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変態女神が創ったRPGはろくなもんじゃない  作者: 山田千春
第一章 変態女神からの手解き編
4/8

第四話 ついに異世界にいくの

2014/9/5 誤字脱字修正

2014/9/8 誤字脱字修正、スキル習得の矛盾修正




◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆




 嫌な予感がした。

「なに、少し妾を罵るだけでよい」

 見事に嫌な予感が的中した。一発殴ってやりたい。でもそうするとこいつ悦ぶんだよな……。そうだ、いいこと思いついた。それが成功したところを想像するとあいつの驚く表情が目に浮かぶようだ。ククク。


「ちょっと武器を試してくる」

 オレは何も聞こえなかったかのようにバレないよう気をつけながら振る舞い、カカシの方へと歩き出した。


 そして歩きながらウィンドウを操作し、先程見つけた『武器』『単独転移』『無言詠唱』『詠唱破棄』『痺れる一撃』『クリティカル率増加』『水属性魔法』『土属性魔法』を取得する。すると目の前の空間から『トンファー』が出現する。もらえるのはスキルだけじゃなかったのかよ……。歩きながら何度か素振りをする。うん、なかなかいい感じだな。これで『ウィンドウ操作』と『火属性魔法』をいれてちょうど10だ。ちなみに『魔力感知』は女神(自称)により、すでにはずされている。そして女神(自称)を一瞥し、今いる位置と女神の位置を確認し、カカシに向き直った。


 目を閉じ、女神(自称)の位置を思い浮かべる。『単独転移』が『無言詠唱』と『詠唱破棄』の力で音も無く発動し、女神(自称)の目の前に出現した。おお、やっぱり驚いてるな。よし、くらえ。そしてオレは女神(自称)目掛けて『トンファー』を振り落とした。怪我がないように手加減する。おっ一発でクリティカルが出たようだ。『クリティカル率増加』のおかげかな?そして『痺れる一撃』が発動する。このスキルはクリティカルを与えた相手に一定確率で状態異常の『麻痺』を与えるというものだ。うん、女神(自称)が痺れて動けない。ここまでは上手くいった。


 次のステップだ。『水属性魔法』と『土属性魔法』を合成させ、『氷』を作る。おお、氷山が出来てしまった。『トンファー』で殴り、手で握れる位の大きさにする。うん、普通に冷たい。氷だ。女神(自称)が怯えた目でこちらを見る。これからおきることがわかったのだろう。だがオレとしては止めるつもりなどサラサラない。痺れて倒れている女神(自称)に近づく。服と背中の間に先程の氷を大量に入れてやる。

「――ん、あ、あぁ、ん〜〜」

 『麻痺』のせいで満足に声が出ないが、何かを叫んでいるのは分かる。よし、成功だ。あれっでもなんか悦んでないか?いや、気のせいだ……と信じたい。後は『麻痺』が治るのをじっくりと待つか。


 『回復魔法』を取得してもいいが、今ちょうど10取得しちゃってるしな。そして、スキルをリセットする方法を知らない。知っていたとしてもこのままだが。




◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆




 ――悦……もとい苦しむ女神(自称)の『麻痺』が治るまでつま先でつついたり、カカシで『トンファー』の練習をしたり、氷の滑り台を作ったり、女神(自称)を滑らせてみたりして遊んでいた。


「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」

 女神(自称)は荒い息を繰り返しており、目のハイライトも失せており、焦点があっていない。なるほど、これが俗に言うレイプ目と言うやつか。初めて見た。氷の滑り台の回転と『痺れる一撃』を定期的に与えたからだろうか。少しやり過ぎたか?まぁいいか、相手は変態だし。すると女神(自称)の身体が光に包まれた。おお、これが『回復魔法』か。


