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魔眼、発動しました。

ついに魔眼の能力が明らかに!

 いつもより気合を入れて畑仕事をする。他の子供たちも馬車が気になっているらしく、普段より仕事が早い。おかげで予想よりも早く作業を終えることができ、晴れて自由な時間が訪れた。


 俺をはじめ、村の子供のほとんどが馬車に興味津々であり、村長の家に停まっている事を知ると一目散に駆けて行った。


 村長の家の前には例の馬車が停まっており、そこには戦士風の男が二人と退屈そうな顔をした少年が居た。おそらくは馬車と子供を見張る役なのだろう。あと二人くらい居たはずだが、商人風の男性と一緒に村長の家の中だろうか?


 俺がそんな事を考えている間にも、好奇心に負けた子供たちが恐る恐る馬車に近づいていた。だが、


「そこで止まれガキども」


 低い声でそう凄まれた子供たちはその場で硬直し、可哀そうなほど怯えていた。確かにこんな身なりの子供が大勢馬車に近づいてきたら、良からぬ事を考えていると思われても仕方ないかもしれない。が、さすがに剣を抜いてまで脅さなくてもいいだろう。


 とはいえ、さすがに武器を持った相手に恐怖を感じているのは俺も一緒だ。抗議の声を上げようかとも思ったが、一笑に付されるのがオチだろう。


 そのとき、馬車の方から例の少年がこちらに近づいてきているのが見えた。護衛の男性がすぐに止めたようだが、一瞬その少年と俺の目が合った。


 その瞬間、ズキリと鈍い痛みが両目に走った。俺は突然の痛みに両目を手で押さえてその場に蹲る。痛みはすぐに治まったが、両目から涙が溢れている。それ以外は特に問題も無く、しばらくは目元がヒリヒリしたが、それもすぐに治まった。


(今のは何だったんだ?)


 何かの病気だろうか?だったら嫌だなぁなんて思っていると、いつの間にか俺は子供たちに取り囲まれていた。何が起きたのかと視線を上げてみれば目の前に例の戦士風の男が立っている。剣で威圧してきた方では無く、馬車から出て来た少年を止めていた方だ。


 いきなり剣で威圧してくるようなヤツの仲間だ、何をしてくるかわからない。にも関わらず、どうやら子供たちは俺を庇うために集まってくれたらしい。本当に良い子たちである。


 俺は一度落ち着くために深呼吸をして、改めて目の前の男と向き合う。すると男の方から口を開いた。


「お前らここに何の用だ?」


 先ほど剣で威圧された事もあって、その質問に答えられそうな子はいない。俺も怖いが、声が出せない程ではない。ここは俺が答えるべきだろう。精神年齢は一番高いしな。


「この村に馬車が来ることなんて無い。だから興味があって見に来たんだ」

「ふん、あれは見世物じゃない。そんな理由ならさっさと帰れ、俺たちだって暇じゃないんだ」


 面倒くさそうにそう言った男。その目はまるで汚いものを見るような目であり、シッシッと野良犬でも追い払うかのように振る舞う。そんな男の様子を見て、この村で生活をするようになってから初めて本気で怒りがわいた。


 お前らがどれだけ偉いのか知らないが、この子たちはそんな視線を向けられるほど落ちぶれていない。そんな思いで、歯を噛みしめ、拳を強く握る。


 相手は武器を持っている上に鎧まで着けている。怒りに任せて喧嘩を売っても良い事などないのだ。自分にそう言い聞かせて何とか堪える。


「……帰ろう」


 なんとかそれだけ声を絞り出して、踵を返す。子供たちも俯いてはいるが、ちゃんとついてきているようだ。


 帰り際、何気なく振り返ってもう一度戦士風の男たちを見た。すると、なぜか突然、目の前に文字が浮かび上がったのだ。


 それはいつもステータスを確認している画面とよく似ている。いや、同じものだ。唯一違うのはその内容だ。


*―*―*―*―*―*―*―*

エデルリッソ 男 26歳

Lv.18

魔力7

筋力24

防御30

素早16

器用15


スキル:剣術Lv.2 盾術Lv.3

*―*―*―*―*―*―*―*


 おそらくこれがあの男のステータスなのだろう。魔力以外の値は俺など足元にも及ばないレベルだ。試しにもう一人、剣で脅してきた方のヤツにもステータスが表示されるよう意識して視線を向けてみる。


*―*―*―*―*―*―*―*

バンデル 男 27歳

Lv.17

魔力1

筋力33

防御22

素早15

器用7


スキル:剣術Lv.2

*―*―*―*―*―*―*―*


 やはり見えるようになっている。こちらも俺より格段に強い。まあ大人と子供なのだから当然と言えば当然だが、やはり悔しいものがある。


(そういえば……)


 俺はふと思い出す。これが見えるようになったのは、目に痛みが走ったあの後からだ。では、その原因は?おそらく馬車に居た少年と目が合った事だろう。


 そう思い至って、馬車の辺りに視線を向けてみれば……居た。向こうもこちらに興味があるのか隠れるようにしながらもこちらを見ている。視認できれば良いらしく、ステータスも表示された。


