表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
変態女神が創ったRPGはろくなもんじゃない  作者: 山田千春
第一章 変態女神からの手解き編
5/8

第五話 謎の幼女にからかわれるの

後書きに浅那のステータスがあります。


2014/9/12.13 後書き編集、文章表現の変更

2014/9/15 誤字脱字修正

2014/9/21 都合により、魔眼の名称変更

 浅那は木の幹に寄りかかり暫しの休息をとっていた。

「ふわぁー。眠いしお腹すいたな」

 あくびをしながら伸びをする。何しろ正午に女神と出会い、それからずっと特訓という名の地獄だったのである。このような感情も いたしかたないだろう。それにしても随分と呑気なことだが……。


「さて、そろそろ行動するか……。町でも探して宿をとらないとな……。流石に初日から野宿はきついぞ?」

 そう、浅那は今、着の身着のままの状態であり、寝袋など持っている訳がない。しかも、ここは異世界『ハルス』であり、魔物がそこら辺を闊歩している世界だ。そんなとこで安眠なんてできる訳が無い。だからと言って、宿屋で安眠出来るとは限らないのだが……。


「えーと何をするんだったかな……?なんかあの変態に言われていたような気がするんだが……」

 浅那は事前に何かしらの説明を受けていた。しかし、よく思い出せない。


「うん、まぁいいや。気にせずにいこう」

 すると目の前にウィンドウが開かれ、何かの呪文の様なものが書かれていた。

「……そうだ、思い出した。この呪文を唱えろとか言われてたんだっけか?」

 そして浅那は呪文を読み上げる。


「ヘルプ・万物を総べる神々よ、今、光と闇の道しるべとなり、再び世界を蹂躙するために我の元へと現れよ・ディビエイションガーゲス」

 すると浅那の目の前に光の粒子が現れる。そしてその粒子が集まり、人形が形成されていく。暫くすると目の前には見た目、6才程度の幼女が立っていた。


「…………」

 驚きを隠せない。誰?どっから出てきた?いや、見間違えだ。きっとそうだ。うん。目を閉じて深呼吸をする。

「す〜は〜す〜は〜」

 よし、これでいい。目を開ける。――そこには変わらずに金髪碧眼の幼女が佇んでいた。どうやら見間違えではなかったらしい。やっぱり意味がわかんない。するとその幼女が話しかけてきた。


「浅那よ。もっと早く召喚してくれてもいいのではないかの?まさか忘れていた訳ではあるまいに……」

「アア、ソンナコトアルワケナイダロ?」

「どうしてカタコトで目を逸らすのじゃ」

「そんなことより、お前は一体誰なんだ?」

「ふふふ、わからんか。まぁ無理もない。何しろこの姿じゃしのぅ?」


 そこで気がつく。喋り方に癖があるなと。

「わかった。なるほどな。そう言う事か……。つまり、お前はナビゲーター役としてオレの元へとやって来た、異世界に存在するというロリババアと言う奴だな!」

 そう、異世界っていったらロリババアである。一回でいいから会ってみたかった。断じてロリコンではないが。


「何を言っているのじゃ浅那よ。まだ分からぬのか。特訓を施した仲であろうに」

「ああ、わかった。お前、変態女神だな?」

 残念である。

「その通りなのじゃ。気づくのがおそいのじゃ」

「で?何しに来たんだよ?」

「最初に言われた通りにいわゆるナビゲーター役じゃ。まぁ浅那に興味を惹かれたというのもあるのじゃ」

「帰れ」

「なんでじゃ!ひどいのじゃ!折角ここまで来たというのに」

「邪魔だからだよ。大体お前、なんで幼児化してるんだよ?」


「話したじゃろ?神々の弱体化について。それが幼児化と一部スキルの使用不可なのじゃ。まぁレベルが上がるに連れ成長し、スキルも使えるようになるがの」


「じゃあもうあの爆発は出来ないのか?」

「否じゃ。使ったあとに大きな反動(リバウンド)が待っているが使えんこともないのじゃ」

 ……基準がわからん。そしたらまた町が壊滅してしまうではないか。


「じゃあオレはそろそろ行くんで」

「まぁ待つのじゃ浅那よ」

「なんだよ?」

「まだレクチャーは終わってないのじゃ」

「なんだと?」

「そろそろメールが届くはずじゃ」

 すると電子音とともに『メッセージを受信しました』の文字がウィンドウに表示される。いくらなんでもタイミングが良すぎだろう。

「まずは読んでみるのじゃ」

 その文字をタップするとメッセージが表示された。内容は以下の通り。




□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■


創造神


異世界トリップについて


 おめでとうございます。あなた方はこの異世界のβテスターになる権利を手に入れました。というわけでこの異世界ハルスで頑張ってください。

 ちなみに一定以上の活躍をして頂いた方に関してはいくらばかりの謝礼を支払わせていただきます。それでは10の祝福はもう受けましたね?最後に『特殊スキルの魔眼(・・)』を授けましょう。