「のぅ、はぁ、これはいくらなんでもこれはやりすぎじゃ。はぁ、確かに最初は気持ちよかったがあの回転は吐きそうじゃった。うぅ、気持ち悪い……うっ……」

「すまん、やり過ぎた。許してくれ」

「ずっずいぶん簡単に言ってくれるのぅ……妾はもうだめなのじゃ。少し、休ませてほしいのじゃ」


 女神(自称)はどこからか布団を出してきて寝始めた。

「ふん、今までのお返しだ」

少しやり過ぎた感も否めなかったが女神(自称)から距離をとり、草原の上で横になった。


 あぁ、空が青い。こう長く空を眺めていると何か思うことが…………ないな。何もなかった。うん、オレも寝よう。そして浅那は心地よい寝息をたてながら寝始めた。




◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆




「もぉ、もう起きてたもぉ」

「うーん後5分……」

「……そんなお約束ネタやってると燃やすぞよ〜」


 その言葉で跳ね起きる。そして女神(自称)の頭とぶつかる。

「っ〜痛いのじゃ。ぷ。寝起きが悪いぞよ。ふふ」

 なぜかオレの顔を見て笑っている。睨むと鏡を渡された。鏡を覗き込むと――オレの顔に落書きしてあった。子供か。『水属性魔法』で水を出し、顔を洗う。落ない。これ、油性だ。くっ地味な嫌がらせを……。そうだスキルに『浄化』があった。ウィンドウを出し思い出す。そうだ、今ちょうど10取得しているんだった。


「なぁ、スキルのリセットってどうやるんだ?」

「ふん、教えないのじゃ」

「なんでだよ。教えてくれたっていいじゃないか」

「さっきのことを謝るまで教えないのじゃ」

「うっ、さっさっきのはその……すまなかった。やり過ぎたと思ってる」

 すると女神(自称)は目をじっと見てくる。心の中を見透かされてる気分だ。

「うむ、では許すとするかの」

「あぁ、ありがとう」

この女神(自称)との距離がぐっと縮まったような気がする。

「の、のう」

「ん、なんだ?」

 オレは優しく聞き返す。

「あっあの……。あんなに激しいのはダメなのじゃがもう少し優しくなら、たまに妾をイジメてほしいのじゃ……」

 オレは額に青筋を浮かべる。そして大きく息を吐く。

「はぁ〜。黙れ、変態」

 そう言うと何を勘違いしたのか

「よろしくなのじゃ。ご主人様」

にぱっと輝く様な笑顔を返された。傍から見たら金髪碧眼の美女が屈託の無い笑顔を見せているのだ。普通の男子なら惚れているだろう。しかし、悲しきかな。浅那はそれを見て、なんで笑ってんだよ。きめぇ。と思っただけだった。


「一休みもしたし、妾がごしゅ……お主に稽古をつけてやるとするかの」

 ご主人様と言いそうになったので睨んだら言い直した。

「お前戦えるのか?」

「なに、ここにはどんなスキルでもあるんじゃぞ?では、ごしゅ……お主のスキルをリセットするかの」

「もう面倒だから普通に名前で呼んでくれないか?」

「えっ…………いいのかの?妾が呼んでも……?」

「ああ、変な呼び方されるよりはマシだ」

「ふふ、ふふふふふ」

 一人で頬を染め、笑ってる。変な奴だ。


「よし、『武器』を残して全てリセットしたぞ。むぅ、『トンファー』か……なかなか面白い武器を手に入れたの」

「なぁ、もらえるのはスキルだけじゃなかったのか?それに他の武器に変えられないか?」

「なに、細いことは気にするでない。それに一度出てきた武器はそのままじゃ。変更はできん」

 どうせなら、剣とかがよかった。


「では稽古開始じゃ」

 その言葉とともに女神が空中に手を翳すと光が集まり、その中から黒い扇子が出現した。女神なのに黒かよ……。

「さあ、どこからでもかかってくるがよいのじゃ。そうじゃの……一本でも取れたらあっ浅那の勝ちでよい。ちなみにこの空間では死んでも蘇生する。気にせずにかかってくるのじゃ。少しは妾を楽しませてくれるな?」

 ここまで言われれば行くしかないだろう。

「本気で行くぞ?」

「もちろんじゃ。妾も手加減などせぬぞ? 」


 その言葉と共にオレは地面を踏みしめ、前に飛び出した。

「やぁぁぁ」

 大声で叫びながらカカシに打ち込んだ時のように殴りつける。しかし、女神(自称)は紙一重のところで避け、オレが横を通る時に首筋に畳んだ扇子でぺちっと叩いた。軽く叩かれたはずなのに痛い。

