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おかしいわ。

ゲームの選択通りにリク様ルートか逆ハーレムルートに入れるようにしたのに、どうして各ルートを回っているのかしら?



しかも本来のシナリオから、かなり外れてる。



皆んなに私がアキタ侯爵の娘だという事も、何故か伝へられないし父親とも会えてない。



それに…それによ…()()()()()()()()()()()()()()()()()()()!?

確かに《サクラの失敗をフォローしてくれる》ってシナリオにあったけど、こういうのじゃないのよ!



しかも何だか私より手際も良くて、早いんですけど?



「従騎士見習いとして、当たり前の事だ。

下積み経験もしないで、騎士にはなれないんだ!

オレも頑張って親父みたいに騎士団長を目指す!

サクラも頑張らないと、良い騎士になれないぞ!」



は?どういう事?



「あれ?サクラ知らなかった?

騎士団長は世襲制じゃないんだよ。

前の騎士団長はアキタ前侯爵だったし。」



えっ?嘘でしょ?

じゃあ絶対にアラシ様が騎士団長になる保証なんてないって事?



「じゃ…じゃあ、次の騎士団長は誰が?」


「そうだなぁ~。順当にいけば副団長のカイ家の当主タイヘイ様かな?

強いんだぜ、タイヘイ様。

憧れるよ♪

そうだ♪今度サクラも手合わせしてもらうと良い!」



だ…駄目だコイツ…………。

カイ家ってアラシルートの悪役令嬢の実家じゃないの!

なんで騎士希望でもないヒロインの私が、副団長と手合わせなんかしないといけないのよ!?



こうなったら、早く私がアキタ侯爵の娘だと証明してここを出て行くしかないわ!



まさか、アラシがこんなに脳筋で馬鹿だったなんて……。



「ハァ…それにしても、暑いなぁ~。」



そう言って従者見習いの制服の、襟元のボタンを外したアラシの首元に、私はあってはならない物を見つけてしまった。



一応、確認の為に恐る恐る尋ねてみる事にした。



「あ…あのアラシ様?その首元のそれは?」


「えっ?あゝコレ?昨日、タイヘイ様とキクカが来て#御守り__・__#だって持って来てくれたんだぜ!

自分で付ける物じゃないっていうから、キクカに付けさせたんだけど、似合うか?」



凄く良い笑顔で言われてしまった。

アンタそれの意味、全然理解して無いでしょ!



「ソウデスネ。ヨクニアッテマスヨ。」



ええ、良くお似合いですよ!

その黄色い婚約チョーカー(首輪)!!


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