も一人で生きていくことはとても厳しいのではないか。


「私が気に入るかどうか、分かりませんよ?」


 老人は優しい声で笑った。


「気に入らなければ、気に入るようにして頂きたい」

「そちらが真の目的ではありませんか?」


 二人でよく笑った。

 この時の私は、老人との愉快な時間が、ずっと続くものだと信じていた。


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