 ぜひ、役立ててください。ちなみにこの世界では自分の好きに行動してもらって構いません。冒険者をするもよし、賞金稼ぎをするもよし、ハーレムをつくるのもよし、はたまた何もしなくてもよいです。

 それでは素敵な異世界ライフを!!


□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■




 ……これはいくらなんでもふざけすぎだろう。あなた方と書いてあるからオレ以外にも送る気なのか送ったのかはわからないが、事前に説明を受けている者ならまだしもいきなりこれを見た奴は災難だろう。するとまた電子音が鳴り、ウィンドウに文字が表示される。


『特殊スキルの魔眼を取得しました』

 ……貰える物ならもらっておくか。

 ん?ちょっとまてよ?


「なぁ、この世界からの帰還条件ってなんだ?」

「あっ……」

「お前絶対忘れてただろ?」

「すまぬの。実は妾も詳しく知らぬのじゃ」

「…………それは帰れないということか?」

「いや、そんなことはないはずなのじゃ。何があっても妾が帰還させてやるのじゃ」

「あぁ、任せたぞ」

「ふふふ、任せられたのじゃー」


 女神はとても嬉しそうに笑っていた。それは、笑顔を見れば例えロリコンでなくても彼女を好きになってしまうほどの笑顔だった。そして、女神を見て浅那は思った。そう、何笑ってんだこいつ。気持ち悪いと――鈍感系は王道なのである。


「はー。疲れたのじゃー」

 女神は落ちている毛皮の上にぺたんと座る。そうだ拾うのを忘れていた。

「ところで何のスキルをとったんじゃ?」


 そういえばまだ話ていなかった。あれ?この場所でもキーボードって使えるのか?と思いながら手を前に翳す。

「無駄じゃ。あの場所でしか使えんのじゃ」

 なら仕方がない。

「ウィンドウ・オープン」

 目の前にウィンドウが表示される。そして『可視化』のボタンを推し、女神に見せる。


「ふむふむ、『ウィンドウ操作』――

 ウィンドウを操作できるスキルだ。


『アイテムボックス使用』――

 アイテムボックスを使用できるスキルだ。


『鑑定』――

 アイテムや魔物を鑑定できるスキルだ。


『解体』――

 倒した魔物を一瞬で解体できるスキルだ。


『成長率増加』――

 成長率が増加するスキルだ。詳しくはしらん。


『回復力強化』――

 体力や魔力の回復が早くなるスキルらしい。


『詠唱破棄』――

 詠唱を破棄するスキルだ。しかし、詠唱しなくなるわけではなく、長い詠唱を無くすだけで技名は言わなければいけない。念じるだけで発動するには『無言詠唱』のスキルが必要になる――らしい。


『武器』――

 トンファーである。なぜトンファーになったかは知るよしもない。


『無属性魔法』――

 何かかっこよかったからとった。何ができるかは知らない。


吸収(アブソーション)』じゃと!?」

「何かまずかったか?その名の通り体力や魔力を奪うスキルのはずだが」

「いや、そうなのじゃが、このスキルはわりに合わないスキルなのじゃ」

「どういうことだ?」


「つまり、吸収できる体力や魔力量が圧倒的に少ないのじゃ。それに相手を倒さなければ奪うことはできん。言わば、死にスキルなのじゃ」

「……まぁ、どんとまいんど。確かに勿体無かったが終わったことは気にしない方がいい」

 顔では笑っているが心の中では暗雲が立ち込めている。


「こうなったら妾がしっかりとサポートするのじゃ」

「……ああ、ありがとう」




◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆




 そしてある事に気づく。やけにこの世界に来てから目がぼやけるのだ。

「なぁ、何か目がぼやけるんだけど、何か知らないか?」

「あぁ、それは異世界に来てステータスのプラス補正を受けたからじゃな。眼鏡をとってみよ」

 眼鏡をとる。すると目の前には綺麗な世界が広がっていた。


「おぉー。これは凄いな。」

 なんたって視力0.2だったのが一気に1.5以上になったのである。ちょっとくらくらする。でも眼鏡かけてないと何か不安だ。レンズをガラスにでも入れ替えるか。とりあえず鑑定をかけてみる。

