お告げによる婚約 2
クズ王子
(リク殿下side)
俺は【北海国】の王族でただ1人の王位継承者、リクだ!
俺には婚約者がいる。
高位貴族家の産まれのハズなのに、立派な白いアヌイーの父親の侯爵に似ず平民と同じ薄茶色の毛並みをした奴だ!
真っ白なイヌミミと巻尾を持つ事がステイタスである、この【北海国】の王太子である俺の婚約者には相応しくない!!
側近候補の者達にも父上の命令で、他犬種の婚約者を押し付けられている。
もちろん皆、受け入れてはいない。
血統は守られるべきである!!
何故あの様な他犬種と結婚しなければならないのだ?
同じ白いアヌイーの令嬢で、良いではないか!
しかし、白いアヌイーの令嬢は高位貴族家にはいなかった。
父上の代にはまだ、各公爵家や近い親戚に1人づつくらいは居たそうだが、俺の代に至っては残念ながら1人も居ないのだ。
だがきっと、国中を探せば年頃の白いアヌイーの令嬢が見つかるはず……
そう思って俺は側近候補達と共に城下はもちろん、伝を辿って国内外でも探した。
幼い頃から母上に『結婚するなら同じ犬種同士、血統を守って行く事こそが高位貴族の役目なのです。中でも白いアヌイーこそ、最も尊いのですよ。』と聞かされていた。
だから同じ白いアヌイーの令嬢と結婚するのが、小さな頃からの夢だったのだ!
それなのに俺に当てがわれたのは、アキタ侯爵家の侯爵令嬢ツバキだった。
あの女は俺に会ってもニコリともせず、王城で行われる側近候補やその婚約者達を交えた勉強会でも、王子の俺より成績が良く教師達に覚えが良かった。
気に入らない!
女のクセに未来の国王である俺より背が高いなんて、あり得ないだろう。
学園に入学する2カ月前の冬、意外な所で俺と側近候補達は彼女と出会ったのだ。
城下の平民街で花屋の売り子をしていたサクラ。
それは可愛いらしい真っ白なイヌミミと巻尾を持つ可愛い娘だった。
私達は歓喜した!
これであの他犬種の生意気な婚約者と、結婚しなくて済む!!