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ドラゴンパスタ  作者: りょじん
第1章 幼少期編
7/8

魔物

 二階の窓から庭を眺めると、庭先に真っ赤に彩られた落葉樹の姿が見えた。この世界にも四季があることに少しばかりの安堵を覚えた。季節は3歳の秋である。



 俺の寝室は母親と同じ二階の一室で、その同じ階には書庫があった。母親はよく俺を連れて研究の為そこに篭ったり、本を読み聞かせたりする。書庫には数千の本が所管されており、テューダー夫人の資産の使い方が透けて見えた。そのおかげで、俺はこの世界に関する知識を4歳までにある程度蓄えることができた。魔法に関する本、歴史に関する本、この世界の一般的な知識に関する本、魔物に関する本は徹底的に読み漁った。曰く、魔法適正なるものが存在し、それを含めたステータス?を5歳の時の誕生日に測定するらしい。3歳になって初めてステータスのことを知ってしまったが、どうすればいいんだろうか。

 さすがに低すぎるステータスでは不味いだろう。魔法の呪文を少しでも早く読めるように練習するか?しかし、無詠唱も存在するとあるので、早く詠唱する練習を強いてする必要はないだろう。それとも、魔力を高める(分厚い本に書いてあった)特訓でもするか?しかし、副作用の可能性があると書いてあった。3歳が試すにはリスクが高すぎるだろう。となると、できることは1つ、魔法に関する知識を高めるのみだ。



 ある日の午後、庭先で本を読んでいた。俺が本を読むことを大人は不思議がったりしないし、他の子供が邪魔することもない。落葉樹の下にもたれかかりながら、一応呪文を口に出したりしながら、俺がページをめくろうとしたその時、屋敷の向かいの茂みで物音がした。本を閉じて目を茂みにやり、何がそこにいるか考えた。

 茂みは大人が隠れられるほど大きくない。だから子供が隠れているか、とても小さい大人が隠れているか、それ以外の生き物が隠れているかだ。俺はちょうど退屈していたから、何が現れたとしても楽しめるような気がしていた。

 潜んでいるものがもぞもぞと動き、葉が数枚散らかった。そして、ピクリともしなくなったので、こっちから近づいてみた。一歩近づくことに葉が数枚落ちる。その様子が面白くて、だるまさんがころんだをしているように、ゆっくりと近づいてみた。

 あと茂みまで数歩というところで、茂みが大きく揺れて、緑色の何かが俺の方に跳んできた。俺は楽々とキャッチしてその何かを観察した。それは子供でもなく、小さい大人でもなく、俺が地球でみたことのある動物でもなかった。それは俺がこの世界であった初めての魔物だった。

滝野 蓮君は明らかに普通ではない能力を持っています。しかし、彼はチートではありません。

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