「甘い、動きが読みやすいのじゃ。そんなんじゃ雑魚にも勝てぬわ」

「くっ……」


 オレはもう一度女神(自称)目掛けて飛びかかる。今はスキルを取得していない。純粋な力量が試される。トンファーの扱い方なんぞ知らん。自分自身で使い方を覚えるしかない。第一トンファーって何スキルかわわからんしな。


 次はフェイントをいれる。右手を前に出し、相手の意識を右に集中させる。そのまま、右手に握ったトンファーで叩きつける。女神(自称)はそれに反応し、オレから見て左側に避ける。きた。それを狙って左手に握ったトンファーを下からアッパーのように振り上げる。しかし、それを予想していたのか扇子を使い軌道をそらす。思ってたより力が強く、扇子も重い。一体何で出来てるんだあの扇子。見た目は木製なのだが……。


 もう一度飛びかかる。次は懐に潜る。前傾姿勢で一気に近づきトンファーを振る。しかし、いつの間にか目の前からは女神(自称)が姿を消していた。

「うしろじゃ」

 急いで後ろを振り返る。いつの間にっ。

「足元がおるすじゃ」

足を蹴られ転び、尻餅をついてしまう。くっ強い。


 急いで立ち上がり両手に握ったトンファーを前に突き出す。その際、右手よりも左手を少し前に突き出し、喉元を狙う。案の定避けられる。オレから見て右側に避けたので右足で蹴る。しかし、一度驚愕した表情をした後に後ろに跳び、避けられる。


「はぁ、はぁ」

 これでも駄目か。どう やったら勝てるのか分からない。それにこっちは日本では文化部だった。体力なんぞある訳がない。もう息切れしてきている。

「今のは少し驚いたのじゃ。浅那はこうしたのは初めてじゃろ?それにしては扱い方が慣れてる気がするのう。凄まじい成長速度じゃ。ほれ、いつまで休んでおる。早くかかってくるのじゃ」


 微笑を浮かべながら、手をクイクイと曲げて誘ってくる。少しイラつく。どうする。どうすればいい?っていうかトンファーって叩くのと突くのではどっちが専門なんだ?ってかトンファーってなんだよ。剣での戦闘なら想像つくがトンファー対扇子なんて想像できねぇよ。


 女神(自称)の恐れるところはあの敏捷力と重い扇子だ。もしかしたら筋力も凄いかもしれない。息切れしてる様子もないし、持久力もあちらの方が上だろう。対してこちらは……ただの一般人だ。あれ?これ勝てるの?いや、別に勝たなくてもいいんだ。一本取ればいいんだ。


 そうだ思い出した。確か異世界人はステータスにプラス補正がかかるんだ。ステータスを確認しようとして気付く。『ウィンドウ操作』が出来ないんじゃ確認できねぇ。そもそもここで補正かかっているのかさえ謎だし。諦めるか。


 よし、次の作戦を思いついた。両手を後ろに流し前傾姿勢で相手に詰め寄る。左手のトンファーで突いて胴を狙う。またもや紙一重で避けられる。よし、 次は右手で突く。素手でだ。オレから見て左側に避ける。未だに密着したままだ。この状態で足を振り上げようとする。しかし、女神(自称)が膝蹴りでオレの股間を蹴ってきた。痛い。その場に崩れ悶えるオレ。


「ふふ、密着状態で足元を見えにくくして蹴ろうとするとは。しかし、相手も同じく蹴ることが出来る事を忘れるでな……む?」

 女神(自称)が上を見上げる。すると上からトンファーが降ってくる。ちっ気付かれたか。右側に避けようとする。そこを狙い左手のトンファーも投げる。当たったかの様に見えた瞬間、女神(自称)はその場にはいなかった(・・・・・)。見えなかった。すると後ろから声が掛けられる。


