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海嘯  作者: 日川文月
7/12

七 国際政治

「浜崎君、国連議長の裏は取れた?」

「はい、調べ上げました。OKですね」

「二期目がすんなり決まったぐらいだから各国に公平なんだろうな」

「人物的に申しぶんないです、アントン・テレスは」

「繋がりがある?」

「無いとは言いませんが・・・電話で話すのは控えた方がいいです。

 直接会って話した方が良い、盗聴も監視もされてるでしょう」

「彼と面識があって例えばどっかのレストランで会っても怪しまれない人物は?」

「こちらで連絡が付きそうなのは、OCHA神戸事務所の青田朋子ですね」

「知り合い?」

「まあ、彼女は高校の同級で」

「あ、そ」

「コンタクトを取りますよ・・・会ってくれるかな」

「腕を見せてもらえるかな、うんうん」

「あ、あのね」

「ジュネーブに新婚旅行も良いかな」

「誰が?」

「おれ」

「先生と結婚するような奇特な人が居たんですか」

「・・・活動費はいらないみたいだね」

「ひいい」


 ーーーーーーーーーー

「ジュネーブも暑くなってしまってね」

「そうですね、今年の熱波はフランス南部を襲ってますね」

「うん、年々厳しくなっていて恐ろしいよ」

「まったくそうですね。あ、紹介します。妻の麗子です」

「麗子です、よろしくおねがいしますわ」

「いやあ、美人の奥さんですね、ははは」

「若作りで」

「先生!」

「ほ?」


「あ、癖です、わたくしの名刺を」

「お、おう、名刺名刺・・・TK大学の教授ですか、お若いようだが」

「最年少です、ははは、さて、一緒にお茶でもと思っていたのですがお忙しいでしょうから」

「いや、斉藤教授の近況を聞きたいのだが」

「政治学の斉藤義昭先生ですか?」

「うむ、知り合いでね、若い頃の」

「お元気ですよ」

「それでは、良い店を知ってるから、よく行く店なんだ」

「わかりました。お供致します」


名刺に盗聴器のない場所で重要な話がしたいと書いた。

「あら、アントン、お出かけ?」

「この若人たちとお茶をね、共通の友人がいるとわかってさ」

「リスボンですね」

「うん、電話しといて」

「わかりました」


秘書に断ってエレベーターへ、誰彼と無く挨拶する気さくな総長だ。

国連本部のビルから出て、向かいのビル街へ。

雑居ビルの二階にポルトガル国旗が飾ってある料理屋があった。

「やあ」

「なんすか、今日は早いなあ」

「ビカ三つね、奥のテーブル空いてる?」

「こんな時間混んでねえよ」

「アハハ」


風祭雷十は念のため盗聴器確認機をセットした。

「すみません、策を弄しました」

「どんなことなの?」

「このレポートを読んでください。まとめてあります」

「ん、めがねは」

「右のポケットに入ってますわ」

「あ、本当だ」

「あの、ビカをお持ちしました」

「ありがとうございます。ポルトガルコーヒーですね」

「はい、パステル・デ・ナタもどうぞ」

「美味しそうだわ、あなた」

「そうだね、ありがとう」

「こんなにありがとうございます」


チップを渡して女の子が奥に戻った。

「確かなことかね」

「段階を踏んできました。最悪のシナリオは回避できそうなので、お力を借りたいのですよ」

「ふむ」

「一名職員を採用していただきたい、浜田五郎という男です」

「うん・・・聞いたことのある名前だ」

「面識はあるそうですよ」

「ああ、TK大学だったね」

「来年には公にする予定です。

 その前に主要国・・・一番影響のある先進国ですかね・・・。

 産業構造を再構築することになるでしょうから。

 この件では日本国にも米国にも知らせていません。

 利益や権益も関係することなので」

「君はどういう立場なの?」

「TK大学総長から一任されたボランティア組織のボスです」

「ボランティアか・・・」

「世界各国で120名の科学者が協力して今もデータを取っています。

 このまま手をこまねいていたら一年後は多くの地域でホノルルと同じようなことが発生します」

「う、ううむ・・・君たちは無償でやりとげようとしてるのか」

「今のところは大赤字ですが、電線メーカーを動かして先行利益は少しいただきます」

「素早い対応のためか」

「おわかりですね。5年10年したら、今売っている電化製品は故障して使えなくなります。洗濯機は早いでしょう」

「ほう」

「対応製品は早くできそうです。

 新築物件の電気配線は全て対応でないと長く保たない。

 現行家屋で漏電被害リスクは高まります。

 配線のやり直しか立て替えかを選択することになるでしょう。

 TK大学では新しい建物を建築する予定もあり、待ったをかけています」

「ということだね」

「様々な業界から怨嗟の声が聞こえてきそうです。

 政府が動かないと話になりません」

「四月の国連総会?」

「と言うことになるでしょう、各国首脳が集合できるよう手配できますか?」

「何処まで話すかによるかな」

「情報漏洩もそろそろ起きる可能性はあります」

「ふむ、仕事をこなすためには秘密を知るものが増えてしまうからね」

「その後は特に先進国リーダーの資質が問われるでしょう。

 無傷でいられるかどうか。犠牲者がなるべく出ないよう対応していきます」

「このレポートは?」

「疑うわけではないですけどお返しください、浜田の判断で管理させます」

「わかった、なるべく早く寄越してくれ」

「はい」


「さてと、斉藤義昭のことは」

「すみません、著作を読んだことがあり、名前だけ知ってます」

「なんだ」

「あの、観光名所のおすすめは?」

「新婚旅行は本当なの?」

「ええ、この活動で尊敬できる人だと思うようになって・・・」

「襲われたんですよ」

「やだ、もう、恥ずかしいわ」

