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凍てつく王国  作者: 玖波 悠莉
前編
17/86

3-5

再び彼らが階下へと足を進めて行くとやがて、地下へと続く鉄扉の前にたどり着いた。しかし、シグルーンはその扉の前を通り過ぎていこうとする。

「え?あの…殿下?」

慌ててアリアは彼を呼び止めるが、シグルーンは聞こえなかったかのように歩みを進めた。アリアは鉄扉とシグルーンの背中を見比べる。

と、シグルーンが振り向いた。

「殿、下…?」

「ああ、殿下っていうのは俺のことか。いや、すまない、俺を殿下って呼ぶのは…いや、いい。どうした?」

「地下に行くのでは?」

「いや、保管所は別。」

「そうなんですか…。」

アリアはほっとしたように彼の後を追った。

「あ、あとな、殿下と呼ぶのはやめてくれ。」

振り向いたシグル-ンが思い出したように付け足した。

「では、なんと呼べば…?」

「シグ、でいい。」

「は?」

アリアは目を見開く。それを見てシグルーンが軽く笑った。

「なんというか…あれだな、お前、目、開けると印象変わるな。」

すぐに見開いた眼を戻し、眉を顰める。

「…だから開けてなかったんですよ。そうすると、多少はそれらしく見えるでしょう?威厳があるようにとまでは言いませんが。」

アリアはため息をつきながら答えた。

「開けてなかった?」

「ほら、あの最初に逢った時の…。」

「ああ。なるほど。牢番が腰抜かして階段から落ちる程度には威厳があったな。」

アリアは憮然とした。

「何が言いたい?」

「はは…。うん、お前敬語じゃない方がしっくりくるな。そのままがいいな。」

「誤魔化さないでくれない?」

「…順応早いな…。」

「まあ、それはいいとして、本当にいいんですか?上下関係とか、他の隊士に示しがつかない、とかはないんですか?」

「ないない、俺んところはそういう隊じゃないしな…元々。」

「はぁ。では、遠慮なく。」


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