略奪者20
依頼が終わって学園に戻ると、僕らは学園長から呼び出しを受けた。正確には、僕以外の三人――美夏ねぇ、春さん、黒河さん――が、呼び出されたのだけど。
学園長と三人のやりとりから察するに、学園長からも、盗賊のアジトへ行かないようにと言われていたようだ。学園長へも、盗賊の首領について連絡していたので、その対応は妥当であるように思う。
結局のところ、三人に大事はなかったので、怒られるというよりは、注意されるという感じだった。
最後に学園長から、
「どうして、指示を無視して、盗賊のアジトに行ったの? 盗賊の首領についての話は伝わっていたのよね」
といった問いかけがされた。
それに対し春さんは、
「わたしたちは大丈夫な可能性が高いと判断した。なぜなら」
という前置きをして、
「わたしたち全員、アキヒコのことが好きだから」
と言葉を返した。
僕は照れるより前に、頭を抱えたくなった。
春さんがごまかす方法を考えないで、学園では知られていない魔術を使うはずがないとは思っていた。しかし、こんな理由付けをするとは。真相――春さんの魔術で異性の魅力を感じなくするようにしていたこと――を知っている僕としては、よくもそんな堂々と嘘をつけるなと少し感心してしまった。
美夏ねぇを見ると、腕を組み、しきりに頷いていた。
まぁ、美夏ねぇはそういう反応するよね。
黒河さんを見ると、顔を真っ赤にし、「え、そんなはずはないわよね? わたし」というように、自問していた。
違うから安心していいよと言葉をかけることもできず、そのまま僕は黒河さんを見ていた。
顔に手を当てたり、視線をさまよわせたりと、黒河さんの仕草はとてもかわいいものだった。
しばらくして、僕は黒河さんから視線を動かす。
学園長が目に入る。
学園長は黒河さんを見ているようだった。親が子供を見守るような、微笑ましい視線を送っていた。
結局、その場では、春さんの言葉は半ば事実として定着することになった。実際には嘘なのだけれど……。
「違うから」
学園長の部屋から出た帰りに、黒河さんはそう僕に告げて去っていった。顔を赤くしながら。
うん、その通り本当に違うよ。
僕は心のなかでそう返した。
これにて、僕の女装を巡る……ではなく、盗賊の依頼に関する話は幕を下ろす。




