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黒眼のリバイヴ  作者: たからの
黒眼の目覚め

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逆探知

河川敷に強い風が吹き抜ける。

黒斗は足元の影を見下ろし、小さく呟いた。「見てるんだろ」


ミオが横目で見る。

「また感じるの?」

「昨日よりはっきりな」


遠くの電柱、橋脚、ビルの影。

その中に一箇所だけ、温度の違う歪みがある。


自然じゃない。

人工的な圧だ。


黒斗は息を整える。

「受け身はやめる。探すぞ」

「逆流するわよ」「上等だ」


影を広げるのではなく、薄く伸ばす。

地面を這うように周囲の影へ接続していく。


冷たい感触が連続する。

その奥に、異物の一点があった。


「そこか」


さらに細く、深く絡め取る。

その瞬間、視界が揺れた。


頭の奥にノイズが走る。

覗き込んだはずなのに、逆に覗き返される。


検知。


概念の衝突が脳内を叩く。

黒斗は歯を食いしばった。「逃がすか」


影を巻きつけた刹那、断片的な映像が流れ込む。

高所、強風、ガラス越しの光。


端末を持つ指先。

そこで、遮断。


強烈な反発が返る。

「っ……!」影が弾かれ、地面がひび割れる。


視界が白く染まり、膝が落ちる。

一瞬、意識が遠のいた。


「切りなさい!」

ミオの声が響く。


黒斗は影を強制的に収束させる。

広げた意識を一気に引き戻す。


風の音が戻る。

現実が輪郭を取り戻す。


荒い呼吸のまま、黒斗は笑った。

「完全には掴めなかった」


「でも触れたわ」

ミオの声は冷静だ。


「観測側は一方通行が前提。その壁を叩いたのは事実よ」


黒斗は額の汗を拭う。

頭の奥に鈍い痛みが残る。


だが確信もあった。

あの瞬間、向こうは焦った。


遠く、ビルの屋上。

端末を持つ人物が動きを止める。


「……逆算不能」

小さく呟き、記録を更新する。


適合率、上昇。

危険度、上方修正。


河川敷で黒斗は立ち上がる。

「次はもっと深く行く」


「境界を越えれば戻れないわよ」

「どうせ向こうは越えさせる」


空を見上げる。

足元の影が、彼の意思に応じて揺れる。


だがその奥で、別の微細な反応があった。

逆探知されたのは観測側だけではない。


影の奥もまた、何かを掴みかけている。

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