「そこまで出来れば十分じゃ。では、浅那に伝授するとしよう。妾の戦闘術を!!!」


 その後の特訓はなんていうかもう、地獄でした。




◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆




「よし、浅那はもうトンファーの腕なら達人の域にまで達しておる。そこら辺の雑魚になど負けたりなどせん!!!」

「ありがとうございました!!!」

「うむ。これからも鍛練を続けるのじゃぞ」

「し、師匠ぉー」


「ところでどのスキルにするか決めたのかの?」

「ああ、もうばっちりだ」

「ちなみに頼まれていたユニークスキル(・・・・・・・)の件なのじゃが……」

「ああ、できたのか?そのためにスキルは9つしか取得してないぞ」

「いや、新たにスキルに組み込むのが難しくての……加護(・・)という形で与えるというのではダメかの?」

「いやもうなんでもいいさ。じゃああと一つスキル選んでいいのか?」

「ありがとうなのじゃ。ああ一つ選んでいいのじゃ」

 悩む何にしようか……。『解体』……便利そうだな。これにするか。

「よし、決めたぞ。もう行くのか?」

「いや、これから卒業試験(・・・・)がある。心して望むのじゃ」

「うげぇ、学校でもないのに試験(・・)かよ……。ペーパーテストとか無理だぞ」

「安心するのじゃ。魔物(・・)との戦闘じゃ」


 女神(自称)が手を翳すと魔物(・・)が三体出現する。

「殲滅すれば合格じゃ。ちなみにこの空間では蘇生する。安心して何度でも死ぬがいいのじゃ。そして一回死亡するごとに魔物は二体増えるのじゃ。気をつけよ。そしてボーナスとして一匹倒すごとに必ずレベルが1上がるのじゃ。では、スタートじゃ」


 一体の魔物が飛びかかってくる。それを避け、胴体をトンファーで殴る。魔物が倒れた。レベルアップ音が流れる。弱いな。今のオレなら楽勝だ。そしてもう一体も楽に屠る。

「ほう、さすがじゃのう。簡単すぎたかの」


 少し考えてからオレは自分で自分をトンファーで殴り自殺した。あぁ目の前が自分の血で真っ赤に染まる。意識が遠のく。あぁ、死ってこういうことなのか……。そしてすぐに蘇生する。血も消えていた。よし、成功だ。でも痛いな。


「……は?」

 女神(自称)が驚き固まっている。そりゃそうだろう。自分でもびっくりだ。

 その間に増えた魔物を倒し、また自殺する。それは端から見たら酷いスプラッターだったろう。

「え?え?」

 女神(自称)未だ固まって動けずにいる。そのまま一体何回繰り返しただろうか。


「……のぅ、浅那よ。一体何をしておるのじゃ?」

「ん?決まってんだろ。レベル上げだ」

「そ、そんなことはさせんぞ」

女神(自称)は震える指でウィンドウをそうさする。

「これで浅那はレベル上げ禁止じゃぁー」

 オレは気にせずに魔物を屠る。これでレベルがあが――らない?

「ふふふ、もうレベルは上がらんぞ?では異世界(・・・)ハルス(・・・)』に行ってくるのじゃ!!!」

 とたんにオレの視界がブラックアウトした。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 気がつくとそこは草原だった。景色は何も変わらないが空気が違うことが感覚でわかる。どうやらついに異世界(・・・)に来たようだ。

 まずは町を探すかと辺りを見回すとうさぎ(・・・)が一匹いた。オレは急いでスキルを発動させる。

「スキル・鑑定」

 そう、王道スキルの『鑑定(・・)』である。なになに、名前が『イージーラビット』?……って魔物かよ!!オレは混乱して逃げる。するとイージーラビットが追ってきた。


「うわぁぁぁ」

「キー」

 今命がけの鬼ごっこが始まった。

浅那「なぁ、オレって主人公じゃなかったのか?」

女神「なんじゃ。まだ引きずっておったのか。当たり前じゃ。タイトルを見てみよ。妾が主人公に決まっておる。タグは作者のミスじゃ」

浅那「そういうことか……」

女神「そんなことよりいまだに浅那は妾が女神だと信じてないのかのいちいち(自称)をつけるほどに」

浅那「あぁ、まず名乗らねぇ時点で怪しいだろ」

女神「うっ……それについては次回で明らかになるのじゃ」

浅那「おお、異世界生活と名前判明の二大イベントがやってくるのか?」

女神「そうじゃ。それに略称も正式発表じゃ」

浅那「それはすごいな。楽しみだ」

女神「浅那の取得したスキルも気になるしの」

浅那「次回、『第五話 謎の幼女にからかわれるの』……え?」

女神「一難去ってまた一難じゃな」

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