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 俺は、地球と異世界を行ったり来たりしながら異世界の征服を進めていった。


 エルフの姫姉妹を落とした俺は、残りのエルフの女たちにもちょっかいを出しつつ、エルフの男たちには寝取られに目覚めてもらった。プライドの高いエルフの男たちはもともと潜在的な寝取られ願望があったようで、驚くほどすんなり催眠にかかってくれた。


 エルフ軍団を従えた俺は、エルフたちを地球の知識で製造した銃火器で武装させ、人間の街をひとつまたひとつと落としていく。

 無駄な虐殺はしないし、内政はちゃんとしかるべき相手に任せるし、地球の技術で生活は良くなるし、男は俺に寝取られるだけで幸せになれるし、いいことばかりでどこからも不満は出ていない。


 いつしか魔王と呼ばれるようになった俺は、異世界の人間の国々を片っ端から平らげていった。


 そんなある日、魔王城の俺の部屋に侵入者があった。


「くっ、殺せ!」


 金髪碧眼、ミスリルの鎧に身を包んだ美少女が俺を睨む。

 その両手は、拷問室の天井から伸びる鉄の鎖で縛られていた。

 もちろん、手元のハンドルを回すと滑車が回って鉄の鎖が巻き上がる。

 美少女は苦しげに呻いて腕を上げ、豊かなバストを強調するような姿勢になるってわけだ。


「くくくっ、いいざまだな、勇者よ」


「魔王、貴様ぁっ!」


「ところで、なんで俺を狙う? 悪いことはしてないだろ」


「ふざけるな! 自分のしたことを忘れたか⁉︎」


「何かしたっけ?」


「ならば思い出させてやる! わたしはつい数ヶ月前までSSS(トリプルエス)ランクの冒険者だったんだ! 世界に三人しかいなかったんだぞ⁉︎」


「ああ、俺が廃止したやつな」


 だって、この世界の冒険者ギルドにはランクがあって、下はHから始まって上はSSSまであるって言うんだもの。

 そんなに細分化して意味があるんだろうか。英検だってそこまで級はない。


 話を聞くと、許認可で既得権の温床になってるってことだったから、ギルドに言ってやめさせた。

 今はA、B、Cの3ランク制になって、昇級試験を実施するための経費や関連団体への天下りがめちゃくちゃ減った。「十年やっててEランク? ププッ、俺三ヶ月でDランクなんですけどww」みたいな無駄なマウンティングも減って、組織の風通しが良くなったと評判だ。


 ついでに、治外法権のようになってたギルドの権力も制限し、ちゃんと俺の統制に従うように組織を変更してる。その過程で寝取られ愛好家がさらに増えたのは言うまでもない。

 これまた、「モンスターの脅威があるのをいいことに、乱暴な冒険者が国や市民にたかってる」という批判があったので、一般人からは好評な施策だった。


「許せない……! せっかく血の滲むような努力をして、何もしなくてもちやほやされる立場を手に入れたところだったのに……!」


「なんだ、おまえも既得権者だったか」


 他にも、この世界では貨幣単位が異常に細かいという問題も解決してる。

 なにせ、


 小賎貨一枚=1ギメー

 中賎貨一枚=10ギメー

 大賎貨一枚=100ギメー

 小鉄貨一枚=1000ギメー

 中鉄貨一枚=10000ギメー

 大鉄貨一枚=1000000ギメー

 小銅貨一枚=10000000ギメー

 中銅貨一枚=100000000ギメー

 大銅貨一枚=10000000000ギメー


 と上がって行って、銀貨、金貨、白金貨まである。

 絶対白金貨とか使うやついないし。

 その設定いる?って話だ。


 これも聞いてみると、鋳造コストや偽造対策が大変だって話だったので、即刻廃止させて紙幣を導入した。

 紙幣は、俺が地球に借りたマンションの一室に大型のプリンターを設置して日夜刷っては持ち込んでる。それだけでも、異世界の技術では絶対に偽造できないからな。

 おかげで、俺は貨幣を潰して金銀に変えて日本円に換金するだけで十分以上に儲かった。文字通り、金を刷ってるようなもんである。笑いが止まらないとはこのことだ。


「勇者、おまえ見てくれはいいから俺の女になれよ。まぁ、後宮にもうたくさんいるから、一ヶ月に一回くらい相手してくれればいいし。金はいくらでもやるし、うまいもんも食い放題、地球観光もできるぜ」


「なっ………………うう、あり、なのか?」


 落ちた。一瞬で落ちた。

 勇者も無限に裕福な生活の魅力には勝てなかったようだ。

 甘やかすとつけあがると思うかもしれないが、催眠と奴隷契約があればなんら問題はない。不都合があったら人格ごと書き換えれば済む話だ。


「めでたしめでたしだな」


 かくして俺の異世界転生はハッピーエンドになった。


 そして、一年もする頃には、俺は三十五児の父親になっていた(胎児含む)。

 異世界のみならず、日本の少子化改善にもいくばくかの貢献をしている。


 俺は誓った。

 大切な妻(たち)とその子どもを守るためなら、いつだって、どんな敵とだって戦うと。

 おもに、催眠術と奴隷軍団の力でな。


 そういえば、と俺は思う。



「トラクタービームのUFOはどうなったんだ……」



 俺のつぶやきに答えてくれる声は、もちろんない。





―ドキッ☆テンプレだらけの異世界転生・銀河編に続……かない―

無事完結しました(棒)

しょうもない作品におつきあいいただきありがとうございました。

それでは、またお会いできることを祈って。


サーターアンダギー騎士団

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