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魔術師見習いと止まる世界  作者: 鞍多 奧夜
調律(デバッグ)
13/53

調律3

 はーい、かなちゃんでーす☆ あのキョウちゃんがまともに説明するはずがないので、この紙で詳しく説明しまーす♪



 僕は冒頭の一文とそこに描かれた絵を見て、頭が痛くなった。

 この学園、偉い人の中にまともな人はいないのか。

 かなちゃんと名乗っている人物は、この学園の学園長である。学園だけでなく、王立魔術研究機関においても、かなり上の役職についているはずだ。

 その人物からしてこれである。



 はい、きっと上の文を読んで、アキちゃんあたりは頭をかかえていることでしょう。ふざけるのはここまでにして、ちゃんと依頼を伝えます。



 最初からやるな。僕は心の中で突っ込まずにはいられなかった。相変わらずこの人は、僕をからかうのが好きらしい。ふざけたことを書いても、反応を見ることができるわけでもないのに何が楽しいのか。ひょっとして、見てたりするのだろうか。

 ただ、その文より後は、本当に拍子抜けするほどまともに、依頼についての詳細が書いてあった。

 


 依頼内容:王城東の洞窟に生えている薬草の採取。

 依頼理由:以下三点。

 一点目、能力判定にEがある者が二人いるが、他二人が優秀であり、この程度の依頼なら安全だろうと判断したため。

 二点目、E判定がある二人も、結構な期間、学園に所属しており、魔術以外の面で鍛えられているはずであるため。

 三点目、初の依頼をこなすことで、主にE判定がある二人の能力向上を期待したいため。

 補足事項:該当の洞窟にはゴブリンが存在する。一部、上位種も確認されている。



 そこに記載されていた理由まで読んで、僕は得心が行った。

「これなら大丈夫そうだね」

 僕に抱きつきつつ、後ろから依頼内容が書かれた紙をのぞき込んでいた美夏ねぇがつぶやく。僕も同意見だ。

 ゴブリンとは、妖精種のとある魔物。一般的に考えられる妖精の見た目とはほど遠く、人間型ではあるが、小柄で醜い外見をしている。上位種で一回りほど大きいゴブリン――通称ホブゴブリン――がある程度の群を率いて行動する。そのため、能力の低い学園生一人では対処できない可能性が高い。とはいえ、それほど強い魔物ではないため、能力の高い学園生や研究機関所属の魔術師であるなら、一人でも簡単にゴブリンの群への対処ができる。

 このチームで言うと、美夏みかねぇと、おそらくはるさんも、一人でゴブリンの群への対処ができる。僕や黒河くろかわさんだと、ゴブリン単体には対応できるが、一人では群への対処はできないといった感じになるだろう。四人で、チームとして対処するなら、全く問題にならない魔物だ。

 場所的にも問題がない。基本的に人里近くの魔物は弱く、人里から離れるごとに強くなっていく。王城近くの洞窟であれば、近辺にも弱い魔物しかでないはずだ。というより、洞窟内以外では、魔物に遭遇することがほぼないと考えても良さそうな場所である。


 特に依頼の期限は設けられていなかったが、明日、明後日で各々準備をし、三日後に出発することにした。

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