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黒眼のリバイヴ  作者: たからの
黒眼の目覚め

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23/28

観察者

午後の光が、教室の床を斜めに切っていた。


授業は続いている。

黒斗はノートにペンを走らせながら、わずかに呼吸を浅くしていた。


さっきから。


何かがおかしい。


黒板ではなく、隣でもなく、前でもない。

背中の奥、首筋のあたりに、微かな圧。


視線。


戦場で感じる殺気とは違う。

もっと静かで、もっと冷たい。


観察する目。


黒斗は気づかれないように、視線だけを動かす。


右後方。

窓際、三列目。


女子生徒が一人、頬杖をついて黒板を見ている。

普通だ。自然だ。


だが。


ページをめくる音が、黒斗の動きと同時だった。

(偶然か?)


黒斗はわざとペンを止める。

一拍遅れて、視線が外れる気配。


喉が、わずかに乾く。


影は揺れていない。

暴れもしない。


だが、奥底がざわつく。


見られている。


先生の声が遠くなる。


黒斗は再びペンを動かす。

今度はゆっくりと。


背後の空気が、微妙に緊張する。


確信。

いる。

だが敵意はない。


ただ、記録するような目。


「……」


黒斗は振り返らない。

ここで反応すれば、相手に確信を与える。


代わりに、窓ガラスに映る影を使う。


わずかに反射する教室の様子。

その中で。


その女子生徒の目は、黒板ではなく、

黒斗の背中を見ていた。


チャイムが鳴る。


教室が一気に騒がしくなる。


黒斗は立ち上がる。

振り返る。


だがその席は、すでに空だった。


「……早いな」

机の上には、きれいに揃えられたノート。


名前。

見えない。

いや、書いていない。

胸の奥が、静かに冷える。


その頃。


校門の外。

ミオは腕を組み、校舎の二階を見上げていた。


「……いるわね」

小さく呟く。


彼女も感じている。


影ではない。


別の“系統”。

観測者。


教室の中。

黒斗はゆっくり息を吐く。


日常は、続いている。

笑い声も、雑談も、変わらない。

だが確実に。

誰かが、黒斗を測っている。


そしてそれは

偶然ではない。

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