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黒眼のリバイヴ  作者: たからの
黒眼の目覚め

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16/28

影、浮上

朝。霧は昨日より薄い。

黒斗の影は地面に広がる。揺れているが、崩れない。


ミオが小さく呼ぶ。


「……玄真」


空気が止まる。

黒斗が振り向く。


「誰だよ」


「この人の名前」


男は視線を落とす。


「久世玄真」


黒斗は少し笑う。


「玄真、な」


男は否定しない。


「呼びたければ呼べ」


その声は静かだが、わずかに硬い。

ミオは見逃さない。


「まだ背負ってる」


玄真の目が細まる。


「余計なことを言うな」


黒斗が割って入る。


「で、玄真」


初めて名を使う。


「次は何だ」


沈黙。

玄真は一歩前に出る。


「安定は終わりだ」


影が広がる。


「今日からは“崩壊”だ」


黒斗の眉が動く。


「は?」


「お前の影は揺れる。それを消すな」


玄真の影が黒斗の影に触れる。


「揺れを最大まで引き上げろ」


空気が重くなる。

黒斗の影が一気に膨らむ。

ざわ、と地面が軋む。


ミオが息を呑む。


「止めなくていいの?」


玄真は動かない。


「まだだ」


黒斗の視界が歪む。

父の影が脳裏をよぎる。


怒り。

敗北。

カリギュラ。

影が浮く。


地面から、離れる。

玄真の目がわずかに見開く。


「……浮いた?」


影が黒斗の足元から剥がれ、背後に立ち上がる。

父とは違う形。

尖っている。


荒い。


黒斗が歯を食いしばる。


「飲み込め……!」


影が暴れ、岩を砕く。


玄真が初めて動く。


踏み込み、拳で影を打ち抜く。


衝撃。

黒が霧散する。

黒斗が膝をつく。


静寂。


玄真は低く言う。


「今のが、お前の可能性だ」


ミオが黒斗の肩に触れる。


「怖い?」


黒斗は息を荒くしながら笑う。


「いや」


目を上げる。


「面白い」


玄真の口元が、ほんのわずかに緩む。


「なら続ける」


霧の向こうで、何かが揺れた。


それは、遠くから見ている。


まだ姿はない。


だが――


確実に、気づいた。

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