来世・墓場・業務用の恩返し
お題メーカー利用することにしました
なに?業務用の恩返しって何!?
うだるように暑い夏の日、気休めにもならないききの悪くなったクーラーに心の中で文句をたれながら男は一人リビングのソファーの上で横になっていた。
「うわ~・・・・・あっちぃな。いい加減はやく夏終わらないかな」
新しいクーラーに買い換えようにも稼ぎの少ない身の上ではそんな余裕もあるはずはなく日差しをさえぎるためにカーテンを閉めるぐらいしかできなかった。テレビをつけても休日の昼間となればめぼしいものもやっておらず一通りまわしてみてからテレビを消した。
そんな風にグダグダ過ごしているとふと魔がさすというかなんというか人間暇すぎると突拍子もないことを思いつくもので
「そうだな・・・・墓場でも行くか」
どうやら夏といえば肝試しということらしい。確かに気分から涼しくなるという観点からも墓場ともなれば緑も多く1,2度ほど涼しいかもしれない。
「あー、ちっとは涼しいかもしれねぇけどよく考えたら真昼間からお化けだなんだって雰囲気じゃねぇよな」
などといいながらぶらぶらしていると後ろから声をかけられた。
「すいません。ちょっとよろしいですか」
「ん?」
その声に反応して男が後ろをむくと着物姿の少女が立っていた。
「何かようか?」
「はい、私前世で受けた恩を地獄にいる人たちが返す手伝いをしているものです」
男は心の中で「なんだ電波か」と思ったが
「いやいや、電波じゃないです!!本気ですから!!本物ですから!!!」
「ああ、本物の電波だろ?」
「だから違いますって!!」
結局しつこく電波じゃないと食い下がる少女に根負けした男が続きを促した。
「それで前世で恩を与えたから来世の俺に恩が返ってくるってことか」
「はい、地獄の方は直接恩返しできないので私が代行として出向いているしだいで」
男は少し考えたような様子を見せると
「それ、俺が決めていいのか?」
とたずねた。
「はい!むしろそうしていただけないと困ってしまいます」
「う~んそれじゃ、新しいエアコンくれない?よく効くやつ」
「わかりました!よく効くやつですね」
「ああ、それで頼むわ」
「それでは後日お送りします」
そこでふと男は疑問に思ったことを口にした。
「なぁ、エアコン代って誰が出してるの?」
「ああ、それは恩を受けた人が地獄でせっせと血と汗流しながら働いたお金から出てますよ」
余計なこと聞かなければよかったと思った男に少女が
「ちなみに平均時給210円なんですよ」
といって帰っていった。
後味の悪い思いをしながら男は家に帰った。それから数日後家にエアコンが届いた。
「○立省○ネの達人プレミアムゆかおき10馬力電源3相200v1524000円」
「・・・・・・・・業務用かよ!!ってかうちじゃ使えないよ!!」