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吸血できないなら吸血鬼やめっちまえ。  作者: 七光 輝
プロローグ
8/15

8話 顛末〈デヌモン〉

現場を後にし、魔都「パイロハイト」に戻った

グレオは腕にボロボロの章を抱え、

早速報告を済ませていた。


「ただいま戻りました。」

「ご苦労、その子が例の?」

「ええ、使えそうなので連れてきました。」

「ボロボロじゃないか。

片割れはどうした?双子なんだろ?

何があったんだ、話せ。」

「実は....」


グレオは章を強制的に覚醒させたこと、

彰が覚醒したこと、2人が戦ったこと、

そして、リオに会ったことを話した。


「なるほど、"純血"の方を逃がしたのは痛いな。」

「ええ、ですがこちらの方もなかなかのものです。

鍛えれば光るんじゃないかと私は思ってます。」

「ほう、そんなにそのガキが気に入ったのか。

ならお前にその子を任せよう。

どれほどのものか私にみせてくれ。」

「はい、仰せのままに、旦那様。

立派な"綴血鬼(ノート)"に育ててみせましょう。」

「しかし、心配なのはリオの方だな。

あいつがあのまま本当にやられたとは思えない。」


その通り、《大公(アーク)》クラスの吸血鬼が

そうそう死ぬわけがない。

《大公》クラスである赤いマントの男は

疑いざるを得なかったのだ。


「この目で確実に胸を射抜くところ確認しました。

いくら"純血"といえど、だいぶ因子も薄れていましたし、

自己再生も間に合ってないはずです。」

「どうだかな、相手は《空虚大公》だぞ?

空間魔法においてあいつに勝るものはいない。

それが故に今まで逃げてこられたんだからな。」

「どうでしょうね、私は確実にやったつもりです。

不安を与えてしまい申し訳ございません。」

「仕方ない。《空虚大公》を退けただけでも

大したものだ、褒めてやろう。」

「ありがたき幸せ、嬉しい限りでございます。」

「何はともあれ、そのガキを頼んだよ。」

「はい、お任せ下さい。旦那様。」



ー《空虚なる牢獄(エスパス・プレゾン)


「うぐっ....自己再生するのに何年かかるんだよ....

死ねないってのも、また一つの苦労だな.....」


リオは自らが生み出した空間の中で傷を癒していた。

しかし、大半の血を失ってしまった為、

吸血鬼としての力をほぼ失っていた。


「結局、普通の人間に

育てあげることができなかったな.....

悪いな、旦那....」


リオは悔やんでいた。

仕えていた主との約束を叶えられなかったこと。

双子にもう少し親として接すればよかったこと。

しかし、今となってはそれを叶えることは出来ない。

リオには後悔しか残っていなかったのである。


「しかし....あいつを《空虚なる牢獄の鎖(リアン・エスパーソ)》で

逃がせるのにだいぶ血を持っていかれたな.....

でも....あいつが生き残れるならそれでも構わない。

頼んだよ...彰.....我が一族を再び月の元に.....!」


そう告げると、今度こそリオは

長い眠りについたのだった。




「ここは....どこだ...?」


俺が目を覚ました場所は、

床、壁、天井に黒と赤の鎖が

びっしりと絡みついた部屋だった。

その部屋の中心に、

ドレスに模した漆黒の鎖を纏う

1人の女の子が立っていた。


「意識はあるみたいだね、よかった。」

「お前....誰だ?」

「私は....そうね、ヴィオラって呼んでちょうだい。」

「ヴィオラ、ここはどこなんだ?章たちはどこだ?!」

「あら、意識がなくなる前の記憶はあるみたいね。

彼らならここにいないわ。」

「くそ....あいつを追いかけなきゃ!!」

「ダメよ、今のあなたじゃ勝てっこないわ。」


彼女がそう言うと、

俺の身体中に漆黒の鎖がまとわりついた。


「離せ...!離せよ!!!あんた何もんだ?!

なんで行かせてくれないんだよ?!」

「いずれ分かるわ。全てね。

私のことも、あなた自身のことも。

だから今は黙って休みなさい。」


逃れようと必死に足掻くも、

気がつけば身体中の力が抜けてしまい、

意識が徐々に遠のいていく。


「大丈夫、私があなたを守り抜いてみせるわ。」

「なん....で.....」


彼女の一言を最後に、再び俺の意識は

完全に消えてしまった。






ー魔都「パイロハイト」都下1区、宿場「スリープ」


「はぁ、はぁ、はぁ....」

「アキラ大丈夫?顔色すごい悪いわよ?」

「あるぢーだいじょーぶなのか?」

「悪い悪い、 お前らと出会う前の夢を見ていた。」


どうやらうなされていたようだ。

しかし、決戦を前にして、走馬灯のようなものを

夢で見たのかもしれない。


「仕方ないわよ、やっとここまで来たんだから。

大丈夫、何も心配いらないわ。

あんたの強さを知ってる私が保証するわ。

あんたなら絶対できるわよ。」

「うんうん、あるぢならだいじょーぶなのだ!!!

しっかりするのだ!!!!」

「ありがとな、2人とも。

そうだな、俺がしっかりしないとな。

待ってろよ、章.....!」


俺は決意を胸にして、かつて自分を殺した

兄が待つ城へ向かっていった。


この時から、始まったのかもしれない。

長く険しいながらも、俺がこの魔界を蹂躙し続ける、

歴代最悪にして、最凶の魔王になる物語。

その先に俺が見たものはなにか、

それがこれから綴られていくことになるだろう。



「行くぞ2人とも、奴らに言ってやろうぜ。」





「「「吸血できないなら吸血鬼やめっちまえ!!!!」」」




次回から新章が始まりますm(*_ _)mお楽しみに!!

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