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物凄くお待たせして申し訳ありませんでした!!
「えぇっとそれで、元使用人?の娘のサクラさんは我が家に何の御用でいらしたのでしょうか?
私も後数日すれば、この国を出るのでもし雇って欲しいというお話しでしたら、侍従長のギンに相談してもらえるかしら?」
えっ?
「あ…あの…国を出るっていったい?
ブリーダー様のお告げで、殿下と婚約されたんじゃ?」
「あ~あの事ですか。近々発表になると思いますが、残念ながら白紙になりましたわ。
先日、ブリーダー様に再度お伺いしたところ、『アキタ家の血を引いている者なら犬種は問わない。』そうです。
ですから私より小柄な従姉妹のイチゴが、新しい婚約者に内定しましたの。」
何それ?
そんなのゲームの設定になかったわ!
「それでは改めてお聞きしますが、サクラさんは何故我が家に?」
「あの…私…実は、アキタ侯爵様の娘なんです!
証拠の品と当時侯爵様から母に宛てた手紙と母から預かった手紙もあります!!
ですから私にも、殿下の婚約者になる権利があるはずですよね?
アキタ家の娘なんですから!!」
… 。
… 。
… 。
何黙ってるのよ!?
ビックリし過ぎて、言葉も出ないの?
イチゴって娘には悪いけど、リク殿下と結婚してこの国の王妃になるのは、この私…サクラよ!!
「残念ですが、貴女にその権利はありませんよ。」
「な…なんでですか!?私が庶子だから?」
「いいえ違います。貴女がお父様の娘だからです。
お父様はアキタ侯爵家の婿養子ですから、貴女にはアキタ家の血は一滴も流れていないのです。
何か勘違いされていた様ですが、もし何か要求があるのでしたら、お父様の方に言ってください。
今日はもう遅いので、客間にお泊めして差し上げます。
ちょうど明日…侯爵領に行く馬車がありますからそれに乗ってお父様に会いに行かれると良いでしょう。
あ…お夕飯は簡単な物で良ければ、お出し出来ますけど、どうなさいます?」
「い…頂きます。
突然押し掛けて来たのに、ありがとうございます。」
意外と親切だったツバキに、お礼は言っておきます。
だってここで断って空腹のまま外に出される訳にはいかないじゃない!
「いいえ~、一応腹違いの姉妹らしいですし構いませんわ。」
ツバキの言葉を聞いて私は落ち込んだ……
そ…そんな…父親のアキタ侯爵が婿養子なんて、聞いてないわよー!!