「スキル・鑑定」


□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

不滅の眼鏡


絶対にフレームが曲がったりレンズが割れる事がない眼鏡。


スキル:自在視力矯正

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■


 おお、これは凄い。

「スキル・自在視力矯正・矯正レベルをマイナス0.5へ変更」

 すると先ほどよりも視界が悪くなった。よし、最初はこのくらいで慣らそう。次に腕時計が目に入る。これも鑑定をかけよう。

「スキル・鑑定」


□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

破滅の腕時計


・自分の半径10m以内に異性がいないと攻撃力が3割増加

・自分の半径20m以内に誰もいないと攻撃力が5割増加

・自分の視界に誰もいないと攻撃力が2倍になる

・自分の視界にパーティーメンバーがいると防御力が3割減少

・自分の半径20m以内にパーティーメンバーがいると攻撃力が3割減少

・自分の半径10m以内にパーティーメンバーの異性がいると攻撃力と防御力が半減


呪いのアイテム

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■


 …………言葉も出ない。何このソロプレイヤー専用装備。呪いのアイテムって。外れねぇ。

「なぁ、呪いのアイテムってどうやって外すんだ?」

「神官のスキルを使う必要があるのじゃ。なんじゃ、もう既に呪いのアイテムを装備しておったか」

「ああ、そうだ」

「クク、それは、ククククク」

「笑いすぎだ」


 一発殴ろうとするが見た目が幼女なので脳天チョップをする。

「ひどいのじゃー。浅那がひどいのじゃー。そんな軽くではなくもっと……ハァハァ……もっとじゃ……ハァハァ、もっとじゃ……もっと強くじゃ」

(もく)せ、変態」

「その蔑む様な視線が妾をゾクゾクさせるのじゃー」

 幼女がどMである。なんかもう色々と残念だ。


 次にポケットの中を探る。財布と携帯が出てきた。ちなみにガラケーとスマホの2台持ちである。正直言って邪魔である。ならなんで持ってんだよ。というツッコミはしないでいただきたい。


 スマホの電源を入れてみるが電波など繋がっていない。邪魔なのでアイテムボックスに放り込んでおいた。ついでに毛皮も放り込む。


「よし、そろそろ出発するぞ。もう夕方だ」

 あたりは夕日に照らされ真っ赤になっていた。急がなければ夜になる。そしたら野宿だ。初日からそれは勘弁である。


「そうじゃの。よし、出発じゃー」

「あっそういえばまだ名前聞いてなかったな。なんて言うんだ?」

「名前とな?そうじゃの妾の名前は峰岸 沙耶(みねぎし さや)じゃ。気軽にみーちゃんとかサーヤとかでいいのじゃ」


「……なんで日本名なんだよ。それにしても……峰岸……沙耶?どこかで聞いたような気が……」

「細かいことは気にするでない。さぁ、行くのじゃ」

「そうだな、行くか」

 四ノ宮浅那の冒険はついに始まったのである。




◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆




 歩く。走る。魔物倒す。走る。魔物倒す。2時間程走っている。

「のぅー浅那ー。妾、疲れたのじゃー。もう諦めて野宿にせんかのー」

 という声が真上から聞こえてくる。そう、浅那は沙耶を肩車していたのである。


「お前は何もしてないだろ」

「なにをー言ってるんじゃー担がれてる方もー揺れてー疲れるんじゃー」

「あんまり喋ってっと舌噛むぞ」

「そんなことある訳がっ!!」

 もはやお約束である。

「うー……痛いのじゃーこの痛みは何か違うのじゃー」

「我慢しろ」


 町のまの字の気配すら見えない。くっここまでか。もうあたりは真っ暗である。これ以上の捜索は危険である。

「……しょうがない。今日は野宿だ……」

「やったのじゃー。妾、一度でいいからキャンプというのをやってみたかったのじゃー 」

「……テントも寝袋も食料もないが……?」

「……はっ!!」

「……今気づいたな?はぁしょうがないとりあえず薪くらいは集めるか……さっさと降りろ」

「嫌なのじゃー暗いのは怖いのじゃー」

「はぁ、子供かよ」


 そんなこんなで肩車のまま薪を集め始める。そして気づいた。どうやって火を付ける?火属性魔法が使えればいいが今は使えない。

「なぁ、火属性魔法使えるか?」

「もちろんじゃ。妾に任せておけ」

 良かった。これで安心だ。

「それで?どの大陸を爆発してほしい?」

 撤回しよう。安心できなかった。


「そんなことできないだろ?」

「そうじゃな。せめてあと20レベ以上は上げないとダメじゃろうな」

 逆に言うとそれだけで大陸を壊滅させられるんだよな。とんだチートだ。


「マホ・ファイア」

 薪に火が付く。

「ふわぁーあ。もう眠いのじゃーおやすみなのじゃー」

 そして沙耶は浅那の膝の上でスースーと寝息を立てながら寝始めた。対して浅那は沙耶のせいで動けず、かといって寝ることもでなかったので魔物を警戒しながら軽い休息をとることにした。

