表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
40/53

略奪者12

「二つ試してみたいことがある」

 はるさんはそのまま言葉を続ける。

「一つ目。わたしが認識できる『クラス』は整理できる。それを行おうと思う」

 春さんは僕の腕をとる。僕が不思議に思っていると、その手を、春さん自身の頭においた。

 春さんは一体何をしたいのだろうか、とりあえずなでればいいのかな。

 僕はそう思い、春さんの頭にのっている手を動かす。

「ふぁっ」

 春さんが不思議な声を出し、僕の方を見て、

「何してるの?」

 と春さんが問いかけてくる。かすかに頬を染めているように見えなくもない。

「いや、なでて欲しいのかと思って」

「違う。さっき言った『クラス』の整理のため、こうすることが必要」

 そういって春さんは視線を前に戻し、

「また『クラス』の検索を行ってみて欲しい」

 と言う。

 僕はその言葉に従い、『クラス』を探し始める。


 そういえば、何を探せばいいのだろうか。

 『クラス』の検索を開始してすぐに、僕はそう思った。しかし、その疑問を春さんに問いかけることにはならなかった。

 『クラス』たちが高速で動き回っていた。距離や時間の概念があるわけではないので、実際に動いている訳ではない。頭の中で物事を整理する時、必要なものは近くに、いらないものは遠くもしくは頭から消す感覚。それを勝手にやられているような感じがした。あまり気持ちの良い感覚ではない。気持ち悪いと言い切る程でもないけど。


 しばらくすると、認識しやすいところにある『クラス』が動かなくなっているようだった。そのため、それを見てみることにした。その『クラス』は『水』というものだった。その後ろにも、『炎』など良く利用される魔術の『クラス』が並んでいる。


「一旦このくらいにしておく」

 よく利用されそうな『クラス』が認識しやすくなっていて、少し感動していた僕は、春さんの言葉を聞き、目をあける。

「良く使われそうなものを、探しやすいところに持ってきた。ちょっと魔術を使ってみて欲しい」

「ありがとう。わかった、試してみる」

 僕は春さんに礼をいいつつ、返事をする。

 既に飛び上がってしまいたいほど嬉しかったが、春さんが上に乗っているため、できない。僕は、春さんに言われたように、魔術を使うことを試みる。


 まず、見つけやすくなった『炎』を複製する。

 複製したものに、位置情報を付け加える。そして、現実に反映する。

 普段より遙かに短い時間で、魔術を発動する。


「春さん、ありがとう」

 魔術が発動したことを認識した僕は、春さんを今以上の力で抱きしめる。うれしさのあまり、自分の魔術の結果を確かめることもせず。

「アキヒコ、苦しい。離して」

 僕はとっさに手をはなす。そして、今の状況を思い出し、急に恥ずかしくなる。端から見れば、顔に朱がさす様子が見て取れたことだろう。 

「ごめん」

「気にしなくていい。痛くはなかったし、嫌でもなかった」

 その言葉を聞き、意味を理解して、僕はさらに顔が熱くなるのを感じた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