第4話 都会生活は危険がいっぱい
ニコル12歳
俺は街の学校に入れるようになった。これで農家の家ともおさらばだ。
オレの学生生活が始まった。
村とはぜんぜん異なる綺羅びやかで人がたくさんいる街。そこでオレの新生活が……
……始まると同時に終わりかけていた。
なにしろ食べるものがない。金が無い。俺の懐にはいる予定だった金は、親父が家で牛に代えてしまった。餞別もなにももらえなかったから、お袋がくれた弁当と保存食しか食料がない。
一週間は食いつないだけれど、それもここまで。
オレは空腹をこらえて、学校の奨学金審査試験を受けた。これに受かれば奨学生として寮に入れる。学費も奨学金で出してもらえる。もちろん全て高利の負債になるのだけれど、背に腹は代えられない。
オレは全力で試験を受けた。
試験は合格!
「ニコルくん。君をわが校の奨学生とする」
「ありがとうございます!」
やった! これで寮に入れる。金も貰えれば、とにかく餓死することはなくなったぞ。
「学費を差し引いた奨学金は、月末締めの翌月末に支払われるからな。学院の経理できちんと受け取るように」
「……え?」
絶望的な言葉を言われた。
現在の日にち。○月21日。末日締め日の翌月末支払いということは
「あの、お金が入るのって、今日から40日後ってことですか?」
「そうなるな。初めは蓄えで生活し給えよ。では明日から授業に出るように」
説明してくれた学校の先生はそう言い残して行ってしまった。
蓄えゼロ、知り合いゼロで40日間生き残る。
さすがにこれは無理だ。
日雇いの仕事をするにも、明日から学校に行かねばならない。月末には試験があり、この試験の点数が悪ければ奨学金は容赦なく打ち切られる。
つまり直近で試験は9日後。バイトなんか探している余裕はない。
「ど、どうしよう……」
憧れの学校生活スタート。初日は朝昼晩ともに食事なし。翌日も、その翌日も。
オレのライフは尽きかけていた。