*―*―*―*―*―*―*―*

ミレア・カフス 女 7歳

Lv.1

魔力4

筋力1

防御1

素早2

器用9


スキル:

ユニーク:鑑定の魔眼

*―*―*―*―*―*―*―*


 女の子だった。


 髪は短いし、服装も男の子っぽいものを着ているからてっきり少年だと思っていた。だが、改めて見てみれば確かに女の子のようにも見える。

 とはいえ、綺麗な金髪の髪は刈り上げられているし、まだ七歳だ。声が高くても違和感はないし、服装を男っぽくしておけば男女の区別などなかなかつかないだろう。

 綺麗な青い瞳と、整った目鼻立ち、子供らしい丸みのある輪郭など、髪さえ女の子っぽくしていれば、結構な美少女になるのだろうと思う。旅をする上で必要だからこその男装か。


 いやいや、そうじゃない。あの子が少年だろうと少女だろうとどっちでもいいのだ。問題は【鑑定の魔眼】についてだろう。あの子と目が合った瞬間、他人のステータスが見れるようになった。という事はこの子の持つユニーク【鑑定の魔眼】が関係しているのは明らかだ。


 そういえばまだ自分のステータスを確認していなかった。何か変化しているだろうか?


*―*―*―*―*―*―*―*

ライズ 男 6歳

Lv.1

魔力10

筋力3

防御4

素早6

器用7


スキル:病気耐性Lv.2

ユニーク:初心の魔眼(1)

*―*―*―*―*―*―*―*


 ……ん?どこか変わったか?

 いや、変わっている。【初心の魔眼】の部分に括弧書きで数字が入っている。あんなものは無かったはずだ。どういうことだ?


 考えていると、急に腕を引っ張られた。そちらを見れば姉のイェンネだ。


「早く行こう。あの人たち、まだこっちを見てる」


 そう言われて初めて気付いた。俺は少し離れた場所でそれなりの時間あいつらを観察していたのだ、変な警戒をされていても不思議じゃない。案の定訝しげな表情でこちらを見ているエデルリッソとバンデル。早めに退散した方が良さそうだと判断し、イェンネと共にその場を後にした。


 子供たちが毎日遊び場として利用している村の広場には、すでに子供たちが思い思いに過ごしていた。どうやら先ほどの嫌な気分は遊びで発散しているらしい。


 イェンネは年齢の近い女友達と一緒に遊ぶようだ。俺も適当な木陰に腰かけて先ほどの考察を再開することにした。


 【初心の魔眼】の横に付いた括弧書きの数字。あれは一体なんなのか。再度ステータス画面を表示させて、見てみる。先ほどと変わらず【初心の魔眼(1)】と表記されている。


 鍵となるのはやはりミレアの持っていた【鑑定の魔眼】だろう。名前からしてわかりやすいほどに現状に一致している。他人のステータスが見られるようになったのは、この【鑑定の魔眼】に間違いない。


 今までは他人のステータスを見ることはできなかった。それが急にできるようになったと言うなら、【鑑定の魔眼】が使えるようになったという事だろう。それはつまり、俺は他人の持つ魔眼の力を奪う、もしくは複製する力を持っているという事になる。ミレアのステータス内に【鑑定の魔眼】があったのを考えれば複製の方が正しいと思う。


 だとすると括弧内の数字は、魔眼の能力が新たに追加された場合に増えていくのだろうか?こればっかりは実際に数字が増えるときになってみないとわからない。仮に増えていくのだとして、それには上限があるのだろうか?これも現状ではわからない。


 なんにせよ、俺の持つ【初心の魔眼】は相当チートな能力なのは間違いない。なにせ他人の持つ魔眼能力をコピーできるのだから、強力な魔眼の能力を得ることができれば無双することだって夢じゃないだろう。


 ただ発動条件が未だはっきりしていない。目を合わせるだけというお手軽なものであればいいが、現状では何もわかっていないのだ。それに、俺がまだ気付いてないだけで、何か代償が必要な場合もある。


 やっと【初心の魔眼】の能力がわかったと言うのに、以前よりわからない事が増えてしまった。まぁそれでも十分前進しただろう。何より最初に手に入れたのが【鑑定の魔眼】で良かったとも言える。これを持っていれば他人のステータスも確認できるし、戦力の比較や、今後の目標も決めやすくなる。よし、なんかやる気出て来たぞ!


 テンションの上がった俺は、この日筋トレメニューを倍以上に増やして行い、翌日ヒドい筋肉痛に悩まされる羽目になった。何事も急いては事を仕損じる。なんて言葉が脳裏をよぎったが、この場合は当てはまるのだろうか?

戦闘書けませんでした。というか普通に考えたら6歳児に戦闘とか無理ですよね。


こんな駄作を読んでくださっている皆様、そしてブックマークまでして下さっている方々、どうもありがとうございます。

今後も書きたいように書いていくような自己満足小説ではありますが、温かい目で見守っていただければと思います。では、また次話にてw

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