 2人の頭上では2つの月が輝いていた。




◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆




「ふわぁーおはよーなのじゃー。じゃあ早速町に向けて出発なのじゃー」

「ああ、今日こそは絶対に宿で寝るんだ」

 浅那は充分に寝ることができず、疲れていたがそれを表に出さないのが浅那クオリティーである。

「さぁ、肩車をするのじゃー」




◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆




「なぁ、ここら辺には町があったはずだが?」

 浅那はサフラン・コードを手本にしていると聞いていたのでてっきり町などの配置も同じだと思っていたのだ。だからこそ現在地を憶測し、町までの最短距離での移動をしていたわけである。


「何を言っておるのじゃ浅那よ。全てが全て同じなわけがなかろう。それに、ここには町が合ったぞ?10年前のことじゃがな」

「10年前?どういうことだ?サフラン・コードがリリースされてからまだ2年しか経っていないぞ?」


「ふふふ、何を言っておるのじゃ浅那よ。我々は神であるぞ?(とき)の概念などは何の問題でもない」

「……まじかよ。ということはこの辺りにはもう町がないんだな?」

「いや、ここから真っ直ぐ1キロ程行った場所に町があるはずじゃ」

「それを早く言え。それじゃあ、行くぞ」




◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆




 町が見えてきた。大きさにして縦横3メートル程の大きさだろうか。一応町の周りには木製の柵が立てられている。おっ門番がいる。あそこから中に入るんだな。


「よし、打ち合わせ通りに頼むぞ」

「任せるのじゃ」

 2人は小声で確認し合う。すると、門番が眉を顰めながら話しかけてきた。

「旅の者か。ここはコクトの町だ。何か身分を証明できる物は持っているか?」


 きた。これはもはやお約束である。そして、言語が理解できることに関心する。これが『言語理解』のスキルか……。『言語理解』のスキルは異世界人がデフォで取得しているスキルらしい。


「すまない。ここに来る途中に魔物に襲われてな。荷物などは全部置いてきてしまった」

「うむ、ならば仕方が無いな。これからは気をつけたまえ。おっと、ちょっと待っいてくれよ?」


 と言い、詰め所のような場所に行く門番。戻って来た時には手に石版の様な物を持ってきた。

「なんだこれは?」

 沙耶に小声で確認する。


「これは犯罪者か否かを確認するための魔道具じゃな。あの上に手を置き、青く青く光ったら通れるが赤く光ると捕まるのじゃ」

「なるほど」

 門番が目の前に石版を翳してくる。

「さぁ、手を置くのだ」

 浅那と沙耶は順番に置くと青く光った。

「よし、問題ないな。通るがいい」

「ああ、ありがとな」


 2人で門を潜り町に入る。

「打ち合わせいらなかったな」

「そうじゃな。でも念には念をとも言うしの」

 打ち合わせとは何か問題が合った場合には沙耶が遠くの方で爆発を起こし、気をそらしている間に逃げるという、なんともお粗末なものだった。そして気づく。


「宿屋ってどこだ?」

 場所を知らないのである。

「それよりも先に冒険者ギルドじゃな。身分証を発行してもらったほうがよい」

「ああ、そうだな。おっ冒険者ギルドはこっちみたいだぞ。看板がある」

 そして2人は冒険者ギルドを目指し、歩いていった。




◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆




「ここが冒険者ギルドか……よし、入るぞ」

 ウエスタンな映画に出てきそうなドア?を押して中に入る。すると沢山のガラの悪い屈強な男達がいた。

「おお、リアルでもこんな感じなのか」

 冒険者ギルドのイメージとぴったり過ぎてびっくりだ。


「とりあえず受け付けに行くか」

 受付に行くとそこには綺麗なお姉さん――ではなく中年のおっさんがいた。綺麗なお姉さんを見たかった。すると沙耶がこちらを睨んでくる。誤魔化すようにおっさんに話しかける。



