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略奪者8

 この格好にも慣れたな。

 誘拐されている少女たち――わたし含む――をのせた馬車の上で、わたしはそう思う。

 服を買ってから、ほぼ毎日、女装をして生活をしていた。さすがに、学園に女装して行くことはしなかったが、学園から家に帰ると美夏みかねぇに強制的に着替えさせられていた。学園が休みの日などは、その格好で美夏ねぇやはるさん、そして黒河くろかわさんと良く出掛けていた。

 そんな生活をしていれば、当然慣れる。慣れすぎて、学園に行くときに、間違って上半身の下着をつけてしまうことがあった。さすがにその時は、自分のことながら、どうかしてしまったのではと思った。

 きっと、一時的なものだろう。依頼をこなし、女装をしなくなれば、元に戻るはずだ。 

 

 それにしても、美夏ねぇって上手いんだなあ。抱きつくの。

 わたしは、女性に抱きつかれていた。いや、しがみつかれていたという方が正しいかもしれない。

 力一杯つかまれているため、体のところどころが少し痛い。向かいあうようになっているので、わたしが本当は怖がっていないことが、盗賊にばれにくくなっているのは良いことだと思うけど。

「大丈夫だから、きっと大丈夫だから……」

 その女性はうわごとのように、つぶやいている。それも体を震わせながら。当初、その言葉はわたしや他の娘たちを励ますために言っているようであった。しかし、数刻たった今では、自分に言い聞かせるためにそう言っているのではと思えるようなものになっている。

 

 ふいに、馬車が止まる。

 慣性により、わたしはその女性を押し倒してしまう。わたしの顔が、上半身のすてきな物に挟まれる。

 とてもやわらかい。そのまま、枕にして寝てしまいたいな。

 いや、それどころではないな。ウィッグがずれそうだ。直さないと。

 わたしは体を起こし、慌てて髪を整える。

 

「降りろ」

 体勢を崩していたわたしたちが、ちょうど起きあがったくらいに、そんな声がかかる。

 わたしたちは、馬車から降ろされた。

 馬車から降りて最初に目に付いたのは、洞窟であった。

 ここが目的の場所、盗賊のアジトだろうか。

「まず、親分のところに行く。ついてこい」

 わたしたちはその洞窟の奥に連れて行かれることになった。

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