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雨乞い少女  作者:
3/3


数秒の沈黙の後に、彼が口を開いた。


「なら、死んでみせてよ。」


此処から飛び下りれば簡単だよ、と彼が小さく笑った。

飛び下りて、死ぬ…?

彼は歌うように言葉を続ける。


「他人を愛すってことはさ、その人に全てを捧げるってことでしょ?

 僕のことを愛してるんなら、僕のために死んでみせてよ。」



椎名君に、全てを、命を捧げる。椎名君のために死ぬ?

私の想いを、愛を、証明できる?

私が死ねば、椎名君が愛してくれる!


愛される。私だけが。わたしだけが!

…あぁ、なんて幸せなことなんだろう!!


私は喜びに満ちて、フェンスに手をかけた。


愛しています、椎名君。

愛してる。あいしてる。アイシテル。

ねぇ、ちゃんと見ていてね。





ぐしゃ。


「あーあ、きったない。」

落ちていった彼女は、地面に真っ赤な花を咲かせ飛び散った。

愛を証明したつもりらしい。なんてバカな女なんだろう。


そういえば、あの子の名前も知らないや。

なんだか愉快になってきて、僕は思わず笑みをもらした。

姉さん、やっぱり世界は下らないモノばかりだよ。

…おかしいのは、どっちなんだろうね。



扉は鈍い音をたてて閉じられた。

残された赤い花は、幸せそうに微笑み、そっと呟く。


ア イ シ テ ル。







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