「すまない、冒険者ギルドに登録したいんだが?」

 すると眉を顰めてから話しかけてきた。

「ええ、いいですよ。そちらの嬢ちゃんもかい?」

「ああ、そうだ」

「少々お待ちください」

 奥に引っ込んで行き、戻ってきた時には手に紙を持ってやって来た。


「これに必要事項を書いてください」

 紙には名前、職業、年齢などの記入欄がある。職業?学生?……冒険者でいいか。隣を見ると沙耶も書いていた。名前、サーヤ、職業、冒険者、年齢、6歳と――6歳でいいんだ。そして書き終わる。


「それじゃあ冒険者ギルドの説明だけど聞いていくかい?」

「お願いします」

「まず冒険者ってのにはランクがあるんだ。そしてランクに見合った依頼しか受けられない。加入したばかりならばランクはFから始まる。まあ、Bランクまでいけばいい方だろう。頑張るんだな。後はまぁ、そこの掲示板でも見てくれや」

 浅那は思った。あっこいつめんどくさくて投げたな……と。


「そうだ。素材の換金ってここでできるのか?」

「ああ、できるぞ」

「アイテムボックス・オープン」

 すると目の前にアイテムボックスが現れる。

「ほぉ、アイテムボックスが使えるのか……何を持ってきてくれたんだい?」

 そしてイージーラビットの毛皮を何十枚かだす。

「おぉ、こんなにか、これだと合計で180ハルだな」


「これで適正価格か?」

 沙耶に小声で確認する。

「ああ、問題ないじゃろう」

「よし、頼む」

「ちょっと待っててくれよ?」

 そして奥へと引っ込んで行く。戻ってきた時にはトレイに銀貨1枚と沢山の銅貨が載せられていた。


 どうやら『ハル』というのがお金の単位で1ハルで銅貨、100ハルで銀貨になるらしい。

「ちなみにギルドカードにチャージすることもできるがどうする?」

「なに?そんなこともできるのか?」

「ああ、そのまま買い物もできるぞ」

 おお、カード支払いだ。変なところで進んでるな。

「じゃあ10ハルを残して残りは全部チャージで頼む」

「了解した」


「ちなみにどこかに安くて安心して眠れる宿はないか?」

「そうだな、ここから出て右へ20メトル進んだ所の腹ぺこ亭がおススメだな」

 ちなみに『1メトル』イコール『1メートル』らしい。そのまますぎる。

「そうか、助かった。ありがとう」

「気をつけるんだぞ、兄ちゃん」

 オレ達は冒険者ギルドを後にした。




◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆




 20メトルほど進むと大きな看板が掲げてある建物が目に入る。

「ここが腹ぺこ亭か」

 木製のドアを開き中へと入る。すると中にいた幼女がいきなり話しかけてきた。


「ねぇねぇお兄ちゃん。どうしたのその顔。変なの〜。それカッコイイと思ってやってるの?そんなの流行らないよ?」

「いったい何のことだ?」

「お兄ちゃんの顔に描いてある落書きのことだよ?」


 …………すっかり忘れていた。

名前:四ノ宮 浅那

職業:フラグブレーカー

加護:主人公補正の加護

装備:不滅の眼鏡・破滅の腕時計・黒木のトンファー×2

Lv.19

HP:67

MP:190

ATX:32

DEF:34

AGL:62

CLE:36

INT:25

マホ:『無属性魔法』

スキル:『武器』『女神より授かりし戦技』『ウィンドウ操作』『アイテムボックス使用』『鑑定』『解体』『成長率増加』『回復力強化』『詠唱破棄』『吸収(アブソーション)』『身体変化(トランス)の魔眼』『言語理解』

称号:異世界人・女神に好かれし者・女神の戦技を受け継ぐ者・変態に見守られる者・トンファー使い・とんだスプラッタークリエーター


沙耶「やったのじゃ。ついにやったのじゃ」

浅那「どうしたんだよ」

沙耶「ついに女神(自称)の(自称)がとれたのじゃー」

浅那「まぁ、ここまできたら信じるしかないよな」

沙耶「嬉しいのじゃーありがとなのじゃー」

浅那「ところで略称はどうなったんだよ?」

沙耶「略称は『へんめが』に正式決定したのじゃ」

浅那「……いまいちぱっとしないな」

沙耶「ええい、カッコイイであろう。文句は言わせんぞ」

浅那「まぁ後で変えればいいだけだしな」

沙耶「ふふふ、そう簡単にいくかの?」

浅那「次回、『買い物をするの』おっまともになりそうな回だな」

沙耶「ふふふ、そうは問屋が卸さぬのじゃ」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