「ハハハ、そういうことか、未来は明るいね」「浜崎君、国連議長の裏は取れた?」

「はい、調べ上げました。OKですね」

「二期目がすんなり決まったぐらいだから各国に公平なんだろうな」

「人物的に申しぶんないです、アントン・テレスは」

「繋がりがある?」

「無いとは言いませんが・・・電話で話すのは控えた方がいいです。

 直接会って話した方が良い、盗聴も監視もされてるでしょう」

「彼と面識があって例えばどっかのレストランで会っても怪しまれない人物は?」

「こちらで連絡が付きそうなのは、OCHA神戸事務所の青田朋子ですね」

「知り合い?」

「まあ、彼女は高校の同級で」

「あ、そ」

「コンタクトを取りますよ・・・会ってくれるかな」

「腕を見せてもらえるかな、うんうん」

「あ、あのね」

「ジュネーブに新婚旅行も良いかな」

「誰が?」

「おれ」

「先生と結婚するような奇特な人が居たんですか」

「・・・活動費はいらないみたいだね」

「ひいい」


 ーーーーーーーーーー

「ジュネーブも暑くなってしまってね」

「そうですね、今年の熱波はフランス南部を襲ってますね」

「うん、年々厳しくなっていて恐ろしいよ」

「まったくそうですね。あ、紹介します。妻の麗子です」

「麗子です、よろしくおねがいしますわ」

「いやあ、美人の奥さんですね、ははは」

「若作りで」

「先生!」

「ほ?」


「あ、癖です、わたくしの名刺を」

「お、おう、名刺名刺・・・TK大学の教授ですか、お若いようだが」

「最年少です、ははは、さて、一緒にお茶でもと思っていたのですがお忙しいでしょうから」

「いや、斉藤教授の近況を聞きたいのだが」

「政治学の斉藤義昭先生ですか?」

「うむ、知り合いでね、若い頃の」

「お元気ですよ」

「それでは、良い店を知ってるから、よく行く店なんだ」

「わかりました。お供致します」


名刺に盗聴器のない場所で重要な話がしたいと書いた。

「あら、アントン、お出かけ?」

「この若人たちとお茶をね、共通の友人がいるとわかってさ」

「リスボンですね」

「うん、電話しといて」

「わかりました」


秘書に断ってエレベーターへ、誰彼と無く挨拶する気さくな総長だ。

国連本部のビルから出て、向かいのビル街へ。

雑居ビルの二階にポルトガル国旗が飾ってある料理屋があった。

「やあ」

「なんすか、今日は早いなあ」

「ビカ三つね、奥のテーブル空いてる?」

「こんな時間混んでねえよ」

「アハハ」


風祭雷十は念のため盗聴器確認機をセットした。

「すみません、策を弄しました」

「どんなことなの?」

「このレポートを読んでください。まとめてあります」

「ん、めがねは」

「右のポケットに入ってますわ」

「あ、本当だ」

「あの、ビカをお持ちしました」

「ありがとうございます。ポルトガルコーヒーですね」

「はい、パステル・デ・ナタもどうぞ」

「美味しそうだわ、あなた」

「そうだね、ありがとう」

「こんなにありがとうございます」


チップを渡して女の子が奥に戻った。

「確かなことかね」

「段階を踏んできました。最悪のシナリオは回避できそうなので、お力を借りたいのですよ」

「ふむ」

「一名職員を採用していただきたい、浜田五郎という男です」

「うん・・・聞いたことのある名前だ」

「面識はあるそうですよ」

「ああ、TK大学だったね」

「来年には公にする予定です。

 その前に主要国・・・一番影響のある先進国ですかね・・・。

 産業構造を再構築することになるでしょうから。

 この件では日本国にも米国にも知らせていません。

 利益や権益も関係することなので」

「君はどういう立場なの?」

「TK大学総長から一任されたボランティア組織のボスです」

「ボランティアか・・・」

「世界各国で120名の科学者が協力して今もデータを取っています。

 このまま手をこまねいていたら一年後は多くの地域でホノルルと同じようなことが発生します」

「う、ううむ・・・君たちは無償でやりとげようとしてるのか」

「今のところは大赤字ですが、電線メーカーを動かして先行利益は少しいただきます」

「素早い対応のためか」

「おわかりですね。5年10年したら、今売っている電化製品は故障して使えなくなります。洗濯機は早いでしょう」

「ほう」

「対応製品は早くできそうです。

 新築物件の電気配線は全て対応でないと長く保たない。

 現行家屋で漏電被害リスクは高まります。

 配線のやり直しか立て替えかを選択することになるでしょう。

 TK大学では新しい建物を建築する予定もあり、待ったをかけています」

「ということだね」

「様々な業界から怨嗟の声が聞こえてきそうです。

 政府が動かないと話になりません」

「四月の国連総会?」

「と言うことになるでしょう、各国首脳が集合できるよう手配できますか?」

「何処まで話すかによるかな」

「情報漏洩もそろそろ起きる可能性はあります」

「ふむ、仕事をこなすためには秘密を知るものが増えてしまうからね」

「その後は特に先進国リーダーの資質が問われるでしょう。

 無傷でいられるかどうか。犠牲者がなるべく出ないよう対応していきます」

「このレポートは?」

「疑うわけではないですけどお返しください、浜田の判断で管理させます」

「わかった、なるべく早く寄越してくれ」

「はい」


「さてと、斉藤義昭のことは」

「すみません、著作を読んだことがあり、名前だけ知ってます」

「なんだ」

「あの、観光名所のおすすめは?」

「新婚旅行は本当なの?」

「ええ、この活動で尊敬できる人だと思うようになって・・・」

「襲われたんですよ」

「やだ、もう、恥ずかしいわ」

「ハハハ、そういうことか、未来は明るいね」

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