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凍てつく王国  作者: 玖波 悠莉
前編
38/86

7-3 初陣

「すっげぇな!今日は大手柄じゃねぇか!」

「初陣であれはすげえ!」

「ていうか、俺らの出番全くなかった…」

遊撃隊の面々は口々にアリアを褒める。

「い、いや、あれはほとんどロバートさんのおかげだし…。」

「ロバート、でいい。」

大男は笑って言った。いかにも人のよさそうな笑顔で、つられてアリアも笑顔になった。

「いやー確かにロバートもすごかったけどな。」

「まぁな。ひと一人、それにあの大剣だぜ。しかも先の方に乗ってたしな。」

「びくともしなかったなー。」

「いや。あれはアリアが軽かったからだな。もしお前らが乗ってきたら腕が折れる。…絶対するなよ、お前らは重いんだから。」

ぎろ、とロバートが遊撃隊の連中はやりかねん、と睨んでくぎを刺す。

「はぁー?そんなやわな腕じゃねぇだろ?」

「そんなに軽いのぉ?」

弓を背負ったルイーゼが渦中のアリアに声をかけた。

「お、姐御。」

「その姐御って呼ぶの止めなさいよぉ。」

「おい、アリア、あの姐さん、怒らせるとくそ怖えぞ。」

「おい、何勝手なことアリアちゃんに吹き込んでる?」

かなりどすの効いた声だった。

「ほらな!」

アリアに勝手なことを吹き込んだ隊員はルイーゼに殴り飛ばされた。

「つーか姐さん、遠征出てくんの、珍しいっすね。」

「そりゃ、ね。アリアちゃんいるしぃ。」

そう言ってひょい、とアリアを抱き込む。

「あ、あの…。」

「なぁに?」

胸が乗ってる。さすがにそれは言えなかったが、ルイーゼの豊かな胸の下からアリアが助けを求める顔をしていた。

「どれ、ほんとに軽いのかな?」

そのままアリアの腰に手を回すと軽く持ち上げた。

「あら、ほんと。」

「な?」

ロバートも頷く。

「うん。」

「あ―その。一族の特性で。雪の上で暮らしてるんで、軽くないと。」

言い訳するようにアリアはルイーゼを見上げた。胸に遮られて見えなかった。

「へーぇ。でも、胸は結構あるのねぇ?」

「!…ね、姐、ルイーゼさんっ‼あ、ああああの!」

真っ赤になってじたばたと暴れるが、ルイーゼに軽く持ち上げられているままだ。

「…いいなぁ。俺もあんくらい、素直に生きれたらなぁ…。」

見ていたジャックが心のつぶやきをこぼした。

「お前がやったらただの変態だよ。」

「だからお前はモテんのだ。」

「う、ぬぬ…。くっそ、ちょっとくらい奥さんがきれいだからって調子乗ってんじゃねぇぞ、ロバートォォ!」

くわっと目を見開いたジャックがロバートに食って掛かる。

わははは

それを見た隊員たちが笑った。

「おー、盛り上がってるな。どうしたんだ?」

シグル-ンとその別動隊が帰ってきたようだった。

「おぅ、隊長。」

「ああ、あのねぇ、アリアちゃん、実は、」

「あああああ!」

しれっととんでもないことを言いかけたルイーゼの口を慌ててアリアがふさぐ。

「どうしたんだ?」

「なんでもない!ジャックがいつも通り変態なだけ!」

顔を真っ赤にしてアリアが必死に答えた。

「お、おぅ…。」

「まーまー、隊長さんよぉ、今日は遠征の滑り出しにしちゃあ、最高だぜ?帰ったら飲むしかねえだろ?…その時色々教えてやんよ。」

シグル-ンに近くの隊員が上機嫌で声をかけた。最後の一言はかなり小さかったが。

「どうせ飲むんだろ…。まぁいい。引き上げるぞ!酒も、ある!」

酒、の所でおおおおと皆がどよめく

「お、アリア。初陣は上々だったみたいだな。お疲れさま。」

引き上げ始めた遊撃隊の面々に声をかけていたシグル-ンがアリアを見つけた。

「うん…。」

ルイーゼの一撃から立ち直れていないアリアの返事には覇気がなかった。

「どうした?」

「ああ、うん。ちょっとヒヤッとした時はあったけど、うん。上々だった。…その後が…。」

「その後?」

「何でもない!」

さっとアリアは駆けだして遊撃隊の中に混じってしまった。

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